今日はひとまずビールにしよう
久しぶりの帰省。地元新潟までは4時間ほど。
移動中の楽しみにとっておいた小説を読み終えました。
林伸次さんの“HOP TRAVEL ハラタウ - 1000年の土地 -”
大学生の頃、バイト先の飲み会が好きでした。先輩や大人のスタッフが「とりあえずビールで」と言うのに憧れて、お酒が飲める年齢になってからは飲み会の席ではビールばかり頼むようになりました。
みんなでワイワイする場の楽しみ方から、お酒そのものを味わう愉しみ方に変わったのはこの1年ほどです。
パンデミックが起きてからは多数で集まる飲み会はなくなり、かわりにその時間を一緒に楽しみたい人とこじんまり飲むスタイルになりました。
ワインや日本酒ってその土地の気候や素材、作り手の思いだったりが語られやすい気がしていて、こうしたストーリーが大好きな私は、最近はワインや日本酒ばかりでした。
ビールってみんなで乾杯する時に気負わず注文できるし、難しいこと考えなくても雰囲気で楽しめるから(それもとっても好き)、敢えてビールについて知りたいって思うことがなかった気がします。
正直なところ、麦芽やホップがどんなものか、ビールがどうやって作られているかさえ、この小説を読むまで知りませんでした。
バーでの会話のなかで、マスターの説明が心地よく頭に入ってきて、初心者の私も楽しみながらビールの原料や行程、歴史を学ぶことができました。
“ 会話は、質問は物語を生む”という言葉が印象的で、それにはとっても共感できました。
わたし自身、お酒を愉しむスタイルに変わってからは、お店のマスターやお酒好きの店員さんとこうしたやりとりをするようになりました。
そうした体験ができた日のことってよく記憶に残ります。このお酒勧めてきた時の熱量すごかったなあとか、自分では選べなかったであろうお酒に出会えたとか、質問と会話はこんな風にその時の思い出や時間を与えてくれました。
ビールについてほとんど無知だった私に、この小説はものがたりを生んでくれた気がします。
ビールにもたくさんの種類があることを知って、あの本に出てきたペールエールを飲んでみようとか、スタウトってどんなやつなんだっけとか、いくつか並べてホップの違いを感じてみたり、、、次に飲む時はそんな具合でビールを味わってみたいと思います。
ビールのほかに恋についても描写されていますが、絵里子さんのセリフに「わかる〜!」が止まりませんでした 笑。
物事の大小に関係なく、大人になっても新しいことにチャレンジしている人って男女問わずとても魅力的に感じてしまいます。
地道な努力の積み重ねも、苦とせず“好き”のエネルギーで乗り越えていく感じがすごく刺激的で楽しそうで、尊敬してしまう。
学びあり、恋あり、ちょっぴりファンタジーありの読み応えのある小説でした。
とりあえず、今日のところはビールをひとつ買いに行こうかな。