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焼酎野郎の訪問記。#1有明産業

代表の焼酎野郎こと橋本です。

SHOCHU Xは、高度数・長期熟成・高単価をモットーに、色んな酒蔵さんから原酒を譲り受けて商品化しています。現在は4種類(煌星・希継奈・凜和・和深)をリリースしています。

「TRANSFORM SHOCHU」というミッション?を掲げており、何も失うものがないスタートアップなりに、焼酎の今までの飲み方やイメージをTransformしていこうという気概を持って運営しています。焼酎を食後酒のシーンに打ち出していくだったり、今までにないような革新性のあるデザインだったり、ネットで直販してみたり、とにかく焼酎がもっともっと飲まれるために頑張っています。
なのでSHOCHU Xの"X"はそのTransformから来ているのです。※後付け

2020年からこのブランドはスタートして、当初から説明する紹介文も、だいぶ変わってきました。

そんな代表の焼酎野郎こと橋本と申します。

創業noteがいまだに結構読まれており、立ち上げの背景を聞かれた時にはこのnoteのリンクをとりあえず投げるくらい重宝しています。ただ2年間の記事で当時からはだいぶ心境の変化もあるので、今度ちゃんとリライトしないといけないと思いつつ、これはこれでいいのかなと思っています。どうせ新しく書いてもやり直さないとですもんね・・・

そんな「焼酎野郎」と名乗ってる僕ですが、焼酎以外のお酒も大好きです。なんなら普段は焼酎はほとんど飲まないので、飲みにいくとびっくりされます。色んなお酒を知らないと焼酎を語れないと思うからです。という理由は2割くらいで、やっぱり単純に他のお酒も好きだからです。

このテーマでは「焼酎」というカテゴリだけではなく、それにまつわるようなジャンルに幅を広げて、発信していこうと思います。例えば他のお酒だったり、発酵食品だったり。

第1回目は有明産業です。

有明産業


酒類関係者であれば、一度は耳にしたことのある会社かもしれません。
何の会社かというと、日本で唯一の木樽を製造しているメーカーです。

工場外の風景

本社は京都ですが、樽工場は宮崎県日向市の近くの児湯郡に在ります。宮崎は九州の中でも陸の孤島とも言われ、非常に交通の便がよくなく、ここは間違いなく車じゃないといけない場所です。

もともと有明産業は灘の清酒メーカー向けに、一升瓶の木箱を製造していました。そのために京都に本社があります。

しかし時代と共にいわゆるP箱が台頭し、木箱の需要はどんどん減っていきました。

P箱

そんな時代の転換点に樽事業に乗り出しました。


ひとえに樽の会社といっても、細かく事業を分けると3つに分類できます。

  • 製樽

  • 中古樽の輸入

  • チャーリング・トースティング

製樽

名前の通り、樽を1から製造します。
国内の酒類メーカーには、自社で樽を製造できる会社がちらほらあります。しかし樽専業メーカーでは有明産業のみです。
後ほど説明しますが、基本的に海外から輸入してきた樽を、酒類メーカーは使用することが多いので、必ずしも1から製造した樽を使用しなければならないというわけではありません。
ただ昨今のウイスキー人気により蒸留所が爆発的に増え、それに加えてコロナや戦争で海外から樽を仕入れるコストが一気に高くなっているので、国内で製樽できる需要が急激に高まっています。

木材はホワイトオーク 

樽を囲うタガ
隙間を埋めるのも木材。一緒に膨張すれば漏れることはなくなる。木桶で使用されるタガ(竹の輪)と一緒の考え方。

まずは片方にタガをつけます。この姿、あまり見ることはないですよね。。。

このような形でタガが付けられます

その後にチャーと言って、樽の内面を焼いて焦がします。内面を焦がすことで、樽熟成独特のフレーバーを与えることができます。

両端に使用する鏡板

最後に鏡板をつけて完成です。

※企業秘密箇所が入っていた画像は削除いたしました 7/11

中古樽の輸入

先ほどの通り、樽は基本的に海外から輸入されることが多いです。日本のお酒は洋酒に比べたら樽貯蔵するようなメーカーも少なく、そこまで需要もありませんでした。
ウイスキーの本場スコットランドでも、基本的には輸入したアメリカのバーボン樽を使用します。というのもバーボンは新樽(一度も使用していない樽)で熟成しないといけないという決まりがあります。
それに対してスコッチウイスキー等では新樽を使用することはあまりなく、大体バーボンやワイン等で1度使用したのを再利用します。

港に到着した輸入樽

新樽を使用しなければいけないバーボンと、中古樽(再利用樽)を使用するスコッチ。これによって樽のエコシステムができているわけです。

なのであの膨大な量を製造しているはずのスコッチでも、クーパレッジと呼ばれる現地の樽製造会社はほとんどない(らしい)です。

そんなわけで中古樽というのは世界の市場に多く出回っています。それを日本に輸入して、酒類メーカーに販売している事業です。

ちなみにバーボンは新樽を使用しなければならないという決まりの他に、「樽詰め度数は62.5度以下」という決まりもあります。この2つがあることで、樽の数が多く必要となり、木材産業活性化の役目も果たしています。

チャーリング・トースティング

先ほど製樽部分で説明した通り、樽の内面を加熱処理することで、樽熟成独特の味わいをもたらします。

樽の寿命は長いものだと100年くらいあります。3回も4回も熟成させていくと樽の成分の特徴が伝わりずらくなっていきますが、それで使用できなくなるかというとそうではなく、樽の内面を削り、リチャー・リトースティングを行うことで、再活性化することができます。

char・toast。どちらも「焼く」や「焦がす」という意味ですが、
トースティングはゆっくりとした過熱に対し、チャーリングは強火で内面を炭化させます。トースティングは主にワインなどに使用し、チャーは蒸留酒樽に施されることが多いです。
そして同じチャーリングでも、有明産業さんでは、ヘビーチャーからライトまでの5段階あり、この焼き加減こそが職人の腕の見せ所です。

この工程をしている日は、1ヶ月に3日程度。そんな貴重な日に自分は行くことができました。

映像では見たことありましたが、実際に体験するとものすごい迫力!
本当に貴重な現場を見学させていただきました。

酒類メーカーで複数回使用し、樽を再生させるのがこの事業です。


ちなみに今回はただ見学しに行ったのではなく、ある樽をリチャーしにいきました。

チャーリング前。鏡板を外してもらい、中の様子を確認
リチャー後

この中に何を詰めるかは、

秘密です〜。いつか発表するのでお楽しみに。


最後に(焼酎野郎として、焼酎の目線から)

ウイスキーでは樽熟成がマストなのに対し、焼酎の樽熟成の歴史は浅く、60年70年前に初めて試みがされました。その当時はただの南九州の地酒にすぎなかった焼酎。今よりももっと庶民のお酒というイメージがあり、ウイスキーやブランデーの樽熟成を、焼酎で使用するという考えに至るようなメーカーはほとんどありませんでした。
しかし時代が進み、消費者の趣味嗜好の変化、そして昨今のウイスキー人気に伴い、焼酎蔵でも樽熟成を行うメーカーが増えてきました。
ただ大手ウイスキー蒸留所のように、自社で樽を製造できる酒蔵はほとんどありません。("ほとんど"と記載したのは、実は1社あるからです)
そんな中で有明産業は宮崎に位置しているというのもあり、焼酎メーカーさんにも多く樽を共有していて、なくてはならない存在です。
木樽のトップメーカーとして、もっと皆さんに知っていただけたら嬉しいです。

見学させていただき、ありがとうございました!

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