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「不死」は可能か?——熱理学的な視点からの回答

生物学的に不死は可能かという問いに対して、
実はすでにその答えは「可能だ」と言えます。

なぜなら、
がん細胞や生殖細胞のように
老化しない細胞は、
すでに私たちの体内に存在しているからです。

がん細胞は無限に増殖し、
生殖細胞も世代を超えて続いていくことから、
老化というプロセスが
必然ではないことが示されています。

問題は、人間全体として
この老化を止められるかどうか
という点にシフトしているのです。

自然界に見る「不老不死」の実例

実際に自然界では、
老化しない生物が存在します。
その代表例がヒドラという水生生物です。

研究によれば、
ヒドラは非常に長期間にわたって
老化の兆候を見せず、
死ぬ確率も極めて低いということが
分かっています。

他にも、
無性生殖を行う植物や
単純な構造を持つ動物の中には、
老化しないものが複数報告されています。

こうした例が示すのは、
老化は全生物に必ず起こるわけではないということです。

老化と死の違い——不死は永遠の命ではない

ここで重要なのは、「老化しないこと」=「絶対に死なない」という意味ではないという点です。

老化がない生物でも、病気や事故など外的な要因で命を落とすことはあります。老化は死の一因に過ぎず、死そのものは別のプロセスです。

つまり、老化がなければ生物学的に不死であるとしても、死そのものから完全に逃れることはできないのです。

熱力学的観点と不死の進化——閉鎖系ではない地球

熱力学の法則、
特にエネルギー保存の法則に基づくと、
エネルギーのやり取りが閉鎖された系内では、
物質や生命を永遠に維持することはできません。

すべての系はエネルギーを消費し、
その結果、エネルギーは徐々に使い果たされ、
最終的にはエントロピーが増大して無秩序の状態になります。

このため、
閉鎖系内での永続的な生命維持や
不死は熱力学的に不可能です。

しかし、地球は厳密には閉鎖系ではなく、
太陽から大量のエネルギーを受け取り続けている開放系です。

太陽エネルギーによって
地球上の生態系は維持され、
生物はこのエネルギーを利用して生存し、
繁殖しています。

この事実から、
理論的には外部エネルギーを供給し続ける限り、生命は一定の条件下で不死に近い状態を維持することが可能とも言えます

ただし、
この外部エネルギーの供給がなくなるか、
生物が環境的なストレスに
耐えられなくなったときには、
死という現象が避けられません。

生命とエントロピーの関係——なぜ不死は限界があるのか

エントロピーとは、
系内の無秩序さを示す尺度であり、
閉鎖系内では必然的に増大します。
生物もこのエントロピーの法則に従っており、
自己を維持するためには
常にエネルギーを消費し、
エントロピーを低く保つ必要があります。

しかし、エネルギー供給が途絶えたり、
効率的に利用できなくなると、
最終的にはシステムの崩壊、
すなわち死が訪れます。

たとえ、
外部からエネルギーが供給され続ける場合でも、完全にエントロピーを制御することはできず、
予期せぬ損傷や突然の変化によって
死が避けられない時点が必ず訪れます。

したがって、熱力学的な観点から見ても、
完全な不死は現実的ではなく、
生物は永遠に存在することはできないのです。

開放系としての地球——エネルギー供給による不死の可能性?

地球は太陽という外部エネルギー源を持つ開放系です。

そのため、
生物はエネルギーを継続的に取り入れて
成長・繁殖します。

理論的には、このエネルギー供給が途絶えない限り、不死に近い状態を保つ可能性もありますが、外的要因や進化的な限界、遺伝的要因により、
完全な不死は難しいのです。

それでも、
地球のような開放系における生命の持続性は、
熱力学的観点から一定の希望を与えています。

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