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今日からあなたが責任者です

皆さんこんにちは。
クラウドサーカスの小此木と申します。

パートナーセールス研究会で実施している、アドベントカレンダーで約4年ぶりのnoteを書いており震えています。
11月末までSaaS企業の猛者によるパートナービジネスTipsがシェアされますので、是非ご一読ください!

さて、ここから本題に入ります。
タイトルの「今日からあなたが責任者です」と自社のパートナービジネス領域を主幹するとなったらどうしますか?自身の担当しているパートナー様/お客様だけではなく、会社や事業全体を伸ばしていくためにどのようなアクションが必要なのか、どのような視点で物事を考えていくべきなのか。

せっかく皆さんに読んでいただくなら生きた言葉で伝えたい。そのため私自身がパートナービジネスの責任者をしていることもあり、今回は「責任者としてのWhy/What」を中心にお届けします。

まだまだ未熟ではありますが、自身の経験を少しでも皆さまのお力に変えられればと思います。既に責任者として職務を遂行されている方、今後責任者を目指したいメンバーの方、パートナービジネスに関係する方々に向けてお役立てれば幸いです。


ご挨拶:自己紹介

改めて、クラウドサーカスでパートナービジネスの責任者をしている小此木(オコノギ)と申します。
クラウドサーカスはデジタルマーケティングSaaSを中小企業様向けに展開しているスターティアHDのグループ会社で、私は2012年新卒として入社しました。直販の営業職からキャリアがスタートし、営業責任者やPdM、事業責任者などを行ってきました。パートナービジネスとの出会いは、2021年に私が事業部長を務めていた営業部門内でパートナービジネスを立ち上げたことが始まりで、それから4年程パートナー業務に携わっています。

実際に私の経験を基に事業成長のために責任者はどういった存在であり、何をする役割なのかを記載します。

1.意義を定める

①目的は何か?

事業戦略を練る前に目的を定めることが必要です。この目的こそが「なぜパートナービジネスを行うのか」に繋がり、短期的な利益に一喜一憂しすぎることなく、本来目指すべき姿を作ることに繋がります。クラウドサーカスをひとつの例にすると、下記画像のようなイメージです。

なぜパートナービジネスを行うか

弊社の狙っている顧客セグメントは中小企業ということもあり、マーケティング担当者が不在or兼任でマーケティング活動に苦戦されている企業様となります。そういった企業様がマーケティングを当たり前に使いこなす(目的)にはベンダーだけの力では不足しており、パートナー様と空中戦/地上戦を行うことでカバー範囲を広げる必要があります。

こういった目的を明示することでパートナー様からも未来像に向けて共感いただき協業が進みやすくなり、社内メンバーへも何のために日々の活動があるのかを明確に打ち出すやすくなります。

ただし、目的を定めると言っても「新規リードが不足してきたから」、「直販営業が売れないから」など社内要因を起点にしない方が良いと個人的には考えています。自社でも上手くいっていないプロダクト/サービスをパートナーが売れるケースが少ないことや、共感性の低いビジョンに対して協力いただけるパートナーや仲間も増えにくいことが要因です。

②目標/KPIを設定する

パートナービジネスはすぐに成果に繋がらないので中長期の視点が大事」というのは良く聞くかと思いますし、私自身も同意しております。ただ、中長期とは具体的にどれぐらいの時間を指し、それまでにどんな状況になっているのかを設定する必要はあります。

例えば3年後には売上〇〇円、5年後には間販比率を〇%まで高める
など、期限と成果を設定しておくことで、目標に対しての進捗度合いを測ることができます。

また、KPIの設定については各社のパートナービジネスのフェーズ(立ち上げ期、成長期等)、事業内容や特性(会社なのかユーザーなのか等)、パートナーとの商流(再販、紹介なのか等)などによって変わります。現在の自社の状況では何を設定すべきかを決めましょう。その際にKPIは絞れるだけ絞ることを忘れてはいけません。アレもコレも指標が乱立しても何が大事かわからなくなり、ただ数字を入力するだけの作業となってしまいます。(私も最初は色々な指標を「KPIだ!」と言ってよくわからない状況になってました)

・KPI項目例)
立ち上げ期:パートナー契約社数、新規商談数、勉強会実施数、接触営業人数など
成長期:商談/紹介件数、商談/紹介した営業人数、案件化率/受注率など

そして、KGIが変わればKPIも変わります。自社の状況が新規のパートナー開拓から深耕に変わった、同行営業から自走するパートナー育成に変わった、カスタマーサクセス領域や役務提供まで任せるようになったなど、自社のフェーズに合わせてKPIを変化させましょう。

2.戦略立案

①立ち上げ期:パートナー作り

まずはパートナー開拓からスタートになりますが、業界カットで開拓/深耕をしていくのか、地域を絞ったエリアカットでいくのか、商流はどのように設定をするのかなどアプローチ方法を決めます。

初手のアプローチとしては「自社プロダクトと相性が良い業界で、意思決定の早いパートナー様」がおすすめだと思っています。営業人員が多い、顧客/リード数が多い、売上規模が多いパートナーも魅力ですが、まだ初期段階では制度や人員、ノウハウも不足していることが多く非常に負荷がかかります。自社プロダクトへの理解が早く、顧客セグメントもマッチするパートナーから実績を生み出すことで、スムーズにパートナービジネスを開始することができます。

業界の特定方法としてはこれまでに自社へ代理販売や紹介の問い合わせがきた業界を把握することです。多くのクラウドベンダーは問い合わせ情報はMAやSFAに入力されている状況かと思いますので、そこからマッチするセグメントに絞ることで初期の戦い方を鋭く尖らせることができます。

例えば弊社ではWEB制作やWEBマーケティング業界のパートナー様からお引き合いが多く、この業界のパートナー様との協業を強化しました。今でもお付き合いいただくパートナー様も多く、こういった企業様に支えられて今日に至っており心から感謝しています。

また、その他にも重要項目はありますが、パートナーセールス研究会の発起人・葛西さんのnoteが秀逸ですので是非ご覧ください!新規パートナー開拓の考え方として非常に参考になります。

②成長期:売上拡大へ

パートナー商流で売上が作れはじめ、拡大期へと移行します。
上記のパートナー様から安定した案件創出ができるようになってきましたので、ディストリビューターとの取引を開始し全国販社へアプローチを行う、ローカルキングと言われる地場エリアでの大手企業様との連携など、これまで行っていなかった施策を取り入れます。弊社は営業人員もこのタイミングで増員し、パートナーチーム内でもミッション別の組織に変更しました。

スターティアHD 決算補足資料より抜粋

また、パートナー企業としてのステータス管理、パートナー営業さん毎のステータス管理も行いました。これまでのWEB業界パートナー様は営業活動をする方は1名~数名だったのに対し、拡大フェーズでご一緒するパートナー様は営業が数名~数百名(弊社が接触していない母数なら数千、数万名)、となり、規模感も違えばパートナー様の取扱商品数も桁が変わってきます。状況が大きく変わる中で適切にパートナー様へアクションができる用に社内のプロセスや管理体制を変化させました。

また、合わせて私が行ったことでは、「市場自体を開拓する」アクションが挙げられます。

スターティアHD 決算補足資料より抜粋

例えば上記の例では、福島県の中小企業のマーケティングDXを促進するという目的のもと、福島銀行様と東北コピー販売様との3社間での業務提携を締結し、セミナー開催やマーケティング講座などを開催しております。私もセミナーや講座の講師として福島県へ伺い、地方の中小企業に対するマーケティング認知を高める活動をしています。また、福島の地元新聞社である福島民報様で先日のセミナーの様子が記事として掲載されていたりと、メディアも巻き込むことでパートナー様へのリード供給や営業活動における難易度を下げる役割に繋がると考えています。
直近の営業成績に反映させにくいが、後々重要になりそうなこと(第二領域)へリソースを投下することも責任者の役割だと捉えて活動していたことを覚えています。

また、上記の取り組みはビジネスマッチング契約ではありませんが、地方銀行様との取り組みということで、スタメン金内さんとネットプロテクションズ横山さんのnoteも是非ご覧ください!学びになります。

3.社内コミュニケーション

①メンバーとのコミュニケーション

直販組織の時と一番違いを感じるポイントとして、圧倒的にチームメンバーと一緒にいる時間が少なくなるという点です。まず営業メンバーは朝からパートナー企業の朝礼に参加する、日中はパートナー先や営業同行で外出していることが増えます。私も出張があったりとオフィス不在のタイミングも多く、出社/リモート勤務問わずオンタイムでのコミュニケーションが減りました。その際に意識した点や変化を加えたことは下記です。

・定例ミーティングの在り方を再考する
成果と比べて本当に必要な時間だったのか、時間配分は適切か、事前アジェンダは徹底されているか、ファシリテーターを用意しているかなど、社内会議で何となく行っていた慣例を見直しを行いました。
・報告フォーマットを統一する
報告業務によってメリットを得るのはどちらかと言えば報告を受ける側が多いと思います。そのため極力報告に時間を割かないように、且つ受け取り手も理解ができるように報告タイミングやフォーマットを整理しました。
・口頭だけで済まさない
これまで口頭だけで済ませていた事項を後から振り返り、確認できるようにテキスト化して残す。これにより「あの件でどうなっていたかな?」という確認事項を上司、メンバーの時間を使わずとも解消できる用にしています。
・とは言え気軽に会話できる環境/文化を作る
リモート勤務も相まって会社やチームに対する帰属意識が低まり、孤立化を不安視することもあったので、バーチャルオフィスの用意やチャットコミュニケーションでリアルタイムに共有ができる場を作り孤立化を防ぐようにしています。

こう挙げてみるとパートナービジネスとは関係なく、どの組織でも当然に見直すことばかりでした。これまでの働き方に合わせるのではなく、成果から逆算して変化をすることの大切さをパートナービジネスに関わることで痛感しました。

②チーム外とのコミュニケーション

弊社は幸いなことに直販とパートナーによる権利のぶつかり合いはほとんどなく、非常に事業運営がしやすい会社だと思います。その中で私が注意していることは「偉そうにしない」ことです。パートナービジネスをしていると「パートナーを優先することが当たり前」、「パートナーは直販組織とは別のルールで治外法権を許してほしい」などと言う方とお話をすることがありますが、、、人間は感情の生き物ですので、言っていることは理解できても納得できないことってありますよね。八方美人で良い顔をすべきとは全く思いませんが(むしろ私は苦手)、社内の力もあってパートナービジネスはスムーズに回り、それが顧客やパートナー様に還元されます。社内から応援してもらえる状況を作ることもSaaS企業では後発組織で売上シェアが低いことの多いパートナービジネス責任者の役割です。

③経営陣とのコミュニケーション

個人的にはパートナービジネスを潤滑に運営するにおいて最も大事なポイントはここではないか?と考えています。こちらも幸いなことに弊社の経営陣は最初から「パートナービジネスは重要だ」という認識で社内外問わず発信をしてくれました。これが②のチーム外とのコミュニケーションにおいても良い方向へ作用していますし、メンバーもモチベーション高く仕事をすることに繋がっていると思います。もし、社内でパートナービジネスの位置付けが明らかに低いことでお悩みをお持ちの方がいれば、どれだけ経営にヒットするかをプレゼンしてみてください。自社の経営陣に事業を最大限理解してもらい、経営資源を投下してもらえれば出来ること、発想の切り口は大きく変わります。

スターティアHD 決算補足資料より抜粋

また、普段私が行っているパートナー様とのQBRや交渉事にについても、内容に応じて経営者を呼ぶことでパートナー様とのリレーションを深め、強固な協力体制を築くことが出来たケースもあります。パートナー企業様から何度かいただいたお言葉で「ハードメーカーは役員が挨拶に来てくれるが、クラウドサービスの会社は会ったこともないところが多い。クラウドサーカスさんは珍しく役員が来てくれますね」と仰っていました。確かにパートナービジネス担当者が「パートナーが大事です」と言うのと経営メンバーが言うのでは、相手への伝わり方も変わりますよね。パートナービジネス責任者は成果の最大化に向けて経営陣も含めた采配を振るうことも業務の一環です。

また、Sales Marker山口様によるnoteでも詳細に、且つ分かりやすくまとめられておりますので、こちらも是非ご一読ください!(アドベントの紹介noteみたいになってきた笑)

4.マインドセット

P/L意識を持つ

厳密にP/Lを管掌しているかは組織により違いがあると思いますので、あくまで意識としてP/Lを捉えることは重要です。パートナービジネスにおいて短期ではROIやROASが合わないが行う施策も多分にありますが、その際に「短期では成果が出ないけどそういうものだ!とりあえずGO!」としてしまうと収集がつかなくなってしまいます。時には「えいや!」も大事ですが、どの時間軸で投資回収に繋がるのかを計画したり、施策から派生して生まれる余波を想定した判断をしておくと振り返り時に役に立ちます。また、思考プロセスをメンバーと共有することで「これはOKそうだな」、「今回は少し微妙そうだな」といった事前の認識のもと、目的達成に向けて議論することができるのも利点です。
短期的・超厳密なP/Lではなく、中長期・周辺効果も含めた上で意図ある判断が出来ると良いのではないかと思います。

ウェット&ドライ

チームの誰よりもパートナー様に対してウェットに考えてください。家族であるかのように親身にです。感情的には一番パートナーを愛している人がパートナービジネスを引っ張るのが良い気がします(めちゃくちゃ個人的感想)。パートナーの立場に立ち、どうしたら良いのか本気で考えられなければ大きくスケールさせられないですし、永くパートナーとご一緒していけないと思っています。
だからこそ、チームの誰よりもドライな一面も持ち合わせる必要があると考えています。これだけは絶対に譲ってはいけない部分を持ち、瞬間的には楽な道に逃げずに「在るべき姿」に向けて実行します。

そして長々と書きましたが、責任者は何をしたかではなく、
「パートナー、顧客、自社の成果創出が出来たのか」に責任を持つことになります。
結果が求められるからこそ、苦しくも楽しくやりがいのある仕事です。

終わりに

最後までご覧いただきありがとうございました。
この他にも「近接ソリューションとの連携」や「アカウントプラン作成/QBRで抑えるポイント」、「OEM提供の可否」など挙げればキリがないほどやることはあります。一つ一つをドリルダウンして作戦・戦術まで深堀るとこれまた地下深くまで潜れるので議論は尽きないですね!

また、偉そうに書いている箇所もあったかと思いますが、私自身は至らぬ点が多く反省の毎日です。失敗したことの方が多すぎて嫌になります。笑
是非諸先輩方からアドバイスいただけますと幸いです!

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