日光市の「教育旅行メタバース」に感じる「やっちゃった感」が半端ない件
メタバースブーム
昨今は「メタバース」という言葉が猫も杓子も使う時代となり、ネットを見ていると見ない日は無い状況になりつつあります。
メタバースで最近の話題をさらったものと言えばAppleのVision Proです。先月アメリカで発売になりましたが、YouTuberなどはさっそくレビュー動画を上げていました。
とはいえ日本では未発売なこと、Meta社のMeta Questなどもゲームデバイスの領域に納まっていること、現時点のVision Proの完成度などを見る限りではメタバース(Appleは空間コンピューティングと称していますが)が主流となるまでにはまだ少し時間がかかるように感じます。
日光市の「教育旅行メタバース」
そんな中、いち早くこの流れに乗ろうと張り切っているのが栃木県日光市です。
日光市ではXR技術によるメタバース環境で、「日光の 学び旅かな メタバース」なる教育旅行メタバースサービスを開始したそうです。
ネーミングは五七調で非常にリズミカルで好印象ですが、この映像を見た瞬間に膝から崩れ落ちました。
どうみても20年前のポリゴン3Dゲームはのそれです。バーチャファイターや鉄拳を彷彿とさせてくれます。この画像を見て観光した気にはもちろんならないですし、仮にこれを見て観光をする気持ちが膨らむか、というとかなり疑問です。
もちろん全否定をするつもりはありませんし、観光をどうにか盛り上げたいという意思は見えます。
ただ、この画像のレベルのものを準備したとして実効性が乏しいのではないでしょうか。
住み分けの重要性
言うまでもないことですが、メタバース自体には可能性があることは否定しません。
空間没入体験というものの需要は存在するでしょうし、今後の技術革新で現実と大差ない経験を可能にすることもあるかもしれません。
しかし、「今」はまだ違います。現時点でのバーチャル体験の限界はVR空間に入ることそのものを目的とするレベルでしかありません。
上のリンクはMeta社が運営するバーチャル会議システムです。最も普及しているであろうMeta Questを開発したMeta社であっても、巨大なヘッドマウントディスプレイを装着し、アニメ調のアバターで参加型のVtuber体験を提供するのが関の山なのです。
教育業界においても同様で、こうしたバーチャル授業が成立する段階ではないでしょう。
私自身、オンラインでの仕事や作業、会議などには賛成ですし、情報共有や時間効率を考えればそちらが最適解であるという考えです。
ただ現代の技術では「リアルでなければできない体験」を代替するほどにはVRは完成していないのだから、リアルとオンラインを上手く使い分けすべきである、と考えているのです。
日光市の今回の試みは成功する可能性は低いと個人的には感じていますが果たしてどうでしょうか。観光産業への定量的効果の推移を見守りたいと思います。
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