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「ホーユー」の食事提供停止問題は対岸の火事では済まない問題
「ホーユー」の業務停止問題
広島県で給食食堂・給食会社として中四国を中心に学校、学生寮、官公庁、企業などの食堂・給食業務を請け負っていた「ホーユー」が業務を停止したことが話題になっています。
今月に入り複数の施設で業務を停止し、食事が提供できない状況が発生しているとのことです。
広島県庄原市の西城紫水高校では、寮の生徒24人の食事が提供されなくなっていることから、7日朝は午前6時半ごろに見田良彦教頭が近所のコンビニを訪れ、寮生の朝食用のカレーパンやわかめおにぎりを段ボールいっぱいに受け取り、寮に届けました。
西城紫水高等学校は庄原市の中でもかなり山間部の方に所在することもあり、寮生全員分の食料を確保したり、代わりの業者を見つけたりが都心部の学校と比べてかなり大変であることは想像に難くありません。
問題の発端
「ホーユー」は現在、裁判所に破産手続きを申請しており、今回の事件の原因は材料費と人件費の高騰であるとしています。
「食材費や光熱費、人件費が高騰する中、学校などに値上げを相談したが、思うように価格転嫁が進められなかった」
実際、生徒が顧客であることから価格を上げることを学校側が拒否したこともあったようで、間違いなく原因の一つでしょう。
またこうした問題に関し県の補助金も存在するようですが、一食当たり30という少額に加えて、手間と時間のコストが見合わないとして「ホーユー」は申請をしていなかったとのことです。
「ホーユー」は行政の杓子定規な対応の被害者か
ここまでを見るだけだと「ホーユー」側に同情的になります。
高校側に値上げの打診をしても、生鮮食品の値段を理由をまとめて出しても、1月以上経ってから回答があるなど、民間のペースで事業が行えないなどの事情も赤字が拡大した原因ではあるようです。
しかし、そもそもどうしてそれほど赤字になるような状況がいきなり発生したのでしょうか。
この手の行政に関わる入札でよく起こる問題の一つが、入札段階で相場よりも安く入札し、業務段階で中抜きするというものです。
今回のような給食事業などの場合はメニューの内容や中身のクオリティを下げることで材料費を抑え、差額分を利益とするというやり方です。
また人件費を極端に抑えることで利益を出すやり方もあるようです。
もちろん今回の「ホーユー」がそうした手段を行っていたかどうかは不明です。
しかし外国人実習生と人件費や待遇の面でトラブルになっていた事業者であるのは確かなようです。
対岸の火事ではない
私の勤務校でも生徒向けの学食が存在します。
業者や担当者の方は物価の高騰に必死に対応されているようです。
私立学校の場合は年度途中の値上げなども数回ありましたが、ある程度民間に近い柔軟な対応自体は可能ということなのかもしれません。
一方で公的機関の場合は入札段階での契約からの変更が難しいという現実です。
こうした行政の硬直化した対応は急激な状況の変化への対応が難しいことが浮き彫りになっています。
そもそも、もとは公務員として雇っていた調理員や食堂業務をアウトソーシングした結果、こうした費用対効果の低い業務が破綻したという事情も存在します。
この手の業務破綻による給食等のトラブルは今後も相次ぐ可能性が存在します。
「ホーユー」と同じビジネスモデルでは同様の結果になることは十分に考えられるでしょう。
もちろん個人の消費者としてできることは限られていますが、とりあえず多少の値上げで文句を言わないぐらいは意識したいところです。