「隠れ教育費」の問題と学校側からの視点
先日、Abema prime で話題になっていたのが「隠れ教育費」に関する問題です。
この問題は現場で勤務する教員にとっても頭の痛い問題です。
「隠れ教育費」とは
「隠れ教育費」とは公に公開されている以外に発生する教育に対するコストのことで、教育機関に支払うものや直接業者に支払う形態などの総称です。
わかりやすいものでは給食費から、学級費と呼ばれる負担金などが挙げられます。
それ以外にもPTA会費や〇〇後援会費などその使途や目的のわかりにくいものまで様々です。
これらは入学前にどれほどの負担が発生するか、生徒や保護者には知らされていないことがほとんどで、そのために「隠れ」という名称がついています。
受験校選定の時点で不明という業界慣習の問題
これらの費用は教育業界に身を置いている人間であれば当然その存在を知っています。
しかし、業界から縁遠い人などにとっては子供の入学が決まり、学校の入学前説明会があった時点で初めて耳にするというケースも多いようです。
日本では義務教育は無償であるとされており、事実学費や授業料を公立小中学校は徴収していません。
そのため、給食費ぐらいと考えていた人たちが入学直前になって数十万円が必要ということを知らされて金策に走るということもあるようです。
高校の場合も同様で、公立高校は無償と聞いていたのに、教材費だけで10万円以上かかるというのは教育業界の人以外には納得しづらいものがあるのでしょう。
そして、そうした反発を恐れ、直前まで総額を明かさないというやり方が常態化した教育機関側に今回の問題の原因の一端があるのは間違いありません。
教育機関側のやむを得ない事情
とはいえ、業界としても非常に難しい問題であるのも事実です。
私立学校のような場合、その費用で進学候補から外れる可能性もあることを考えると積極的に公開できないという事情もあるでしょう。
また、その購入物品や費用の用途に関しても実際にはまだ入学していない外部の人間に説明をしても理解を得にくいということもあるのでしょう。
さらに入学者数が確定しない段階では単価が決まらないような物品や費用も存在します。
とはいえそうした理由のほとんどは学校側の都合であり、今後は公開する流れになるのは間違いないでしょう。
業者との癒着や談合ではない
こうした問題が出るたびに談合や癒着を疑うような声が上がります。
私の勤務校もそうですし、知りうる限りの公私立学校の全てにおいてそういった不法行為が学校ぐるみで行われていることはありません。
以前もその事を記事にまとめましたが、実際には業者側からしても美味しくない相手が学校であり、地域の繋がりや社会的意義を見出してビジネスをされているところがほとんどです。
しかしながら、自身が保護者の立場になって痛感しましたが、想定していない費用負担というのは家計へのダメージが大きく、これを放置することは由々しき問題であるのも事実です。
学校側の意識を変えることが重要ではありますが、同時にこうした費用負担に関してこそ、文科省などの公的機関がガイドラインを設けるべきではないのかとも思うのです。
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