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東京都の高校授業料を無償化、所得制限を撤廃のインパクト


東京都の高校無償化

東京都の小池知事は、高校の授業料を実質的に無償化するために現在の所得制限を来年度から撤廃する方向で調整を進める考えを示しました。

現在は年収910万円を下回る世帯のみを対象としていた補助を拡大するという予定のようです。

大阪とは次元の異なるインパクト

今回の私立無償化のインパクトは大阪以上になるのは確実です。

それには以下の理由が考えられます。

  1. 平均年収の格差

  2. 都府内の私立高校の充実具合

1.平均年収の格差

まずは910万円というラインの撤廃に関するものとして、これを超えている世帯の数が大きく異なるということです。

ここでは年収の平均、中央値を比較してみます。

  • 東京都:中央値 400万円 平均値 450万円

  • 大阪府:中央値 350万円 平均値 397万円

言うまでもないことですが、東京の平均収入は他の都道府県と比較してもかなり高く、910万円の壁に引っかかる世帯は決して少なくありません。

一方で大阪府の場合、910万円を超える収入の世帯は平均値から考えてもそう多いわけではなく、この点において今回の所得制限撤廃に関係する世帯数は大きく異なるでしょう。

2.都府内の難関私立中高の充実具合

人口規模が異なるために単純比較はできませんが、関東と関西における難関中学、高校に関しては関東は東京に集中傾向、関西は京阪神に分散傾向にあります。

関東の私立難関と言えば、御三家(開成・麻布・武蔵)、新御三家(駒場東邦・海城・巣鴨)、女子御三家(桜蔭・雙葉・女子学院)はすべて都内の学校ですし、それ以外にも数多くの学校が存在します。

また、周辺県の有名私立進学校はそこまで多くありません。神奈川御三家(栄光・聖光・浅野)ならばまだ有名ですが、埼玉や千葉の場合はもともとは公立王国のため、他地域にまで伝わるような有名校はそこまで多くありません。

それと対比して東京内の公立高校は日比谷や都立西が復権してきているとはいえ、少ないようです。

一方関西の場合、大阪府内には大阪星光や清風南海などの有名進学校も存在しますが、公立の北野、天王寺、三国丘、茨木、大手前など名門校が多く私立の存在感はやや薄い印象です。

加えて周辺県には灘、東大寺、西大和、洛南、洛星、甲陽、神戸女学院など難関私立中高が点在している印象です。

ここから考えるに地域内に住む難関私学受験者に関して言えば、東京都内の方が影響が大きいように感じます。
(逆に大阪府内への回帰も考えられますが、灘や東大寺志望者は金額では選択しないような気がします)

他の道府県では

現在、所得制限撤廃を表明しているのは大阪、東京のみです。

奈良県は高校無償化の方針を打ち出していますが、910万円の所得制限を設けたままとなっています。

今後他県でも同様の動きが加速するかというと、なかなかに難しいでしょう。

東京や大阪のように人口規模が大きく、私学に通う世帯がかなりの数に上る自治体なればこその施策でしょう。

果たしてどの県が追従していくのか、あるいは国が制度化するのか注視していきたいと思います。

補遺

今回の東京都の発表に関して感じたのは、小池都知事の政治家としての嗅覚の鋭さです。

彼女の首長としての評価はここでは言及しません。

ただ2017年の希望の党結党の差異にも感じた、選挙や風に対する感覚に関してはその才能は頭抜けていると再認識しました。

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