学校の統廃合問題を解決する手段はオンライン授業の導入
全国の過疎地域では小中学校の統廃合が進んでいます。
岐阜県の恵那市では5校統合が計画されており、その通学域は名古屋市よりも広い範囲になるということです。
スクールバスで往復2時間の通学時間になることも問題視する意見が出ています。
極端に無理な統廃合か?
この話を聞くと、住民の意向を無視した行政サービスの悪化である、という印象を抱きます。
しかし、実際のところ、その合理性はどの程度あるのでしょうか。
合併の対象となっているのは恵那市南部に5つの中学校、岩邑、山岡、明智、串原、上矢作中学校です。
各学校の現在の生徒数は119名、73名、117名、18名、40名とほとんどは1クラス、しかも多くのクラスは少人数学級となっています。
学級数や人数が減少しても、学校を維持するためには最低でも人員がある程度必要になります。
今回の場合、どう考えても無駄の多い人員配置になっていることは否定できず、やむを得ない決断ではないでしょうか。
もちろん、資金や人員がふんだんに使えるのであれば、通学などの面からも地域の学校で学べることに越したことはありません。
人口5万人弱、しかも周辺に巨大都市も無いような地域の中学校において統廃合は不可避でしょう。
統廃合を進める学校にオンライン化による授業の緩和措置
残念ながら極端に人口が減少している地域の学校を維持するだけで財政的な余裕は現代日本には存在しません。
また、教員不足が問題となる中で過疎地域の勤務は教員側から忌避される傾向もあります。
実際、こうした地域への転勤を若手教員の「通過儀礼」としてきた自治体は少なくありません。
しかし、そういった過疎地域への転勤自体が教員志望者原因とさえなっているのが実情なのです。
したがって、反対をいくら唱えたところでこの方針は覆ることはないのです。
だからといって、不便になる現実を田舎に住む人間は受け入れるべきだ、という押し付けだけで良いわけはなく、何らかの救済策は準備されるべきです。
自治体の運営するスクールバスの運行などはその一つでしょう。しかしそれ以上に通学に不便のある生徒に対し効果的なのがオンライン授業の出席取り扱いを認めることです。
学校という「箱」が維持できないのであれば
先述のように、人数が減少すると学校という「箱」を維持できなくなります。
担任は最低でも学年ごとに必要ですし、教科ごとに教員を揃える必要があります。
校長や教頭、養護教諭に事務職員なども最低人数は必要です。その上施設設備も求められるために統廃合が必要になるわけです。
しかし、授業をオンラインで実施できるとすればどうでしょうか。週に1回程度は通学によるスクーリング、それ以外の授業はオンラインで実施すれば施設費用や人員は最低限で済みますし、長時間の通学問題を回避することが可能となるのではないでしょうか。
統廃合は避けられない課題
人口減少社会において学校の統廃合は決して避けられるものではありません。
ほとんどの過疎自治体は遅かれ早かれかなりの数の学校を減らさざるを得ないでしょう。
その時に今回の恵那市と同じ轍を踏んでも意味がありません。
オンライン授業の利用を推進することで自宅学習だけでなく、場合によってはサテライト教室を設置して近くの生徒をまとめて学校が出張管理することも可能です。
この避けられない課題に、住民の負担を増やすことだけで解決しようとするのではなく、技術を利用して効率よく負担を減らす考え方が求められているのではないでしょうか。