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「高額医療費制度廃止」というデマに踊る人々とネットリテラシー

Twitterで高額医療の問題についてデマが拡散されているようです。

ツイート主の言う「高額医療費制度」とは

このツイート主の言う「高額医療費制度」とは以下の記事のものだと思われます。


今話題になっているのは「高額医療費負担」制度の見直しです。

この制度の内容について整理すると、これまで(平成30年以前)は市町村などの基礎自治体が国保の運営主体となって運営していました。

この場合一件につき、80万円以上の医療費を市町村が負担するのは基礎自治体の収支規模では大きすぎるため、国がその負担の一部を市町村に代わって受け持って支払っていました。

ところが、平成30年度より国保の運営主体が市町村から都道府県に変更となり、事業規模が大きくなったことで安定的な事業運営が可能になりました。
(もちろん都道府県の規模によって余裕の有無はあります)

この制度に対して、以前からの市町村の高額負担分を国が一部負担する制度は、都道府県が運営主体となっても続いていたので、これをやめようというのがニュースの概要になります。

拡散者が「誤認」を意図した表現を行う

こうしたニュースにはデマがつきものです。

今回の場合は明らかに「高額療養費制度」との混同を目的としたツイートでしょう。

高額療養費制度は、個人が健康保険内の治療において高額な自己負担が発生した場合に、標準的な所得の人ならば8万円程度の負担で済む、というものです。

通常は窓口で一度支払い、その後払い戻しとなりますが、限度額適用認定証をあらかじめ申請しておけば窓口での支払いも8万円程度で済むという制度です。
(万が一知らない方は大病する前に必ず調べておいた方がよいです)

これは癌治療や人工透析などを受けている人にとっては極めて重要な補助制度です。

あたかもこの制度の廃止と国から自治体への負担者の切り替えを「誤認」するようなデマは発信者の悪意を疑うべきでしょう。

デマがエコーチェンバーによって拡散される

ネット上でのデマの拡散はエコーチェンバー現象によって、同一の思想や主義主張を持つ人に強く広がっていきます。

今回のデマも岸田政権や自民党を支持していない人たちを中心に広まっています。(政権支持率はそれとは別件で急降下なので、広がるスピードが速まる可能性はあります)

拡散元のツイートは8月25日の段階で5万近い「♡」を獲得していることを見ると、特定の層に強い訴求力を持っているのは間違いありません。

不安を煽り恐怖と混乱を招く

この煽り方は現在進行形で進んでいる旧統一教会問題に関しても同様です。

教団の違法行為に関しては罰する、広告塔として利用されていた政治家へは相応の処分を下す、というだけで良いのに、教団を日本の影の支配者のように煽る手法です。

こうした民衆の不安を煽り、恐怖や混乱から自分たちの主義主張を通そうとする方法は多くの悪辣な政治体制によって行われてきており、それこそ「大ニュースの陰に隠れて起こるヤバいこと」よりもよほど危険な行為ではないかと私は思います。

今回はいわゆる左派的な人が踊っていますが、少し前の右派的な人たちの踊りもひどいものでした。

よく考えればわかる、常識的な判断をすれば気づけることに、恐怖や混乱が正常な判断を難しくするのでしょう。

真のインターネットリテラシーとは

インターネットリテラシーというと、個人情報を上げない、悪口を書かない、といったもの、あるいはeコマース詐欺に騙されないといったものと考えがちです。

もちろんそういった最低限のリテラシーも大事ですが、そういった犯罪や被害は早晩駆逐されると私は考えています。

現実社会において、かつてよりも治安が良くなり、衛生観念が高まってきたのと同じように、ネットの世界もまたホワイト化し、浄化されていくのではないでしょうか。

しかし、犯罪とは言えないレベルのデマやうわさはなどは犯罪ではなく、あくまでも個人の思想信条や言論の自由に類する内容であり、制限をかけることが難しい部分です。

そうしたデマをしっかりと調べ、確認し、考えた言動を取ることこそが真のインターネットリテラシーだと思います。

今回の件は、キャッチーな情報を信じる前に、一呼吸おいてとにかく調べることの重要性を気づかせてくれるよい機会になったことにだけはツイ主に感謝したいと思います。


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