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「臨時免許」の乱発は教員不足解決の“切り札” となり得るか。
教員不足が全国的に深刻化する中、「臨時免許」を乱発する自治体が増加しています。
より正確に言えば、これまでも非公式にはかなりの数が出されていたものが、教員経験の無い人間や他校種の教員にも乱発する状況となった、というものです。(これまでも過疎地の学校においては一人の教員が複数の教科を免許外で担当する事例は少なくありませんでした)
しかし、こうしたやり方が果たして教員不足解決の”切り札”となり得るのでしょうか。
そこで、臨時免許乱発によるデメリットを考察したいと思います。
教育品質の低下
臨時免許で働く教員は大学で正規の単位を取得したり、実践経験を十分に積んでいない場合があります。
そのため、教育の専門性や教授方法において不十分である可能性がより高いと言えます。そのため、生徒の学習成果や教育品質の低下をもたらす可能性は高いと言えるでしょう。
(もちろん免許を持つ教員にもそうした可能性はありますが、比較するとその率が高い、ということです)
安定性の欠如
臨時免許は一時的な先延ばしをすることで教員不足を解決する試みです。で
しかし、安定した教育環境を提供するには、経験豊富な教員の存在を世代を超えて安定供給することが重要です。
臨時免許の乱発によって教員という職業そのものへの定着率が低下し、非正規雇用者を増加させることで教員の労働市場の不安定化を招く可能性があります。
これにより、職業としての教員の魅力はさらに低下し、長期的な視点で見れば、教員志望者の減少や他業種や民間教育企業への人材流出が生じることは明らかです。
教員職の魅力を高めるためには、教員の働きやすい環境整備や適切な待遇改善が必要であって、それが長期的には教員不足の改善につながります。
臨時免許を乱発しても一時しのぎにしかならないでしょう。
(そして一時すらしのげるかどうか不明なのが現状でもあります)
教育格差の拡大
臨時免許を持つ教員は、教育経験や専門知識にばらつきがある可能性が高いため、学校間や地域間での教育格差が拡大します。
特に小中学校における地域格差はさらに拡大し、都市部の山村部の教育格差は是正できないレベルとなる可能性があります。
オンライン教材なども小中学生の場合は管理者やマネジメントを行うアドバイザーの存在が不可欠であり、そうしたICT環境の充実が行われたとしてもデメリットを乗り越えることは現状では難しいように感じます。
教育改革の阻害
教育現場の改革や革新的なアイデアの導入には、専門的な知識や経験を持つ教員の存在が不可欠です。
臨時免許による教員がすべてそうだとは言えませんが、恒久的に教育に携わらない人材である場合が多いようです。
そのため長期的な改善策や改革に前向きなる可能性は低く、、教育現場の保守化や教育改革の阻害要因となる要因となり得ます。
どう考えても”切り札”にはなり得ない
以上のように、臨時免許の乱発は一時的な対応策でしかなく、教育品質や教育現場の安定性、教育格差の拡大などそのデメリットが多いように感じます。
また臨時免許の発行で現場を回すことで、あたかも人材が足りているように見せかけることが容易になり、それが人手不足が潜在化した理由ともなっています。
教員の労働条件改善は大前提ですが、免許制度を含めた諸制度を大きく変える時期に来ているのは間違いないのではないでしょうか。