「学校司書」はどこに?見えにくい役割とその重要性
「司書教諭」と「学校司書」
学校図書館を実質的に管理する「学校司書」なる職種が存在するのをご存じでしょうか。教育関係者には釈迦に説法だが、それ以外の人たちにとっては公共の図書館司書との違いが分かりにくいかもしれません。
この制度の分かりにくいところはそれと似た「司書教諭」という制度が存在するためです。この二つを混同している人は少なくないと思います。
学校図書館の設置や運営を規定した「学校図書館法」という法律が存在します。この第5条第1項にはこうあります。
ここでいう「司書教諭」は以下の人たちです。
要は教諭であり、講習を受けた人材ということになります。そして原則(学級数12クラス以上の学校)では必ず一人をその任に就ける必要があります。
ところがこの「司書教諭」はいわゆる司書業務をすることはほとんどありません。というよりもできない、というのが実情です。「司書教諭」も他の教員と同様に授業やクラス担任、部活動の業務が存在するため、時間的に不可能だからです。
したがって実質的には「司書教諭」ではなく、「学校司書」が司書業務を行うことになります。
「学校司書」とは
したがって「学校司書」は実質的な学校図書館の管理者であると言えます。ではその資格はどうなっているのでしょうか。以下は学校図書館法の第6条第1項です。
この規定には資格要件は書かれておらず、現実にも事務職員をもってその任に充てることが原則とされています。しかし現実には多くの学校ではそれがなされていません。というよりも不可能です。なぜならば「専ら学校図書館の職務に従事する」ような事務職員を配置することが不可能だからです。
事務職員の定数と「学校司書」の配置
自分の子供時代を思い返して、事務の先生は何人ぐらい学校にいたかを覚えているでしょうか。おそらく2、3人ぐらいだったという記憶をお持ちの方は多いと思います。
実際に文科省の教職員定数の算定においてもそうした規定が存在します。一般に小学校の場合27学級、中学校の場合は21学級で定数が2人となるようです。とはいえ実際にはそれでは業務に支障が出るのは間違いありません。そこで自治体の負担で事務補や司書補を非正規で雇用し対応をしているようです。
しかも複数校の兼務を前提として雇用するケースも少なくないようです。昨今流行りの小中一貫の推進は自治体の財政状況によるものもあるということです。
したがって「学校司書」が常駐していない学校はかなりの数に上ります。「学校司書」に関しては法律上の配置義務が存在しないため、無理やりに配置することもできないのです。そのため図書館が荒れ果てていたり、整理がまともにできていない学校は少なくありません。司書が複数校を兼務し、1日数時間の勤務となればそれも仕方がないでしょう。
学校図書館の重要性
学校は教育、教養を地域に還元するためのインフラの一つです。そこで行われる教育活動そのものも重要ですが、その場所に知的活動を行う場所が存在するということ自体が重要です。
特に小中学生のように行動範囲が制限される子供の場合、地元の小中学校の図書館の役割は決して小さくないでしょう。
私自身も高校時代は図書館にこもり切っていました。図書館でトールキンの指輪物語などの古典ファンタジー、あるいは中央公論や文藝春秋などの総合雑誌との出会いはあの場所があったからでしょう。
昨今は教室に居場所のない生徒のサードプレイスとしての機能も期待されていると聞きます。
それを公的に認めることへの是非はともかくとして、私もそうした逃げ場所として図書館を利用していた一人ではあります。
学校教育への問題に関しては、こと生徒の問題、教科書やカリキュラム、教員の雇用など直接的な問題がメインストリームとなりがちです。たしかにそれらは学校教育の大きな要素であり、非常に重要であることは否定はできません。
しかし学校図書館が教育に占める役割は決して小さいものはありません。教育の入口、教養の玄関としての学校図書館の存在意義は依然として衰えていないのです。
まずは「学校司書」の充実、日本中の全ての学校において「学校司書」が常駐できるような状況を目指す必要があるのではないでしょうか。