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「オンラインコミュニケーション」をすべてコロナ前に戻してはいけない
新学期が始まり、昨年度までと打って変わってこれまでの行事や会議の形式に戻そうとする動きが活発化しているようです。
大手の企業もマスク無し、従来型の入社式を実施ているところが増えています。
あらためて感じる非効率性
私の勤務校でも、朝礼や諸会議のほとんどが今年度から対面式になっていくようです。
この3年ほどオンラインでのミーティングに慣れてしまった結果、あらためて対面式の会議に参加したことで、その効率性の悪さを痛感しました。
配布資料はすべて印刷、それを列に並んで一部ずつ取って着席します。
パーソナルスペースは狭く、それなりに広い換気をしても明らかに空気がよどむ人口密度。
100名近い参加の会議ということもあり会議は議論の場ではなく、基本的に情報伝達だけの場になっています。こんな状況で一堂に顔を合わせる意味があるのかどうかは疑問に感じました。
この数年、PDFで共有していた書類を印刷するというだけでも手間な上、会議室までの移動時間や、会場準備まで考えると明らかに時間的なロスが大きいと再認識しました。
なぜ元の形式にもどしたがる人たちがいるのか
この理由はさまざまですが、主には機器の扱いに苦手意識を持っていること、直接的なコミュニケーションに飢えていることがあげられるようです。
やはりこの数年の間、ICTの導入がストレスだった人は少なくなく、年齢層の高い人だけでなく低い人たちの中にもスマホ以外は触りたくない人がいるようです。
またオンラインでは「ぬくもり」が伝わらないというノスタルジーに支配されている感覚を持っている人もいて、その人たちは直接的なコミュニケーションに飢えていて、元の形式を望む声も強いのではないかと感じます。
確かに、オンラインでのやり取りでは情報が制限されるため、直接的なやり取りと比べて情報量が減少するのは確かです。
しかし、不必要な情報やノイズがカットされる効果があるのも事実です。
もしかすると、抵抗感のある人はそうした言外の情報に鋭いタイプなのかもしれません。
直接的なコミュニケーションの効果を理解した上で、オンラインのやり取りを最大限に活用することが重要
コロナの混乱が最も激しかった3年前のように、直接的なやり取りが全くゼロというのは確かに問題ですが、時間効率を考えればオンラインのミーティングの時短効果や効率性は絶大であるのも事実です。
コロナが落ち着いたから(果たして本当に落ち着いたのかは不明ですが)すべて元に戻す、という考えではなく、必要性や効果に応じて使い分けることが重要なはずです。
オフラインで直接コミュニケーションをとる効果を大手IT系企業が見直しているように、顔を合わせることが仕事を円滑に進める効果があります。
今後の職場でのコミュニケーションにおいてはオンとオフを組み合わせ、それぞれの長所を生かすことが求められています。
具体的には、「会議」はオンラインベースで、「雑談」や「情報交換」はオフラインで、といった具合でしょうか。
私自身はオンラインでのやり方を好む傾向があるため、ややポジショントーク気味にはなりますが、大事なのは「使い分け」であり、「戻す」とではないと思うのです。