「梅林天満宮探訪:神使と秦氏にまつわる考察」
玉名市「梅林天満宮」
先日、玉名市の「梅林天満宮」を訪ねてみました。通勤路の途中にあることもあり、たまたま時間があったためにふらっと寄ってみたのですが、思った以上に興味深い場所だったので、写真を合わせて見たもの、調べたことをまとめてみます。
天満宮とは
天満宮とは「菅原道真」を主祭神として祭った神社のことです。最も有名なのは道真公の墓所でもあり、日本三大天神にも数えられる太宰府天満宮でしょう。(九州の人間からすれば、天満宮といえばここしかありません)
その太宰府天満宮から御分霊社を受けた神社である「天満宮」、一万二千社のでも最古の神社言われているのがこ「梅林天満宮」です。
かつては玉名市安楽寺に建立されていたそうですが、永禄4年頃(1561年)に火災により焼失したため、現在の場所に建立されたそうです。
神使の臥牛
天満宮と言えばどこにでもいるのがこの「臥牛」です。この牛は神様=菅原公の使いとされています。
最も有名な由来としては、道真公が大宰府の途上、命を狙われた時に白牛に助けられたというものです。それ以外にも菅原公は「天満大自在天神」と称される神になっており、これはインドではシヴァ神と同一視されているようです。そしてそのシヴァ神は牛に乗った姿で常に描かれています。
そのため、この小さな神社であっても牛は複数存在しました。
神使の獣に関する個人的解釈
こうした臥牛のような神使は神社の種類によってそれぞれ分かれています。例えば稲荷神社においては白狐、八幡宮においては白鳩というようにです。そしてこれらの神使には単に動物というだけではない、別の解釈が存在します。
例えば、稲荷=鋳成であり、産鉄民を指すという説が民俗学には存在します。また赤い鳥居は朱砂(すさ)=水銀の原料から作られた塗料です。このことからも新羅系渡来人である「秦氏(はたし)」に関連し、狐は秦氏を指す隠語であるとも考えられます。
また秦氏=機(はた)織=八幡=であり、秦氏が創建したとされています。その機=幡=神の依り代が鳩であり、これまた秦氏を指す隠語とも言われています。
この手の歴史解釈はいかようにも可能なので、正確性には疑問符が付きますが、ここから解釈するとこの牛も複数の解釈の余地はありそうです。
例えば秦氏は殺牛祭祀の習慣があり、牛を殺して神に祭って食する風習があったようです。(これ自体は世界中にある民族的風習の一つ)
そのため牛頭天王(牛頭の神)を信仰し、これがスサノオと習合したため、一般には牛頭天王=スサノオとされています。
そしてスサノオ=朱砂の王、とも解釈できます。
このことから私の個人的な創造では、秦氏やそれに連なる集団が都落ちしてきた菅原道真を保護した、というのが白牛に救われたということなのではないかと勝手に想像したりするのです。
祟り神でもある道真公
こうした解釈は様々なところに応用ができます。例えば神社の作りにもそうした解釈の余地があるのです。それは菅原道真が祟り神であり、この分社である梅林天満宮にもその祟り神である要素が神社の立地から読み取ることができるということです。
道真公が祟り神であることは一般に知られています。天神=雷神ですし、京の町に落ちた雷や不幸が道真公の呪いであると当時の人々(=朝廷や貴族)は考えたのでしょう。
呪われてもおかしくないほどの仕打ちをしたから、それを畏れて神として祭ったのです。
まずは入口、参道です。
川を渡る参道とすることで神社の中=三途の川の向こう側=ヨミ、という図式になっています。
一見あぜ道のようですが、どうやら参道のようです。灯篭があります。
その後参道は直角に近い角度で曲がっています。祟り神を祭る神社の参道は曲げることでまっすぐにしか進めない怨霊が出てくることを防ぐと言われています。
正直なところ、畑の中の道のため正確に参道がどこか掴むことはできませんでした。ただまっすぐではないことは分かります。
またこの梅林天満宮の本殿裏の社には稲荷大明神と春日大明神が祭ってありました。春日大明神=タケミカヅチ=藤原氏の祭神です。藤原氏は菅原道真からもっとも恨まれる可能性のある氏族でしょう。それゆえにここに祭ってあるのでしょうか。
寺社巡りはなかなかに面白い
今回の梅林天満宮は決して大規模な神社ではありません。しかしだからこそいろいろな発見がありました。
ここで断っておくと、考察に関しては学術的な裏打ちのあるものではありません。あくまでも一個人の妄想の類のものです。
とはいえ真実が明らかになることは決してない以上、ある程度解釈の余地を生かして自由に想像することは娯楽の範疇なのではないでしょうか。
ここ最近は様々な寺社仏閣(小規模なところ)を回っているので、写真を撮りつつまとめていきたいと思います。
(ちなみに私自身は呪いや幽霊、怨霊などオカルトの類を一切信じてはいません。しかし同時にそうしたものへの恐怖や心配が精神に変調をきたす可能性は十分にあるとも考えています。)
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