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【題未定】GIGAスクール時代に紙と現金──教育業界の決済遅れているか【エッセイ】

 スマートフォンの普及によってeコマース(この言い方も中々古臭いが)が便利になった。十数年前までは「ネットでの買い物は詐欺」と言われており、せいぜい少額の本やCDを購入するぐらいだった。ところが今ではアクセサリなどの高額商品や場合によっては自動車まで購入することもあるという。時代の変化が著しいのを痛感する。

 支払いはどうするか、というとネット上における個人での買い物はクレジットカードを利用することが多いようだ。私自身の体験としても、あるいは周囲の人間と話をしてもそのようだ。

 少し前までは実店舗における売買は現金を利用することが大勢を占めていた。ところがここ5年程でその様子は一変している。コンビニなどの小売店では多くの客がコード払いや電子マネーを利用している。現金派はほとんど見ないといってよいぐらいだ。

 業務上の支払いも同様で、多くの場合はネットバンキングから直接振り込むケースがほとんどとなった。多額の現金を持ち歩くことなく、また集金や管理も容易で非常に便利な世の中となったものだ。

 ところがこのご時世に教育業界ではいまだにレガシーな支払い制度を利用している企業が少なくない。教材代金などの支払いにおいて現金と引換えに渡すケースなどもいまだに存在する。そしてその中でも個人的に最近私を悩ませている支払方法が「郵便払込取扱票」だ。

 「郵便払込取扱票」は郵便局の窓口、またはATMで利用できる振込用紙で、郵貯口座から手数料無しで支払うことができるなど、一見すると非常に便利である。ところがこちらが郵貯口座を利用していない場合、非常に厄介な存在となる。なぜならば現金を他行から引き出し、それを郵便局に持ち込む必要があるためだ。これは最寄りの郵便局と金融機関が離れている場合、面倒な手間がかかることになる。

 この問題、実は回避する方法もあるという。郵貯のサイトでは「郵便払込取扱票」の記号番号を入力すると、払込先の支店、口座番号がわかるフォームも存在する。これを使えば相手先の口座にネットバンキングでスマホから振り込みをすることも可能だ。とはいえ相手が払込の控えで管理している場合などはこの方法では確認ができないというケースもあり、万能とまではいかないようだ。

 「郵便払込取扱票」の面倒な点はそれに加えて、10万円以上の場合は身分証の提示による身元確認まで必要となることだ。仕事用の払込に対して、個人の身分証を提示する場合、住所は個人のものを記入する必要がある。業務上の支払いに経営者ですらない個人の担当者の住所記入はどうにも首をかしげざるを得ない。

 歴史的に見れば口座を持たない人からの集金や、電子記録として残すことができない時代において、「郵便払込取扱票」という制度は非常に簡便で優れたシステムであったのかもしれない。しかし21世紀に入って四半世紀が過ぎた現代において、直接現金を手書きで記入して払い込むこのシステムはATMで処理をできたとしても時代遅れのように見える。

 相手先がこのシステムから変更するということを期待したいが、どうにもこの「郵便払込取扱票」が都合がよい人もそれなりにいるようだ。赤い用紙であれば手数料を払込先にすることができるなど、メリットもそれなりにあるという。

 教育現場はこうしたシステムに対して社会から一段遅れた業界である。いまだにFAXが現役であるのはその証左であろう。とはいえ、そろそろアップデートする時期ではないだろうか。GIGAスクールのアプリの使用料金を紙封筒の徴収袋で集め、手計算で担任が帳簿をつけて「郵便払込取扱票」で入金するというのはあまりにも滑稽なのではないかと思うのだ。

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