合格発表の時期だからこそ伝える、国立大学を後期まで受験をしてほしい4つの理由
国立大学の前期発表
ここ数日、国立大学の前期試験の合格発表が続いています。3月10日の東大、京大の発表まで気もそぞろな受験生も多いことでしょう。
さて、近年の多くの高校生は私立大学に進学します。学力的に中間層以下の生徒はほとんどが私立大学への進学ですし、高学力層であっても私立大学への進学者は少なくありません。
早慶、MARCHや関関同立を目標に大学受験をする高校生は非常に多いことだろうと思います。
一方で国立大学はというと、かつてほどの高い学力層が集まる大学ではなくなっていますが、それでもなお根強い人気を誇っています。地方の大学であっても一定の志願倍率を維持していますし、そもそも受験している時点で共通テストを受験し、それなりの得点を取っている段階で選抜がなされているため見た目上の倍率以上に人気があるのも事実です。
特に田舎では国立大学の学士様をいまだに崇拝(表現は極端ですがこれに近い雰囲気の地域は実際に存在します)する向きもあり、国立大学に進学したい生徒は決して少なくありません。
私の勤務校のような地方都市の学校では、高校1年の最初の面談などでは親子ともに目標大学は国立、というケースがほとんどです。
後期日程を受験すべき理由
前期の合格発表が終わると、3月12日から後期日程の試験がスタートします。しかし近年は後期日程を受験する人が減少しているように感じます。
私立大学への進学希望者の増加に加えて、併願可能な私立大学の総合型選抜、推薦型選抜で合格を確保しているケースが増えており、モチベーションが前期の発表、あるいは前期の受験時点で切れるからのようです。
しかしだからこそ、私は自校の生徒には後期日程までしっかり受験をするように伝えています。そしてそれには以下のような理由があります。
1.実質倍率が意外に低い
国立大学の後期日程の倍率は非常に高いケースがほとんどです。例えば佐賀大学の経済学部経済学科の2023年度の倍率を見ると以下のようになります。
出願決定時点では9倍、実際に受験日に会場に来たのがその3分の1弱の約50名、20名のみの合格であればこれでも2.5倍の倍率ですが、割増合格で37名を合格としたため、実質倍率は1.4倍となっています。
これであれば最後まで受ける価値は十分にあるでしょう。
2.追加合格の可能性
上記のように後期試験は倍率が低いため、定員を充足しないケースが多々あります。そのため追加合格を出すことがあります。
この手の追加合格において、入学辞退者の多い後期日程は追加で合格が出やすいことが予想されます。したがって、まずは受験をして合格せずとも不合格者の名簿に名前を載せるだけでも可能性を高めることになるでしょう。
3.学習の継続性と学習記録
また、仮に合格までたどり着かなかった場合を考えます。私立大学に進学をすることもあるでしょうが、希望する大学に合格が無い場合は浪人をすることになるでしょう。
その時に考えなければならないのは次年度に向けての学習を継続することが必要になります。そしてその時間がゆとりをもって使えるのはこの春の時期です。
後期日程まで受験をしている生徒は卒業式後も学習を継続しています。したがって気持ちを切らさずに学習ができていることになるわけです。
4月以降の浪人生活を考えた上で3月中旬までしっかり学習している場合と、2月で学習を止めている場合はどちらがスムーズに受験勉強を進められるかは明らかです。
また現時点で全落ちの場合、自分が受験生活でどこまで実力を高めたか分かりにくいことになります。後期合格の大学で第1志望にどこまで近づけたかを測る材料にもなり、次年度の学習の指針になるでしょう。
4.気持ちが変わる
それだけでなく、そもそも後期は第2志望だから出願はしたが行く気はない、という人もいるでしょう。しかし実際には合格を受け取ってみないと本当に進学しないかは実はわからないケースが多いのです。
私が見てきた受験生の多くも、最初の段階では「行く気はない」と言っていたにも関わらず、合格が出てあっさりと前言撤回して進学する生徒を見てきました。
受験生活はつらく、不合格は自分を否定された気持ちにもなる精神的にも負担が大きい時期です。その中で合格をもらえた喜びは事前では想像できない感覚になるでしょう。
理想郷はない
残念ながら大学受験、大学進学において理想郷は存在しません。仮に第1志望の大学であってもそこが自分にベストマッチかどうかは進学をするまではわからないのです。
だからこそ、出願をした=無意識に悪く思ってはいない、合格をした=大学側が求める要件を満たしている、という状況を考慮すれば「縁」あって受かった大学に進学するというのは決して誤った選択ではないと思うのです。
何はともあれ、後期試験を受験予定の受験生は最後まで頑張ってほしいところです。
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