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【題未定】SNSが覆した兵庫県知事選:オールドメディアとの世代間対立【エッセイ】

 昨日、20時丁度に各メディアが兵庫県知事選の当選確実を伝えた。もはや現時点では言うまでもなく、斎藤前知事の当選という報道である。これが明らかに各種メディアがこれまで報じていた内容とは全く異なる結果であることは言うまでもないだろう。ちなみにNHKの当選確実は多メディアと比較してかなり時間を置いての発表となっているようだ。

 今回の兵庫県知事選は異例づくめの選挙だった。知事が議会による不信任による失職、その原因と目されていたパワハラと県職員の自殺問題、その後の各種メディアの偏向報道とNHK党(正式名称不明)と立花孝志氏の当選を目的としない参戦など枚挙に暇がないだろう。

 まずもってこの話を議論の俎上に載せるにおいて留意していただきたいのは、私はあくまでもフラットな立場から話をしているという前提条件に関してである。より具体的に言えば、斎藤前知事のパワハラ問題に関してその実態を知るわけでもなく、兵庫県民という当事者でもない人間だということだ。私の論説の全ては公平であろうと思われる報道内容のつぎはぎに基づいている。すなわち、斎藤氏のパワハラに関しては存在の有無は不明、少なくとも推定無罪が成り立つという立場で考えている。

 その立場から見ても今回の兵庫県知事選は非常に興味深いものだった。各種メディアがこぞってスキャンダラスな内容と左翼系候補の太鼓持ちをする一方で、SNSでは前知事を擁護する意見が急速に強まった。「しばき隊」などの動員がその傾向に拍車をかけた。結果、この兵庫県知事選はかつて類を見ないほどにメディアとSNS上の世論が対立する構図が出来上がった。もちろんXなどのSNSには斎藤不支持を堅持する意見もあったが、明らかにSNS上での世論は斎藤氏に傾いたものであったように感じた。

 斎藤氏のパワハラが事実かどうか、私には不明だし興味もさほどない。ただ、今回の選挙の結果が明らかにSNS世論が巻き返したという意味で大きな意味を持つものであったのは間違いない。それこそ、先の衆院選で国民民主が躍進したのと同様の構図であろう。こうした動きはデジタル世代が40代以上に拡大、またアナログ堅持世代が鬼籍に入りつつあることを示すものではないのだろうか。

 社会保険制度は世代間における不公平感を最もの実に表す問題の一つであり、現役世代と高齢世代を最も大きく分断する可能性のある社会問題の一つである。その崩壊が目前に迫る中、数的には劣勢である若い世代の意見が強く反映されるSNSと、中高年以上のいわば「逃げ切り可能」世代を代表する既存オールドメディアとのパワーバランスの崩壊が何を意味するのだろうか。大きな大変革の時期を迎えていることは間違いない。期待と不安を感じる日々である。

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