[読書メモ] アトミック・シンキング: 書いて考える、ノートと思考の整理術
■はじめに
頭の中にあることを「書く」コトによって全体を俯瞰しながら、思考を可能にします。その「書いて考えたモノ」を「アトミック」にして、自分の資産とします。この「アイディアの素材」こそが、考えることを拡張するための「第二の脳」として活躍します。
アトミック・シンキングの「アトミック」とはどういうものなのか
「原子」を由来とした概念のことで、文章やアイディアなどを、これ以上論理的に分割できない最小のサイズにしたものを「アトミック・ノート」と言います。覚えておきたい、考えたいことをすべて書いて、目に見えるようにします。これを分解していく過程を「アトミック・シンキング」と言います
アトミック・シンキングの基本の流れ
「書く」コトから始めます。考えを書くことができたら、それを「アトミック・ノート」として、一つのノートへまとめていきます。
■第一部 アトミックシンキングとはどういうものか
アトミック・シンキングは「書いて考える」思考の整理法
人の頭は、ワーキングメモリーが小さいので、覚えておくことができず要約してしまいます。また、頭の中で思い描いたものはどこにも残りませんが、大変な労力を割いて書いたものは消えずに「残る」のです。この残ったものを「見ながら考える」ことができるので、多くの物事を組み合わせて考えることができます。
このように「書いて考える」ことができれば、他の人たちよりも頭一つ抜けた思考を手に入れることができるのです。
書くことを通じて思考を拡張する第二の脳を作る
「リンク型」のデジタルノートに「第二の脳」と呼ぶにふさわしい思考を補助し考える能力を拡張していくことが目的です。書いて覚えるのではなく、書いて考える・理解することが「アトミック・シンキング」での重要なポイントです。
アトミック・シンキングはあらゆるスキルの土台となるスキル
「アトミック・シンキング」による成果が出るには時間がかかりますが、不透明な将来を生き抜くための「土台」を形成する力があります。
書いて考えることを習慣にする
訓練を繰り返すことによって、容易に習得できない「文章を書く」スキルを身につけるために、ありとあらゆる文章を書くタイミングを「質の高い練習」と考えて週間となるまで実践します。
書くことができないのは経験が足りないだけ
いま、文章を書くことが苦手な場合は、ただ経験が足りなかっただけ。
複雑なことは分解してひとつひとつ覚えていく
一つの文章を作るために、必要な単語を組み合わせて、助詞や助動詞を組み合わせながら、文法にそって、一つ目の文章を作り上げます。
前の文と繋がるように、続きの文章を記述していきます。これらは関連性を持って組み合わせなければなりません。
頭の中にあるものをこのようにまとめていくことは、至難の業です。複雑なまま実現できるようになるための方法が必要です。
頭の中のもやもやを文字にするフリーライティング
「フリーライティング」は、「ピーター・エルボー(Peter Elbow)」氏の提唱した執筆の練習法。次の3つの特徴を兼ね備えています。
書くことで頭の中を整理する方法
書くためのウォーミングアップ
書く能力を身につけるための練習法
実践するためのルールがあります。
何も思い浮かばないときも「何も思い浮かばない」と書きながら、頭の中に思い描いたものを、思い通りに止まらず、編集せず、文法も気にせずに決まった時間内は、途中でやめずに書き続けることが大事です。
「フリーライティング」には二つの方法があり (1)目的を持って書く (2)自由に思ったままを書くがあります。慣れてきたら10〜15分くらい書くことが推奨されています。
毎日の出来事を文章にした日記を書く
その日に起きたことを、ただひたすら「文章」にして書き続けていくという「日記」を書く訓練です。日記なので、習慣になりやすいという考え方です。
日記では事実とそれ以外を分ける
日記を書き続けられるようになったら、「事実」と「それ以外」を分けて書くようにします。事実によって文章力の、感想によって思考力の向上が見込めます。
事実とそれ以外を分けられるようになることで、自分の考えを「アトミックにする」ことができるようになります。
鍵があると本の内容を思い出せる
「読書メモ」は生涯に残る思考の土台となるので、「鍵」となる言葉を残しておくことで思い返せます。また、本を読んで、感じたこと興味を持ったことを書き残してまとめることが重要です。
自分が面白いと思ったことを自分のことばでまとめる「読書メモ」
「アトミック・シンキング」で考える読書メモは「自分が面白いとも思った内容を自分の言葉で文章としてまとめたもの」で、自分の言葉でまとめて書き記すようにします。自分の言葉になった段階で、要約自分の知識として「使える」状態になったと言えます。
思いついたことを文章にしてまとめておくことで、それを知識として、記憶として呼び覚まさせやすいという実感を得たことがあまりない。実感を得られるまで、こうやって繰り返し読書メモを作っていくしかないのではないかと、今は考えています。
三つの練習のそれぞれの目的をきちんと理解する
フリーライティングで、考えを言葉に表現できるようになる。
日記を書くことで、考えを「アトミックにする」ために、「事実」と「意見・感想」へ分類できるようになる。
読書メモを書くことで、「人に勉強を教える」コトと同じ意味を持つようになる。
正しく理解をしなければ、それを他人へ伝えることもできません。ひいては、それは将来の自分の記憶を呼び覚ますこともできません。
自分自身への「問いかけ」と「その答え」が読書メモによって導かれていくと言うことは本を読む本でも訴えかけられていましたが、自分は、まだ「問い」を生むことができないでいます。何か解決策を見つけたくて、何かスキルを身につけたくて「読書」をしているはずなのですが、自分には未だにそういった「問いかけ」をしている自認がありません。
コピペしないで必ず自分のことばで書く
「アトミック・シンキング」での重要な要素は、何度も書かれているように「自分の言葉を使って、自分の文章で書く」コト。書き直すことによって、それを自分の知識と経験の血肉となります。
失敗したか考えず「またやればいい」という気持ちを持つ
全てを完璧にすることは「理想」なので、とにかく実践して継続することが大事です。
一つ一つの文章やノートを丁寧に扱う
「アレ」的な代名詞を使うことで、他人や将来の自分が理解することができません。面倒であっても、その時その時に感じたこと、考えたことを自分の言葉で、明確に丁寧に記すことによってノートの価値が高まります。
普段から、きちんとした文章を書くことを心がけていなければ、それは文章を書くための練習にはなりません。
■第二部 アトミックなノートの書き方
庭の手入れをするように自分が書いた文章も手入れする
執筆したノートの一つ一つを、庭に植える草木に例えて、手入れを施していく様子を「デジタル・ガーデン」と呼びます。
"第一部 アトミックシンキングとはどういうものか"に書かれていた方法で種まきをしたら、綺麗な草木が咲き誇るように、補足したり、分割したり、リンクしたりとノートを編集して洗練していきます。関連するノートをグルーピングして、目次のようにまとめているものを「トピック・ノート」とも言います。
デジタルだからこそできる、この思考方法を習得していきましょう。
ノート手入れのコツはノートを「アトミック」にすること
「タイトル」の付けられそうな文章の単位に区切ること。
ものによっては、1行くらいになりそうな単位も存在するのでは?
書いたノートはアトミックにすることで理解が進みアイデアが広がる
通常、文章を理解しようとして読んでいるとき、「分解」を意識していません。しかし、文章を「分解」しようとして読むと、「分解」を意識して文章を読むことになります。そして文章を「分解」できたことこそが「理解」と言える状態です。
意味を正しく理解できたからこそ、物事の「本質」を見抜くことができて、分解できた。故に「理解できた」という境地に達すると言えるのでしょう。
一度書いたことをもう一回書くことは簡単にできる
一つの文章を分解して細かくしておくことで、パーツとしての再利用性が高く応用しやすいノートになります。
文章にしておくことで、その内容の理解度を深める効果もあります。
アトミックノートとレゴブロックの関係性
レゴで例えると、単語が一つのレゴブロックになります。このレゴブロックをいくつか組み合わせて、意味のあるカタチのものになると、アトミック・ノートになります。このカタチになったものを更に組み合わせると、大きな一つの世界がレゴで表現できます。文章で言えば、一つの記事や本ができた瞬間です。
はじめから全体を書ききろうと言うことは難しいものです。まずは、レゴブロックでの最小限の塊となるものをコツコツと、微に入り細に入り準備をして精度を高めていくことが「アトミック・ノート」を作ることになります。
ノートはできるだけ抽象的に書く
再利用しやすいように、汎用的な抽象化された文章を書くことが必要です。実際に汎化された文章を書くには、そのもの毎の構造を正しく理解していなければ、抽象的に記述することはできません。構造を正しく理解して、汎用的な文章を記すことができれば、再利用性の高いノートとして完成に近づいていきます。
ノートにタイトルを付けられるかどうかが「ひとつのことかどうか」の基準
実際に記述された文章を見て、タイトルを付けることができるかどうかを一つの基準とします。もし、タイトルが付けられないのであれば、それは複数の事象を盛り込んでしまっているだろうと推測ができるでしょう。
思いついたタイトルを持って、もう一度文章を書き直していきます。このとき、不要となった文章も出てくるかもしれませんが、それはこのタイトルには不要な文章です。その文章は別のノートに書き起こして、新たにタイトルを付けていくという行為を続けていきます。
タイトルを付けては、文章を書き直すという行為を繰り返しながら、アトミックなノートができあがっていきます。
ノートは「書いて終わり」ではなく常に改善すべきもの
この言葉を思い浮かべました。
生み出されたものは、永遠のベータ版です。完璧になるようなことはありません。毎日コツコツと下書きを書き綴りながら、読み返しては少しずつ手直しをして良い文章へと改善していくのです。
■第三部 アトミックノートをまとめるトピックノート
ノートを組み合わせるためにはアトミックであることが重要
「事実」を書いたノートと「それ以外」のことを書いたノートを別々にします。
たとえば、1192年に「源頼朝が征夷大将軍になった」ことは、記録に残っている「事実」ですが、それを「鎌倉幕府が設立した」と「判断」したのは歴史家です。これらはわけて考えるべき事項です。
判断の根拠として「事実」のノートへリンクすることが望ましいでしょう。
ノートはリンクで整理する
「アトミック」になったノート同士を、自分の判断で関係性のあるもの同士をリンクさせ、あらゆる物事を「知識」として繋げていく習慣を生み出します。
ノート同士のリンクが使える代表的なノートツール
デジタルなノートは「同時に複数の場所に存在できる」
物理的なノートでは、必ず一ヶ所に配置せざるを得ません。しかし、デジタルなノートであれば、どこにあっても、複数に関連付けられた関係性を表現できます。階層化されたフォルダに間然に従わずとも、デジタル特有の整理の方法ができます。それがリンクです。
このリンクを使って、連想しやすいノートを作ったものが「トピックノート」です。
トピックノートによる整理と検索、フォルダ、タグでの整理の違い
関連するアトミック・ノートをまとめて、インデックスを作ったノートを「トピックノート」と呼びます。タグやフォルダ、検索では必要以上の情報が集まるため、個別にカンガに考え抜いた手動で作成したインデックスが重要になります。
トピックノートの効果は並べるだけで整理できること
トピックノート内の項目が増えてきたら、並び替えをして整理を行います。頭の中だけでは整理の難しかった事項が、「書くことによって」リストをこうやって並べるだけで簡単にできるようになります。
アトミック・ノートに細かく分類していったものを、集約してトピックノートを作ります。その集約をさらに分類していくことで、さらに思考が整理されていくわけです。
トピックノートに並べたノートからつながりを見つける
トピックノートが増えすぎてきたら、分類項目ごとにトピックノートをわけて、そのわけたトピックノートを一覧化するトピックノートを作ります。この方法は、ボトムアップで整理している点がポイントです。
普段、考えて出てきたことは、何か体系だって思考されたものとは限りません。それ単独では一つの意味しか持たないノートであっても、やがて一つのグループを作り出し、ボトムアップで体系を作っていくことに意味があります。
アトミックなノートとトピックノートは一対一ではない
一つのアトミック・ノートは、複数の分類に入ることは当然ですから、複数のトピックノートへ積極的に所属させるべきです。このことで、更なるリンク = 繋がりを生み出すこともできます。
トピックノートに分類することで「考えが整理される」
トピックノートを作ることによって、情報を見つけやすく整理するだけではなく、ノート同士のつながりや関連性を発見する「考えを可視化するノート」としての役割が重要です。このことによって、一つのノートをさまざまな切り口からとらえることができるようになります。
考えと知識を整理して、知恵を生み出す土台になるといえるでしょう。
すべての知識はリンクでつながる
早々にトピックノートで整理・分類を行っていくことは得策ではありません。数の少ないうちから分類厨になって整理・整頓をしすぎていくことで思考を妨げることになりかねません。
とにもかくにも「書く」ことから始まります。さまざまなアイディアやひらめきは、これらの土台をひも解いて、つながっていくことで気がつくものです。つながりがあることで、知識の幅も増えていき、効率も上がっていくことでしょう。
偏ったトピックノートこそが自分自身の個性になる
「書き出したこと」は、自分に興味のある、好きなことになります。ですから、できあがっていくトピックノートも偏りを示していくことでしょう。自分の興味の断片をトピックノートによって可視化できたわけです。
まとめ:一度にすべてを完璧にしようとしない
「大体」で進めていけば、そのうち成果として現れてきます。
改めて
著者: ごりゅご
※ 以上、"Obsidian" の読書メモをそのまま転記