第二回リーダーズ講座

デジタルハリウッドSTUDIObyLIGの話題(?)の新講座「リーダーズ講座」の第二回が4月22日に開催されました。
…が、外せない私用により急遽アーカイブでの視聴になりました(残念)

「リーダーズ講座」の詳細についてはこちらをチェック!

講師

第二回講座の講師は「MUUUUU.TV」や「MUUUUU.org」で有名なムラマツヒデキさん(株式会社Quoitworks 社長)でした!!

1月にも開催されたMUUUUU.TVとデジLIGのコラボイベントに参加させていただいて、非常に面白いセミナーだったので、とても楽しみにしていた回でしたが、リアルタイム参加できず…
指を咥えながらアーカイブ動画を視聴し、悔し涙を流しながらnoteにまとめていきます。

ポータブルスキルについて

今回の講義テーマは「ポータブルスキル」についてでした。
「ポータブルスキル」とは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキル(厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール」より)のことで、どんな仕事でも役にたつ基礎的なスキルと言ったところでしょうか。

しかし、デザイナーという専門職を目指してデザインを学んでいる学校でこんな講義をするんだ?と思うでしょう。とムラマツ氏。

ただ、異業種からデザイナーに転職した身として、未経験だろうがどんな環境だろうが、仕事を成立させてい生き抜くためには、このポータブルスキルが結局一番重要だと実感しています。

Webデザインにおいて重要な「ポータブルスキル」

厚生労働省が上げるポータブルスキルの中から、特にWebデザインに必要なものを抜粋すると、

  • 伝え方

  • 論理的思考

  • 交渉術

これができないと、いくらすごいデザインができても、戦いに負ける。
仮にできなかったらどうなるか?

伝え方は才能だとして放棄したデザイナー
そもそもデザインはユーザーに伝える仕事。これで諦めてる時点で向いてない。
論理的思考を学ぼうとしないデザイナー
クライアントと合意形成できない。好き嫌いだけの話になって、相手に振り回される
交渉力は自分の仕事と思っていないデザイナー
クライアントやディレクターと揉める。嫌われる。金銭的に損をする。
自分が納得できる落とし所に着地しない。

交渉力はフリーランスやっていると特に実感します。
交渉できないとお金は稼げず、時間だけがかかって悪循環に陥るの確定ですから。さらには無茶な納期で仕事ふられるようになってしまって、辛い思いをする羽目になります。

この辺りのスキルは前職(工場エンジニア)時代に養われた気がしています。
伝え方に関しては、言い方悪いかもしれませんが、当時の伝える相手は言葉の理解力が高くない部活一本タイプの高卒の方や日系外国人の方から、ものすごい屁理屈をこねてくる上司までさまざまでした。伝え方を工夫しないと伝わらないことは日常茶飯事でした。
論理的思考に関しては、機械のトラブルを解決するのには必要不可欠な思考法でした。なぜ?どうして?の断片的な情報を自分でまとめて答えを導き出すことをとにかく繰り返していました。
交渉力は、自分が仕事をするためには、止めるわけにはいかない製造ラインを止めなければならないことが多々ありました。そのときに、こちらの要求だけでは当然納得させられないので、落とし所を探す必要があります。ただそれだけでは難しいので、普段自分に余裕がある場面では相手の要求にできるだけ応えておいて、自分の要求が通りやすい環境を作っておくことも大事だと思います。

こんな感じで絶対役に立たないであろうと思っていた前職の経験が今めちゃくちゃ役に立っていると感じています。
今の仕事関係の人とこの話をしたことがあり、自分が他の未経験デザイナーよりも優れていると褒められたポイントでもありました。
おかげで今信頼を得られて、どんどん仕事を回してもらえてるんじゃないかなと(勝手に)思っています。

論理的思考

主張に対して「なぜ?」をぶつけていく。理由には「他人も同じくそう思うか?」をぶつけていく。そうすることで客観視できた強い主張と根拠ができる。
これって、ひろゆきの代名詞とも言える「それってあなたの感想ですよね?」と「そのデータってあるんですか?」への対策じゃないですか。
言われるとイラッとするけど、仕事する上でこの2点を潰せた主張と理由があると大体うまくいくと思っています。

ピラミッドストラクチャー

「主張」をたくさんの根拠で支えていく考え方。「何故なら」をたくさん繋ぐイメージ。
「何故なら」のない「主張」ってただのわがままですからね…
「何故なら」の確からしさが高いとより「主張」に重要度とか優先度とかが増していくと思います。

So What?/Why So?

だから何?/それはなぜ?で自問自答する。心に「ひろゆき」を置く手法。
ここでも出てきた「ひろゆき」。「ひろゆき」のように「なぜ?」に対して細かく答えとそれを支える根拠を用意するプロセスが論理的思考かもしれません。

交渉術

交渉は駆け引きではない!!
ハード型の交渉(=論破)
相手にとってメリットがない場合が多いので、長続きしない。
ソフト型の交渉(=なんでも聞いてあげる)
相手に悪意がある場合、食いつぶされてしまう。

白か黒かを決めようとする交渉はうまくいかないことが多い。
目指すべきは探求型交渉!
お互いのメリットを最大化するwin-winの着地点を探す。

ムラマツ氏「ハード型の交渉を続けるとまじで離婚します!

探求型交渉

【STEP 1】話を聞きまくる(メンタルブロックを外す
【STEP 2】お互い何が欲しいのか徹底的に話し合う(対立関係でなく仲間関係になる)
【STEP 3】白黒以外の色を一緒に探す(お互い気持ちいい答えを探す)
個人的にには仲間関係になることが一番ポイントかなと思います。
対立関係のままだと、お互いwin-winのポジションを探すことはほぼ無理だと思いますし、交渉のストレスがMAXになります。(経験談)

伝え方の基本ルール

  • お願いをそのまま言葉にしない

  • 相手の頭の中を想像する

  • 相手のメリットと一致する提案をする

デートに誘うのに、デート行きませんか?は別に相手にとってメリットではない。
(自分がよっぽどイケメンで、相手にとってそれだけでメリットである場合は除く)
美味しいお店があるので一緒にいきませんか?とかであれば、美味しいご飯を食べられるメリットが生まれるので、お願いが通りやすくなる。
ただ、そのメリットを超えるデメリットが存在する場合は、もちろんお願いを受け入れてくれない。そのメリットが本当にメリットになるのかを考えるために相手の頭の中を想像することが大事になってくると思います。

この基本ルールと7つの手法でお願いに対してYESをうまく引き出すことができる

1.相手の好きなものを探る

例えばデザインがうまくいかなくて提出期限を伸ばしたい時、「デザインの提出期限を伸ばしてください」とそのまま言っても「いや期限までになんとかしてください」と言われることは見えていますよね。
そこで「クオリティを上げたいので粘ることはできませんか?」とするとクオリティの高いものが出てくるという相手に対するメリットがつくので、YESがより引き出しやすくなります。

2.相手が嫌なことを回避させる

「ダサいのでこのビジュアルを使いたくないです」と言ってしまうと相手は不快な思いをしてしまう。(僕も言われたら泣きます)
この「ダサい」を「なぜ」で分解していけば、相手を納得させられる理由が作れます。
例えば「このビジュアルだと営業くさくなりすぎて、プレミアムなブランドイメージと合わない」とすると、「方向性が違ったんだな」とか「じゃあもっとこうしようかな」とか納得する形にできると思います。

3.選択肢を用意する

「ダサいのでこのビジュアルを使いたくないです」だけでNGを突きつけると、「どうしたらいいんだよ!」となる場合もあると思います。(僕は割とこうなることが多いです)
この状況をあらかじめ回避するために、代替案を用意しておくとお願いが通りやすいと思います。
「このビジュアルではなく、モデルのの視線が目を引くA案か、商品が際立つB案のどちらかにしませんか?」
普段の生活でも「今日晩ご飯カレーでいい?」と言われて「えー、カレー?」と言ってしまって、お母さんに怒られることがあると思いますが、これを「カレーじゃなくて、オムライスにしない?」とかいうと食材の都合などで叶わないこともありますが、少なくとも直近のどこかでオムライスが出てくる可能性は上がります。タイミングによってはその日の夕飯がオムライスに変わるかもしれませんね!

4.認められたい欲を刺激する

単にお願いしても「忙しいから他の人に頼んで〜」と言われたことはないでしょうか。そこを「〇〇さんじゃないとできないので、お願いできませんか?」のように認めている言葉が入ることで、お願いされた側も「しょうがないなぁ」と悪い気はしません。YESの可能性がぐっと上がると思います。

5.あなた限定

「今日のミーティング参加お願いします」と言われても、「めんどくさいな」とか「参加する必要ある」と思ったことってあると思います。
「あなたにきて欲しいんです!」とか「あなたが来てくれないと進まないんです」とすることで、必要とされていると感じられるので、心が満たされて、相手に対してメリットになりYESを引き出す可能性が高くなります。

6.チームワーク化

「クオリティを上げてください」とだけ言われても、依頼される側にだけ負荷がかかっているようで、簡単にYESとは言ってもらえません。
僕自身も「〇〇してください」と一方的な指示ばかりが飛んでくるディレクターと仕事をしていた時はさすがに疲れてしまいました。(途中で投げ出せないのでやりきりましたが…)そんな方よりも、「スケジュールとってきたのでここもう少しつめてくれませんか?」とか「わかりづらい部分あったら聞いてください!」といった一言があるだけで、ディレクターさんも一緒に頑張ってくれているなと感じて気持ちよく仕事ができていたことがありました。

7.感謝

単に「修正してください」と言われても、NOと言いたくなることも多いと思いますが、「いつもありがとうございます!おかげさまでいい感じになってきています!本当に恐縮ですが、少しだけ修正をお願いできますでしょうか?」と言われると悪い気はしないと思います。
感謝から伝えてお願いするとなかなか断りづらくなります。
前職の経験ですが、普段はソフト型で相手の要求をできる限り聞いていたり、相手のお願いになるべく早く応えておくことで、この感謝と逆パターンになると思いますが、「あなたがいうならしょうがない、やってあげようじゃないか」と自分が追い込まれた時に手助けしてくれることがよくありました。感謝を伝えることも大事ですが、普段から相手が自分に感謝の思いを持ってくれるような行動をとっておくことも大事かもしれません。

実績のクオリティ自体が上がる
自分の市場価値も上がる

これらの思考法や交渉術ができるようになると、

  • クライアントを上手にコントロールでき、YESを多く引き出せる

  • ミスリードしてしまっても、適正な理由を用意して納得してもらいチームの士気を下げないことができる

  • チームメンバーにいつも以上に頑張ってもらえる

  • そもそもクライアントの伝えたいことを具現化するのがデザイナーの仕事だからデザイン自体も上手くなる

以上のようなメリットを生むことができるようになり、結果を出せるようになります。それはつまり自分の市場価値が高まることになります。
デザインだけができて、これらができていないと、クライアントやディレクターとの間でコミュニケーションエラーが発生して、ズレたデザインしかできず、クオリティ低下や無駄な作業時間が増えて金銭的にも不利な状況になってしまいます。

デザイナーの一番の仕事は
言葉なくとも心を掴むデザインを作ること

ぱっと見、これまで散々交渉力が重要と言ってきたのに「言葉なくとも」って矛盾してるじゃんと思いますが、たいしたことがないものを理論武装で売りつけることは詐欺師の手法であり、デザイナーのやるべきことではありません。
デザイナーは説明をせずとも相手に伝わり、心を掴めるデザインを作ることが一番重要な仕事であることは変わりありません。

  1. 語らずとも心を掴むデザイン・価値・アイデア(フィジカル)を作る

  2. 散々自問自答して出した答えを正しく理解してもらうために技術(テクニックを使う

この順番と両立が大事で、頭だけで納得するだけでは人を動かすことはできません。

次の時代は合理主義より「心を掴めるもの・ひと」

昔は合理主義・ロジカルシンキング・正攻法だけで勝てたが、これらの情報を手に入れて実践できる人がいなかったから。
今は誰でもできるほど情報を手にいれることが簡単になっているので、これをベースとして、さらに心を掴めるもの・人が勝てる時代になってきている。

ビジネススキルを持ったデザイナー

デザイナーの枠で考えると、心を掴めるものを作れる人はそれなりにいるわけで(本来そういう仕事だから)、逆に伝え方・交渉力・論理的思考といったビジネススキルを持った人というのはなかなかいない。
つまりビジネススキルを持ったデザイナーは超レア=市場価値が高いということになります。

ポータブルエキスパート

10年も20年かけて一つのスキルを極めている場合ではなくなってきています。どんなスキルでも3〜5年でだいたいはマスターできる時代になっている上に、複数のスキルを持った人材が求められて、そういう人の方が市場価値が高い時代になってきています。

その他のお話

SNS発信のコツ、独学の道についてというテーマでお話をされていました。
…が、参加者しか聞けないお話ということで、noteにまとめるのは控えます。
気になる方は、SNSやYouTubeでムラマツ氏をフォローして、実際にイベントに参加することをおすすめします!

まとめ

行けなかったことが本当に悔やまれると涙を流しながら、アーカイブを見てここまでまとめてきました。
今回の講座は、自分の5年ちょっとの会社員時代に感じていたことが、まんま言語化されて、フリーランスの今周りから言われていたり、こうするのがいいのかも?と考えていることがまとめられて、さらにムラマツさんの経験でそれが超強化されて自分に投げかけられているような内容でした!
自分がやってきたこと(というかサラリーマンがよく言われること)が間違ってなくて、異業種フリーランスでも活かせるんだ、もっと伸ばしていろんなビジネススキルを身につけようぜ!!と言われている気がして、ものすごく自信と安心を得られたような気分になりました。
デザイナーとしてデザイン力だけじゃなくて、このようなビジネススキルは忘れがちだけど大事だし武器になるので、吸収していかなきゃなと思いました!次こそは参加するぞ!!!(笑)

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