ドキュメンタリー映画『ビヨンド・ユートピア脱北』の衝撃シーンベスト3&この映画が僕たちに教えてくれること
僕は奇跡を目の当たりにしました。
移動距離12000キロ、4つの国境を違法に越え、幼子2人、80歳祖母を含んだ5人家族ロー一家が見つかったら死からは免れない状況下で脱北を成功させた奇跡。
そして、その道程を撮影し映画化された奇跡。
さらに、この脱北劇がコロナ禍前だった奇跡。
その映画のタイトルは『ビヨンド・ユートピア 脱北』
一人のアメリカ人の女性監督の手で創られ、2023年サンダンス映画祭【観客賞】受賞、シドニー映画祭最優秀国際ドキュメンタリー映画賞受賞など、世界で評価されている映画です。
ユートピアとは北朝鮮のこと。
この映画の冒頭に
【再現映像はありません】
という文字がスクリーンに映し出されました。
映画では、北朝鮮から中国にわたりながら、路頭に迷っている5人家族が、これまで1000人以上の脱北者を支援してきた韓国在住のキム牧師に「助けてほしい」と懇願しているテレビ電話のリアルな場面から始まります。
その後キム牧師の指示に従い、中国からベトナム、ベトナムからラオス、ラオスからタイに違法な方法で国境を越えるリアル。
また北朝鮮国内の生活を隠しカメラで映し出したリアル。
この現実を知り、僕は衝撃すぎて言葉を失い、スクリーンを観ながら涙が止まりませんでしたが、観終わった僕は一人でも多くの方にこの映画を観てもらいたいと思っていました。
そこで、この映画のレビューを兼ねて、僕がこの映画で衝撃を受けたシーンベスト3を紹介したいと思います。
それだけではなく、僕たちはこの映画を通じて何を学ばなければならないのか?この映画は何を僕たちに教えてくれているのか?を考えてみました。
僕のこのnoteを読んで、映画『ビヨンド・ユートピア脱北』に興味を持って頂ければ嬉しいです。
ビヨンド・ユートピア 脱北の概要
最初に、簡単ですが、この映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』の概要をお知らせします。
作品名:ビヨンド・ユートピア
原題:Beyond Utopia
劇場公開日:2024年1月12日
あらすじ:脱北を試みる家族の死と隣り合わせの旅に密着したドキュメンタリー。
僕は妻が、観たい映画があると教えてくれるまで、このドキュメンタリー映画『ビヨンド・ユートピア脱北』の存在を知りませんでした。
タイトルを見て、予告動画を観て、まず衝撃を受けたと同時に
どうやって撮影したのか?これは本当にリアルなのか?
と思いました。
観終わった後、現実を目の当たりにして、再現映像はなく、
全てがリアルでした。
全てが真実でした。
全てが衝撃的でしたが、この映画の衝撃シーンベスト3を紹介したいと思います。
ビヨンド・ユートピアの衝撃シーンベスト3
もう一度いいます。
この映画は再現映像はありません。
すべてがリアルです。
北朝鮮の農村での生活ぶりや拷問を受けるシーンなど、隠しカメラで撮影されたものでした。
勇敢な方の手により、隠しカメラが北朝鮮に入り込み、撮られたものだったのです。
インターネット上には、多くの隠しカメラ映像が出回っているようです。
そんな衝撃的なシーンも含め、観たものすべてが衝撃的で、順位をつけることに何の意味もなさないんですが、、、
ただ、あえて僕個人の意見として順位をつけることにしました。
こちらが衝撃的なシーンベスト3になります。
1位 10時間国境越え
2位 10時間国境越え後のインタビュー(北朝鮮をどう思うか?)
3位 息子の脱北失敗
では、ワンシーンごと解説してまいります。
1位 10時間国境越え
娘を持つ親として、幼子をおんぶして、
「自分なら10時間も道なき道を歩けるだろうか?」
というのが僕の一番の感想です。
ベトナムとラオスの国境を越えるには、ジャングルを抜けなければならなかった。
当初歩いて3時間かかるとブローカーからの説明あり。
明かりをともしたらバレてしまうため、最小限の電気をつけ、出発した一行だったが、歩けども歩けども、目的地にたどり着かない。
真っ暗闇で、小枝が身体に刺さったり、石で傷つけられたり、、、
起伏が激しい地形で、一歩足を踏み外したら、落下してしまうような危険な場所も多々あり。
その間、父親は幼子(未就園児)をずーっとおんぶしていました。
もちろんしんどかったと思いますが、
「脱北して自由になる!」
という想いだけであるき続けたんだろうと思います。
「俺に出来るか?」
いや
「そんな状況なら出来るのか?」
という複雑な想いをしながらスクリーンを観ていました。
彼らはブローカーの言われるがままに、歩き続けましたが、たどり着く気配すらない。
ある時、同行していたキム牧師が気づきます、
同じところを通っていることに。
ブローカーは
「無事に目的地までたどり着けたかったらお金を上乗せしろ」
という要求をしてきたんです。
ブローカーはあくまでも脱北者をお金としか見てない
というキム牧師の言葉も心に刺さりました。
キム牧師は、たどり着いたら金は払うと交渉し、出発して10時間後に目的地にたどり着いたんです。
ただラオスの安全な場所にたどり着いても、まだ自由な身にはなりません。
北朝鮮⇒中国⇒ベトナム⇒ラオス
とすべて共産主義で、北朝鮮とも親密な関係もあり、、、
密告されてしまえば、北朝鮮に送還されてしまい、待っているのは死、もしくは一生出てこれない収容所行きです。
ラオスからタイに入れば、自由の身になるため、まだまだ予断は許さない状況でありながら、隠れ家に到着した彼らの笑顔は素敵でした。
その後のラオスからタイは船で川を渡るしかありません。
麻薬の密輸にも使われるため、射殺されるリスクもあり。
その船だって、幅は一人の大人が乗れるほど。
バランスを崩して転覆すれば、あの世逝きです。
キム牧師が口を酸っぱく、乗るときも降りるときも、
「一人ずつ、焦らずゆっくりと」と言っていたのが印象的でした。
実際、直近でキム牧師の指示を聞かず、早く自由になりたいがために、焦ってしまい、転覆し5人が亡くなった事故も起きたそうです。
タイについたら警察に捕まり、
「North koreaだ」と言うようにというキム牧師からの指示も印象に残りました。
というのも、今までは警察に捕まったら、北朝鮮に送還されてしまう状況でした。
一方でタイでは、「捕まれ」と。
それほどに、タイ王国が脱北者にとって、安全な場所といえます。
僕は祈る想いでスクリーンを凝視していました。
「頼む、助かってくれ。」
「無事にタイに着いてくれ」と。
タイ側の岸辺に着いた船を降りる彼らに向かって
천천히、천천히(ゆっくり)
한면씩、한면씩(一人ずつ)
と心のなかで韓国語で祈りました。
無事に全員が船から降りれたとき、僕の涙腺は崩壊し、涙が止まりませんでした。
自分があの父親の立場だったら、
「娘を守ることが本当に出来るのか?」
僕は最後まで答えが出ませんでした。
それほどまでに僕にとっては衝撃的でした。
最終的に、自由を手に入れた彼らは、現在韓国で幸せな生活を送っています。
「なんで、北朝鮮から直接韓国に渡らないの?」
と疑問に思った方もいらっしゃるかと思います。
かつては、そのルートの方が主流でした。
しかし、最近では200万個の地雷が埋められているため、かなり危険ということで中国ルートでの脱北する方が多いとのことです。
いずれも死と隣り合わせであることは間違いないですが。。。
2位 10時間国境越え後のインタビュー(北朝鮮をどう思うか?)
ある意味衝撃的だったのが、その10時間歩き続け、ラオスの安全な場所にたどり着いた一行に撮影スタッフがインタビューをしたときです。
「北朝鮮をどう思うか?」
という質問に対して、80歳の祖母がなんて答えるか、僕はスクリーンを食い入るように見ていました。
これだけしんどい想いをして、国境を越え、脱北を図ろう、自由になろうというわけですから、きっと祖国とはいえ、最悪な環境にいたことを憂うのかと思ったんですが・・・。
その祖母が言ったのは、
「偉大なる金正恩総書記は素晴らしい人物だ」
と。
김정은께서는・・・
キムジョンウンケソヌン
と言っていたのを記憶しています。
ちなみに께서(ケソ)は尊敬語ですので、いまだに金正恩を尊敬していることが伝わってきます。
80年間洗脳された思考は本当に根深いと思いました。
アメリカは憎き相手だと教育を受けていた祖母は撮影スタッフのアメリカ人を信用していなかったようです。
「本当は私たちを殺そうとしているのでは?」
と思っていたようです。
娘から
「本当に思っていることを言っていいんだよ」
と言われながらも、祖国のことを悪く言うことはありませんでした。
10時間、道なき道を歩き続けて自由を手にしたいという想いがあるにもかかわらず、変わらない思考に、僕は衝撃を受けました。
ただ、この祖母も韓国に入った後は、ようやく洗脳から解けてきて、安心した気持ちになりました。
韓国に入国後、こんな幸せそうな笑顔をされています。
3位 息子の脱北失敗
ロー一家の脱北は成功しましたが、もう一方の家族の脱北は失敗に終わりました。
先に脱北を果たした母親の息子が脱北を試みました話も映画に出てきました。
が、、、
北朝鮮から中国に入れたものの、ブローカーに裏切られてしまい、北朝鮮に送還させられてしまったのです。
母親が脱北後、10年も会ってない息子でしたが、話によると、収容所に入れられてしまったと。
収容所に入れられると、一生出られないと言われています。
この母親は、息子が収容時に入れられたと聞いたとき、韓国のアパートから飛び降りて死のうと思ったそうです。
しかし、同じ脱北者の方から「息子の命を、母親であるあなたが諦めたら、他の誰が希望を持つのか、諦める。希望を持ち続けなさい」と諭され、いまも希望を持ち続けて生きているようです。
ロー一家の脱北成功の陰には、このような失敗例がごまんとあり、亡くなった方、もしくは生死すらわからない方がいることも知り、僕にとっては衝撃的でした。
ですが、この母親はアメリカでこの「ビヨンド・ユートピア」が上映されたとき、スクリーンに息子の写真が映し出され、胸が張り裂けそうだったが、この映画に出演してよかったと語っています。
と息子に会ったときに言ってあげたい、と。
この母親は、2023年12月に大阪に来て、講演をするなど、各国で北朝鮮の実情を伝え、北朝鮮人権に関心を寄せてほしいと訴えています。
息子のような第2の被害者、第3の被害者をこれ以上生まないためにも、キム・ジョンウン政権を相手に戦わなければいけないと決心した、と強く語っている姿には胸を打たれました。
他にも、北朝鮮国内の生活を写した隠しカメラの映像で、実際の公開処刑の様子や、拷問を受けている様にも衝撃を受けました。
脱北者の証言から、北朝鮮ではウンチが貴重な肥料になっているそうです。
冬の間凍らせたウンチを指定の場所に運ばなければならず、そのウンチが少ないと罰せられることもある、とのこと。
観るものすべて、聞く証言すべてが衝撃的なドキュメンタリー映画でしたが、僕たちはこの映画から何を学ばなければならないかを考えてみました。
映画レビューとして、もっと詳しく知りたい方はこちらの方が僕より素敵なレビューを書かれています。こちらもぜひご覧ください。
ビヨンド・ユートピア脱北から僕たちが学ばなければならないこと
それは、【今を一生懸命生きることの大切さ】ではないでしょうか?
僕はこの映画を見終わった後、北朝鮮の方には申し訳ないですが、日本に生まれて本当に良かったと心から思いました。
北朝鮮の方は、北朝鮮に生まれたくて生まれたわけではありません。
だけど、たまたま生を受けたのが北朝鮮というだけで、【巨大な仮想刑務所】に囚われているのと同じです。
しかし、北朝鮮にいる方は、そのことにすら気づいていない。
むしろ、自分たちは金正恩様に守られており、幸せだ
と思っていることでしょう。
一部の方だけが、虚構であることに気づき、ユートピアからの脱出を図ります。
成功する方はほんの一握りでありながら・・・。
またこの映画は世の中は不平等ということをむざむざと見せつけてくれました。
これを読んでいるあなたはもしかしたら、一度は「金持ちの家に生まれてくればこんな苦労はしなくてもよかったのに、、、」
とか
「一生遊んで暮らせたのに、、、」
と思ったことがあるかもしれません。
僕も実際あります。
僕はその時、世の中が不平等であることに気づきました。
だけれども、この映画を通じて、僕らが、世の中が不平等と思っていることが幸せなことだと実感しました。
だからこそ、この幸せを無駄にしてはいけないとも強く感じたのです。
一日一日を大切に生きているのか?
幸せな日本に生まれながら無駄な時間を過ごしてないだろうか?
日本に生まれたことに感謝して生きているだろうか?
2024年1月のいつのニュース番組か覚えていませんが、朝のトップニュースが地震の被害状況ではなく、ダウンタウンの松本人志さんの話題だったのを見て、つくづく日本って平和な国だなって思ったのを思い出しました。
平和な日本に生まれたのは運が良かったと言わざるを得ません。
それなら、この日本に生まれたことを目一杯楽しむことが、日本に生まれてきたものの使命ではないかと思いました。
ビヨンド・ユートピア 脱北レビューまとめ
ドキュメンタリー映画『ビヨンド・ユートピア 脱北』のレビューを兼ね、僕が個人的に衝撃を受けたシーンベスト3を紹介しました。
1位 10時間国境越え
2位 10時間国境越え後のインタビュー(北朝鮮をどう思うか?)
3位 息子の脱北失敗
そして、この映画で北朝鮮の真実を知り、脱北の現状を知った僕は、日本に生まれたことに感謝して生きようと強く思いました。
僕は、この『ビヨンド・ユートピア脱北』を多くの方に観てもらいたいと思っていましたが、あまりの多くの方に触れると、映画関係者や脱北者に悪い影響があるのかもと思い、躊躇しました。
一部の詳細は関係者の安全のため伏せられているとも映し出されたのも躊躇した理由の一つです。
たとえそうだとしても、すでに世界で上映され、僕と同じように衝撃を受けた方が沢山いるわけですから、僕一人が発信をしないことに何の意味もないですね。
であれば、発信者の一人として、このドキュメンタリー映画『ビヨンド・ユートピア脱北』を一人でも多くの方に見てもらうべき発信しなければという想いで書かせていただきました。
ロー一家の脱北はコロナ禍前だったため、成功できました。
コロナ禍においては、各国で規制が入り、キム牧師は助けを求めてきても、断らざるを得ないと心痛な想いを吐露されていました。
つまり、この映画が公開されたことが奇跡なんです。
僕のこの記事を通して、奇跡の映画『ビヨンド・ユートピア脱北』に、北朝鮮の現状に、そして脱北の現実に関心を持ってくれたら幸いです。
長文を最後まで読んでいただきありがとうございました!
韓国語を学び、韓国に留学し、韓国で運命の人と出会い、韓国と出会ったことで人生が変わった僕が、なぜ副業を始めたのか?なぜネットビジネスなのか?なぜブログを始めたのか?そしていまブログで成果を出せている理由については、こちらにまとめているので、どうぞ読んでみてください。