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青森がっつり建築さんぽ 十和田・八戸編【建築巡礼09】

電車で弘前を7時半頃に出発し、新青森経由で八戸まで、そこからレンタカーで十和田まで移動。
安藤忠雄、隈研吾、西沢立衛、藤本壮介という錚々たる建築家の作品が目白押しで、現代建築好きにはたまらない街なので、どうしても十和田に行ってみたかったのです^_^
この手の旅でレンタカーを使ったのは初めてです。バスでは接続する時間がどうしてもうまくいかず…。でもかえって、青森の雰囲気を肌で感じることができて結果オーライでした^_^
さて。それでは早速!
(写真は十和田市現代美術館の屋外展示です。草間彌生のかぼちゃです^_^)

まずは八戸駅で八幡駒のお出迎え。日本三大駒の一つだそうで。恥ずかしながら全く知りませんでした💦
十和田市民交流プラザ トワーレ/隈研吾建築都市設計事務所/十和田市/2014年
このルーバーというかスリットというか。
もう隈さんらしさというべきデザインとなってますね。
実際には外壁があって、その上に留めつけてあるだけ。
腐ってきたら取り替えればいいと割り切ったデザインです。こういう割り切りもありですよね。
カーテンの間仕切りっていうのは、この手の施設ではアリかもしれません。
室の配置を少しずつ振って、空いたスペースを余剰空間として一般開放するという、今風の計画ですが、照明とルーバーとカーテンとトップライトとその組み合わせで洗練した空間に昇華させています。
十和田市地域交流センター/藤本壮介建築設計事務所/十和田市/2022年
あえて外壁、あえて絵、あえて穴から内部を覗かせるとい外観計画。
外からも垣間見ることのできる中庭がメインの空間に思えます。
この中庭沿いに通路があり、さらにその外側に居室を並べるという、面積的にはなんとも贅沢な計画。
で、ちなみに、この建物、前述のトワーレとの使い分けってどうしてるんでしょ?
2つの建物がとても近くて、用途上もかなり重複しているような気がするのですが…
カトリック十和田教会/マックス・ヒンデル/十和田市/1932年
玄関部分を切妻にして、本体よりスケールを落としていることで、柔らかな印象を受けます。下見板といい色合いといい、清楚でかわいい建物です。
側方上部に回廊があります。
連続したアーチといい、内部もかわいい建築です。
中心市街地にはこの手のオブジェがそこかしこにあります。
こういうの、良いですよね^_^
十和田市教育プラザ(図書館+教育研修センター)/安藤忠雄建築研究所/十和田市/2015年
一般向けの図書館と、職員向けの教育研修センターが背中合わせでくっついている施設で、設計は世界の安藤忠雄。
一つの建物とすることで少しでも建設費用を抑えるなどの効果はあったと思うんですが、この二つがくっつくからこそ、という効果が何かあればよかったのになあ、というのは部外者の感想ですね💦
コンクリート打放しででこの表情。
純粋にさすがと思います。
天井を抑えた一般的な空間と、トップライトがあって開放的な天井のある休憩空間が連続している空間構成。
単純だけど、とても効果的で効率的です。
十和田市庁舎/山下設計/十和田市/2020年
市役所も建て直されたところのようです。
奥の庁舎から前面道路に対し、段々の花壇が設置されており、写真の渡り廊下も外側にベンチ(バス停?じゃないよね?)があります。
休日で人が全くいないため、使われ方があまりイメージできないのが残念です。ベンチは芝生をステージとした際の観客席という位置付けですかね?
十和田市現代美術館/西沢立衛建築設計事務所/十和田市/2008年
道路沿いに道路に対して振った配置の建物群と屋外展示群が現れます。
ボリューム的には街に馴染んでいるのでそこまでの違和感はないのですが、自己主張は強烈です💦
エントランスで振り返れば奈良美智さんの壁画。
こういうのいいですよね。
美術館なんだから、こんなんやってるよーと、ディスプレイ的に外部に対して何か示すことはすごく大切なことと思っています。
まずは来て見てもらわないと始まりませんしね。
そう考えると屋外展示も連動しているこの美術館は素晴らしいと思います^_^
受付の床面です。
もう、のっけからワクワクします☺️
この美術館については、後日単独の投稿をしようと思います。
よければまた読んでやってください^_^
旧苫米地家住宅/六戸町/江戸時代後半
十和田から八戸に戻る最中に唐突に目に入って途中下車。
こんなに立派な民家が道の駅の横に唐突に現れたのでビックリ。思いがけずにいいものを見せていただけました^_^
玄関も複数あるし、このあたりでは名家だったのかな。
六戸特産品直売所「メイプルふれあいセンター」/RAB開発/六戸町/2002年
簡単にいうと道の駅です^_^
とても家庭的な雰囲気でちょっとほっこりした気持ちになりました。天井をあげた箇所だけ特長的なデザインにした、簡潔な設計ですね。
お土産にニンニク味噌とニンニクの素揚げを購入しました^_^
八戸市美術館/西澤徹夫建築事務所・タカバンスタジオ設計共同体/八戸市/2021年
せっかく八戸市を経由するのだからと、話題の八戸市美術館も行ってみました。
目玉のジャイアントルーム。
ここで色々制作もでき、展示もできるという美術館としては挑戦的な空間。
色んな声はあるみたいですが、私には、この空間があることが決定的なこの美術館らしさを形作っていると思っています。
詳しくはまとめのところで💦
旧河内屋橋本合名会社/安藤安夫(第一生命営繕課長)/八戸市/1924年
平成10年に移築され、今は酒造の直売所として利用されています。
洋館風といいつつ、和風っぽい要素もありつつ、2階の前面だけハーフティンバーっぽく、1階にはステンドグラス。
当時としてはかなり斬新だったのではないでしょうか。
店内です。
中央のフード?は以前飲食店だった時の厨房の名残とか。
もっと年季が入って見えるんだけど…
そういえば、このお店で日本酒の試飲はどうですか?と声をかけていただきました。
レンタカーを使っていて唯一残念に感じたのがこの瞬間でした💦
八戸ポータルミュージアム はっち/針生承一建築研究所・アトリエノルド・アトリエタアク設計共同体/八戸市/2011年
イメージはイベントスペース+八戸紹介展示スペース+積層された横丁。
中にはチャレンジショップ的なものも多く、イベントも行われていたので低層部は活気があり、上層部はその練習のためとか、くつろいでいる方が多く、総じてうまく使われている印象。
ただ、八戸の街の規模を踏まえれば、3階建てくらいが適切なボリュームだった気がします…
八戸まちなか広場 マチニワ/INA新建築研究所/八戸市/2018年
簡単にいうと、大きなガラスの箱。
富山のグランドプラザに似てる!
違うのは部分的に2階建てであることと、この木質の仕上げ。
上部からふんだんに光も入ってくるし、イベント単発で考えればグランドプラザよりこっちの方がいいなあ。
モニュメントもいい感じではあるんですが、固定されてると、イベントとしては制約を受けてしまうかなあ。
また、グランドプラザは百貨店と商店街に面しているので、街全体の回遊を産むことに貢献しているという意味ではグランドプラザの方が上かなあ。
と言いつつ、個人的にはかなり好印象です^_^
江陽閣ガーデンテラス/オリエンタルコンサルタンツ一級士建築事務所/八戸市/2016年
マチニワに隣接し、1階にブックセンターが入っています。マチニワとセットで中心市街地を活性化させる起爆剤的な位置付けなんでしょうね。
外観が駒形の赤と南部鉄器の黒を象徴的に表しているそうです。
道すがらものすごく気になりました…
看板建築でもなさそうだけど…
YSアリーナ八戸(長根屋内スケート場)/山下設計/八戸市/2019年
八戸駅に帰りがてら、途中の運動公園に。
このホワイエとても良いです。
木製のルーバー天井と独特の形状のペンダント照明が、無機質な空間に温かみを与えています。
スケートリンクが使用できないのに、勉強している学生が多かったのが印象に残りました。
八戸市体育館/久米建築事務所/八戸市/1963年
曲面屋根に目が行きまして。
内部の階段がすごい💦
普通は中2階を作ると思うんですが💦
この建物、もう建て替えが決まっているそうです。
残念だけど仕方ないか…
明治記念館(旧八戸小学校講堂)/八戸市/1881年
電車までもうちょっと時間があったので、急遽追加で。
櫛引八幡宮の境内に移設されています。 下見板、扉や柱頭の意匠、ステンドグラスなど、なかなかのものですが、境内の中ではなかなかに異質です💦
櫛引八幡宮正門/八戸市/1648年
敷地の主たる八幡宮は南部総鎮守であり、坂上田村麻呂まで遡るとのこと。
重要文化財がてんこ盛りです。
そもそもこの正門からして風格が違います…
櫛引八幡宮長所(旧拝殿)/八戸市/1648年
拝殿よりも濃厚なオーラが…と思ってたら旧の拝殿でこれも重要文化財とのこと💦
櫛引八幡宮本殿/八戸市/1648年
小さいながらも彫刻とか細かい造作がなされています。
もっと近くで見たかった…
八戸駅まで戻ってきました。
帰り際によく来てくれたという味のある書を発見💦
こういうの、嬉しいです☺️
もうちょっと時間があれば、八戸ルカ教会まで行ったんだけど…次回訪問するキッカケを残したというところですかね💦

さて、いかがでしたでしょうか。
後編の十和田市から八戸市編をお送りしました。

結果的にこの二つの市を比べることができたのは面白かったです。どちらも美術館を一つの核としてまちづくりをしているのですが、アプローチが真逆に感じました。
十和田市は言うなれば、外部から持ってきたデザイン、八戸市言うなれば、内部から沸き出たデザイン。

十和田市は外部デザイナーがこれでもかというくらいに上質な建物やデザインを供給し、市民はそれを享受できています。ああ羨ましい💦
美術館なんてものすごい集客力ですが、それがどれくらい市民の動きに繋がっているかまではわかりませんでした。
八戸市ははっちにしろマチニワにしろ、市民参加型のデザインがあり、イベントが多かったせいもあってか、とても活気を感じました。

どちらも訪れてみて本当に良かったです^_^

建築的にはあと青森市と黒石市には是非とも訪れてみたいけど…次はいつ行けるかなあ💦

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