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コラム 創造_”見えないものとこと”


株式会社ソロモン 代表取締役 砂原康治 (商品開発アドバイザー)

 世の中には、目で見えない”もの”と”こと”があります。

見えないもの:目的、目標、作戦、技術、権利、ノウハウなど
見えないこと:関係性(因果関係)
見えるもの:製品、サービス、現象など

 見えるものと見えない”もの”のどちらが大事かというと、源流である見えないものだと私は思います。川下である見えるものは、いつでも、どこでも、誰でもつくることができます。企業は商品がたくさん売れると大きくなります。そのため、目で見える物を重視する傾向があります。しかし、世の中が変化したとき、現在販売している目でみえる製品やサービスが価値を持たなくなる事はありえます。すぐに次の手を準備するためには、目でみえないものを重視しておく必要があると思います。技術、権利、ノウハウなどがあれば、すぐに次の商品を販売することができます。技術、権利、ノウハウなどは紙に書けば目に見えますが、紙が価値を持つわけではなく、理解して運用する能力が価値を持ちます。
 しかし、商品は、目で見える製品やサービスにすることをお勧めします。技術や権利、ノウハウなどは大事ですが、目で見えないものを売るのは大変難しいことです。それを買ってビジネスプランを組み立てられる人にしか、価値は分かりません。よって、購入できる人数が桁違いに少なくなります。それよりは、目で見える製品やサービスは購入後の使い方がわかりやすいので売りやすいのです。「これがいくら」といった方がよいでしょう。
 このように目で見える分かりやすいものを販売しながら、見えないものを大切にしていくとよいと思います。
 次に目で見えない”こと”について書いてみたいと思います。私は、10代の頃から不思議だなと思うことが沢山ありました。目の前で起こる現象に規則性があるのです。前にも書きましたが、学生時代、数学の先生が何のために数学を勉強するのかを説明してくれました。「世の中で起こっている現象を数式にして理解し、次に自分がどう行動すれば良いかを考えるため」というのです。最終的には目で見える現象となって現れるのですが、その仕組みや法則を知れば、次に自分がどう行動すれば良いかを知ることができます。これは、どの分野にも応用できることです。例えば、人間関係、科学的な研究、投資、ビジネスなどです。時として私は、ハリーポッターやスターウォーズが混ざった世界で生きているかのような錯覚を覚えることがあります。映画の原作を書いた人の生い立ちを知りたくなってしまいます。私は、観察しすぎなのかもしれませんが、観察し法則をライブラリーに蓄積し、必要なときに技術やノウハウの一部とすることで、特許などの権利にすることができます。そして、私はそれを製品化して販売してきました。観察するためには普段忙しくしていてはいけないと思います。体を動かすと頭が動かなくなります。法則一つ一つはあまり価値を持たないかも知れませんが、組み合わせによっては大きな価値を持ちます。その組み合わせを応用し、新しいことを考える事を仕事というのだと思います。

2024年7月19日発行
(出典:帝国データバンク 帝国ニュース北陸版)

ありがとうございます。起業以来、下請けと工賃仕事をせず自分で考えたものを世に出して生きてきました。その経験をノンフィクションとして書いています。