【サービス誕生秘話 Vol.01】oVice事業拡大のために、私たちが乗り越えたこと
こんにちは。oVice CEOのジョンです。
oViceを知ってくださった方から「コミュニケーションツールを開発することになったきっかけはなんですか?」「サービスが伸びるまでにどんな困難がありましたか?」と、最近よく聞かれます。
そこで今回のnoteでは、oViceの開発背景と事業拡大の過程で直面した課題について、まとめました。
コミュニケーションツールに「空間」の概念を
oViceのアイディアが生まれたのは、2020年2月。前職で、アフリカのチュニジアに出張していた私は、新型コロナウイルスが急激に感染拡大した影響で、日本に帰ることができなくなりました。さらに、現地では外出禁止になってしまったんです。
それまで私はテレワークを経験したことがなく、どちらかといえばオフィスワークしたい派でした。既存のツールをたくさん試してテレワークを実践しましたが、どれもしっくりせず……。働きにくさを感じるなかで、リアルなオフィスの利点がはっきりとわかってきました。
リアルなオフィスなら、座っているだけでさまざまな声が聞こえてきますよね。「このプロジェクトは上手くいきそう」、「あのチームの進捗が遅れているらしい」などの情報が、自然と耳に入ってきます。また、面白そうな会話があれば気軽に参加することもできます。
オフィスでは、流れるようなコミュニケーションが取れていたんです。
しかし、多くのWeb会議ツールは、会議が終わった瞬間に相手との会話も途切れてしまいます。雑談のような会話は生まれづらい。Web会議ツールに常時ログインして働くことも試しましたが、特定の誰かに話したいだけの場面で全体に会話が聞かれてしまうなど、さまざまな課題を感じていました。
そうした体験を通じて、オフィスという「空間」が、シームレスな会話や偶発的な会話を促しているのだと気づいたんです。
そこで、テレワークのツールに「空間の概念」——アバターの距離によって声量が変わる機能など——を付け加えたらどうなるだろうと、社内向けのコミュニケーションツールを開発してみることにしました。
“声”に着目した“バーチャル”空間上の“オフィス”
早速作ってみたプロトタイプ。バグは色々ありましたが、私やメンバーが実際に感じていたコミュニケーションの課題が解決される兆しを感じました。
世の中にオフィスワークをしたい人はたくさんいるし、同じような課題に悩んでいる人もいるはず。ニーズがあると確信して、サービス化に向けて動き始めたんです。
ちなみに「oVice」というサービス名ができたのは、開発を始めてから3ヶ月後。開発当初は、使っていたフレームワークの「Lalavel」と、ポケットWifiの通信回線「Urez」を合わせた「Lalaz」と呼んでいました。
しかし、さすがに簡単に考えすぎだと、メンバーから反対があったんです(笑)。
「ネーミングをジョンに任せていたらだめだ!」と、みんな危機感を感じたようで、名前を一緒に考えた結果、「oVice」という案が出てきました。「Voice(声)」に着目し、「Virtual(バーチャル)」上に「 Office(オフィス)」を作るサービスということで、ぴったりな名前でした。
サービスが拡大するまでに乗り越えた2つの課題
そこから本格的にサービス化に向けて開発を進めます。フロント側を私がやって、通信技術側は現CTOの長谷川が担当。チュニジアのエンジニアも巻き込んで、急ピッチで進めていきました。
その過程で、大きく分けて2つの課題に直面したんです。
1つ目は、技術的なチャレンジ。
通常、技術的課題の解決策はウェブ上を探せば必ず見つかります。しかし、私たちは独自の通信プロトコルを組んでいたので、自分たちで新しい解決策を作る必要がありました。
本格的な開発に着手してから3ヶ月が経過し、イベント開催で実証実験をするフェーズに入っても通信のバグはたびたび起きます。当時は、20人の同時ログインでドキドキするようなレベル。とにかくさまざまな方法を試して、改善を繰り返す日々でした。
リリース前には、大量に用意したパソコンで同時接続、同時作業をする負荷テストも実施。
そうやってバグと改善を繰り返しながら、イベントを利用した実証実験の参加人数を増やすことで、スペースの同時利用可能人数を徐々に増やしてきました。
2つ目の課題は、新しい市場の開拓です。
2020年6月頃は、ほとんどの人が「夏になったらコロナは収束する」と考えていました。テレワークの課題を一時的なものだと捉えていたんですね。
スタートアップのピッチでサービスプランを発表すると、「面白い技術だね」とは言われますが、最終的には「市場がなさそう」と落とされることも多かったんです。資金調達の際も同じような状況でした。
当時はどうすればいいか悩み、バーチャル化が進んでいるイベント市場側にサービスを寄せようかとも考えました。
しかし、このサービスは「テレワークでもオフィスのように働けるようにしたい」という強い気持ちがあって開発されたもの。諦め切れず、活用できる市場を探そうと粘りました。
2020年8月、事態が大きく変わりました。コロナが短期的には収束しないことがわかってきたんです。企業が一時的だと考えていたテレワークの課題も、長期的に取り組むべき働き方の課題として捉えるようになってきました。
決定的だったのは、2021年1月の緊急事態宣言。生活様式の急激な変化に後押しされる形でoViceの市場が完全にできあがりました。そこから、事業は急拡大していったんです。
まだまだサービスの成長の話には続きはありますが、文章が長くなってしまったので、今回はこのへんで終わりにしたいと思います。より詳細な開発の裏側や社会ニーズの変化についても、別の機会でお話しする予定なので、楽しみにしていてください。
(編集協力:oVice編集部)
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