穏やかで、健やかな春を
なごやかな、ぽかぽか暖かく、柔らかな明るさに包まれる。モクレンがピンと花開いて、高潔な光をまとってかがやく。
今年に入ってもう3ヶ月目だというのに、年始に立てた目標を全然達成できていない。そんな自分のだらしなさを肯定してくれるような、優しい時間が滞りなく流れる季節。
こんな溶けるような時間を一緒に過ごせる人がいる。
没薬と煙草の混じった匂いを纏うこの人は、彼にしかない温度感があって、言葉の美しさがなんとも心地良い。
煙草を咥えて、ライターの蓋を開ける時の「キン」と鳴る金属音。火に顔を近づけるときのすだれ睫毛が、仄かに、暖かい色に照らされて、純粋に綺麗だと思った。
溌剌な花たちと、寧静なこの人と、もうすぐ、ようやく、待ち望んだ春を迎える。
焦らずに、ゆっくりと、 。
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