今、静岡の工場が開く! オープンファクトリーイベント「しずおかファクトリー博覧会」開催
静岡のものづくりは“もっと”すごい!
こちらは「第13回SCCしずおかコピー大賞」で、「ものづくりの県、静岡」を伝えるコピーとして大賞に輝いた作品です。
「本当か?」と、当初は審査員の方々も疑ってしまったと言います。しかし調べてみればわかるように、世界に出荷されている日本のピアノは静岡でつくられたものばかりです。
静岡のものづくりはすごい!
県内外の方が声を揃えて言いますし、静岡は県を挙げて「ものづくり県、静岡」をアピールしてきました。ピアノに限らず、世界に誇れる産業が静岡には溢れていますが、まだまだ「ものづくり」が浸透しているとは言いづらいのが現状です。
静岡の誇れるものづくりを、もっと発信していこう!
地元の人々にものづくりの魅力を、もっと知ってもらおう!
そんな熱い想いを持った有志が集まり開催されたのが、「しずおかファクトリー博覧会」(通称「ファクハク」)です。
こちらは秋におこなわれる本イベントにむけてのプレイベントであり、静岡初の一般向けオープンファクトリーとなります。
オープンファクトリーとは製造業に関わる企業の協力のもと、ものづくりの現場を公開し、来場者に工場を見学・体験してもらう取り組みのこと。
来場者にとって、普段は見ることのできない工場は魅力的なエンターテイメントであり、また、企業側にとっては来場者との交流を通し、仕事や自社製品への新たな気づきを得る機会になります。
そんなオープンファクトリーの取り組みを静岡で広めようと、今回、自慢の工場を開いたのは静岡市にある以下の7社です(順不同)。
・山崎製作所
・東名鍛工株式会社
・栗田産業株式会社
・ナガハシ印刷株式会社
・伊豆川飼料株式会社
・株式会社エクタス
・有限会社セイシンメタルプロ
金属加工、肥料メーカー、印刷所など、バラエティー豊かな企業が集まった中から、静岡みんなの広報取材班は3社を伺って、ものづくりの魅力を肌で感じてきました。
鉄を加工する職人の技
私たちが最初に訪れたのは、東名鍛工(とうめいたんこう)株式会社です。
同社は自動車などの回転軸となるシャフトの鍛造を主とする会社です。鍛造とは、真っ赤に加熱した鋼を叩くことで形を造ると同時に鋼の組織を強く鍛えることを指します。
工場前には加工前の鉄の棒が積まれていました。
これが今からどのように加工されていくのだろう……そんなことを考えながら、ヘルメットと軍手を装着して工場内部へ向かいます。
熱・音・振動!
工場内には巨大な機械が所狭しと置かれていました。
目から入る情報の多さに加え、機械の作動音に金属のぶつかり合う音、大きなファンが回転する音など、外にいた時は感じられなかった音の洪水に圧倒されます。
数ある機械の中でも存在感を放つのは、ゆっくりと回転する円盤状の機械。
こちらは鋼を熱して柔らかくするための炉です。側面に開いた穴から光と熱が漏れ出ています。内部の温度は1200度にもおよぶそうで、近づくとものすごい熱波が伝わってきました。
炉を通り真っ赤になった鉄材を、職人さんが素早い手つきでプレス機に運び、成形していきます。繰り返される作業の奥には熟練の技が感じられ、つい見入ってしまいました。
加工された鉄はさらに研磨され、自動車の動力を伝えるシャフト部分に使われる部品などになっていくそうです。
金属のぶつかる音や地面から伝わる振動、真っ赤になった鉄の発する熱など、肌から感じられる情報満載の、まさに「体験する工場見学」でした。
プラスチック製品が生まれる瞬間
次に伺ったのは、数多くのオンリーワングッズを製作してきた株式会社エクタス。
同社はプラスチックの切削加工や3D製作の技術に特化し、主に量産前の試作品製造をする会社です。
玄関にはエクタスさんが過去につくってきたアイテムがずらりと並んでいました。プラモデルのミニカー、樹脂に封入された昆虫標本、持ち手がマグロの形をした縄跳びなど、まるでおもちゃ箱のようです。
会社説明で見せていただいたのは、静岡おでんをモチーフにつくられた「静岡おでんけん玉」です。
こちらは子どもたちの「あったらいいな」を叶える『しずおか夢デザインコンテスト』で特別賞に選ばれた作品を、エクタスさんの技術で再現したものになります。
鍋の中にはうっすらと出汁(もちろん静岡おでん特有の黒い出汁)が引かれているという、驚きのこだわりようです。
ハンドル操作に苦戦
おでんのおもちゃで遊んだ後は、いよいよプラスチック加工の工場へ。
自然光の入る明るい工場内には、プラスチックを加工する大きな機械が並びます。ここではプラスチックを削る体験をさせていただきました。
台に取り付けられたハンドルを回して位置を調整しつつ、ボードに描かれた線をなぞるように削っていきます。ハンドルを回す方向やスピードの調整が難しかったですが、参加者全員が真剣に挑んでいました。
次に案内された塗料の缶や液体の入った容器が並んだ部屋では樹脂を固めてプラスチック製品をつくる様子を見学しました。
身近でありながら意外と知らないプラスチック製品誕生の裏側を知ると同時に、これだけ多様な試作品をつくることができるエクタスさんの技術力を体感できました。
家康より受け継がれし印刷のDNA
最後に伺ったのはナガハシ印刷株式会社です。
同社は長い歴史の中で培った印刷技術とアイデア力で、人々の生活を豊かに彩ることを目指す総合企画印刷会社です。
ナガハシ印刷さんで印刷されるのは、チラシやポスターのような紙媒体から、のぼり旗やノベルティグッズなどさまざまであり、オリジナルグッズも多数取り扱っています。
会社入り口では貫禄のある機械がお出迎えしてくれました。こちらは60年ほど前に第一線で活躍していた印刷機だそうです。
印刷所では最初、金属の容器から出した二色のインクを丹念に練り合わせて、印刷用のインクの色をつくる様子を見学。
インクが練り上がるまでの間、静岡の印刷事業にまつわる歴史の講義がおこなわれました。
静岡を代表する偉人、徳川家康の活躍を描いた大河ドラマ「どうする家康」が話題ですが、家康は静岡の駿府城に隠居後は、朝鮮伝来の銅活字の技術を用いて多数の書物を出版したそうです。
これらの出版物は駿河版と呼ばれ、静岡の文化事業を代表するものとなりました。すなわち、静岡にある印刷所は家康のDNAを継いでいると言っても過言ではない——そんな含蓄のあるお話が終わったタイミングでインクが練り上がります。
印刷機の活躍に釘付け
次はいよいよ印刷所の心臓となる印刷機の出番です。
機械の内部へ吸い込まれた紙は、ナガハシ印刷の人気グッズ「いいかげんノート」となる“いいかげんな”方眼の入った状態で機械の反対側から出てきます。
刷り上がった方眼は、すかさず社員さんの目によるチェックを受けます。「印刷はずれていないか」「色はおかしくないか」とっいった厳しいチェックを経たのち、本格的な印刷が始まります。参加者の方々は、大判の紙が次々と刷り上がっていく様子に釘付けとなっていました。
工場を見学してみて
参加者のみなさんはしきりに声を上げて驚き、関心している様子でした。
中には熱心にメモを取る方や案内スタッフに質問をする方もいらっしゃいました。質問をされた職員の方も、「よくぞ聞いてくれました!」言わんばかりに、楽しそうにお話しされていました。
参加者の中には他の製造業に関わっている方もいらっしゃいましたが、普段見ることのない他工場の内部は刺激的だったようです。もしかしたら、「ここから企業同士の交流や新たな文化が生まれるかも」と想像してワクワクしていまします。
みなさんの反応からも伺えるように、参加者の方々の満足度は非常に高かったようです。この満足度でプレイベントですから、11月に開催される本イベントではさらなるワクワクが期待できるでしょう。
ものづくりの技術や歴史を知り、体験することで、もっと静岡のことが好きになる——そんなファクハクの今後の展開から目が離せません。
ファクハクの公式noteは毎週火曜日に更新です。ぜひチェックしてみてください。
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