
この家どうするの?(37)葬儀屋さん今昔13・押し入れのふとん
亡き父の年金手帳と預金通帳を探しださねば。どこに隠した?空っぽの実家でドタバタと。
(今回も葬儀屋さんが出てきません)
つらくなるかたは、お読みにならないでください。
(1248文字)
2階のどこかに
ちいさな一軒家。父は足腰も弱くなっていて、日々のせいかつは、1階で。
2階は、ほぼほぼ物置小屋と化していました。
70歳をすぎ、転倒やら、あちこちぶつけてケガだらけ。なのにワシは若いが口ぐせ。社交ダンスだのしてた割には……年相応。

押し入れという空間
2階には本棚があり、下の引き出しには書類がわんさか。パラパラパラ、祖母の葬祭費用の領収者を発見。興味深い「紙ものコーナー」だ。パラパラ、強制終了。
こんなベタなところには、ないだろう。天袋など頭上の位置もないだろう、しぶんで隠したことを確認しづらいから。
だろう、だろうの推定がつづく。父と娘の会話のなさが露出する。
父は、2階のカバンを掛ける五つ並んだフックに、いつもショルダーバックをかけていた。
財布・診察券・保険証・免許証。それで、こと足りる独居老人の生活。携帯電話も持っていない父だった。
押し入れ、お布団の下かも。
立ったままで確認でき取り出しやすい。妙な態勢は、しんどい。上下左右の可動域をひろげると、体幹は、たまったもんじゃない。筋力のおとろえ、それは還暦まぢかの娘のわたしも実感しているのだ。

客用ふとん3セット
押し入れの圧迫感。テーブルクロスみたいな厚さの、じょうぶなビニール袋に入ったまま積んである。
たぶん、わたし・オット・娘の3人分。電気毛布も3枚。一軒家は冷えるのだ。
むかしの布団は、もっこりと厚くて、かさばる。うすい布団は「せんべいぶとん」。貧乏人の生活品。
真綿のぷっくり、ふかふかで重い布団。ふとんというより布団。布のダンゴだ。戦前世代の贅沢品もしくは、おもてなしなのだろう。
布団の上げ下げは重労働でした。
綿の布団は経年劣化で、つぶれたり、片寄ったり。ふとん屋さんで修繕をして永年使っていたと思う。たしか「打ち直し」そんな、なまえ。

むかしの布団
押し入れから布団を落とす。持ち上げるのも重たい。気持ちも重い。
いちども使うこと、泊まりに来ることもなかったから。
大量の未使用、袋にはいったシーツ・カバー類も、すべって落ちる。
目から汗もすべった。
ぼた ぼた ぼた
父は、ストックを忘れて買いつづけたのか、それとも。押し入れの奥に落ちてたり、ふとんセットに挟まって。
父は、奥歯にも押し入れにもモノが挟まっていたのだ。とりのぞく術は持たなかったのだろう。
わたし掃除や片づけは、きらいだ。
床には布団の山ができた。押し入れをカラにしても探し物はありませんでした。
こんな調子では、見つかるはずない。押し入れを、ひろげたままだが次へいこう。
虫干しだと、ごまかして。
無視干し、ごめんなさい。
(不謹慎ながら続きます)

「親の持ち家」の日
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。