この家どうするの?(48)葬儀屋さん今昔・24「ぶっつけ」
お寺さん(2代目)が父の家に来られた。父はいない。なるようにしか、ならない。たいあたり。
つらくなるかたは、お読みにならないでください。
(1420文字)
ぶっつけ本番
コミュニケーションがとれない、人間が苦手の父。お寺さんに来てもらうのは年に一回。お寺さんは別格だったようだ。
とにかく、ぶっつけ本番。いきさつを話して、きのう火葬まで終了。お寺さん、あまりビックリせず。こんなこと、たまにあったりするのだろう。
骨壺に変身し仏壇に鎮座する父と対面。まずは、これまでどおり年に一回の供養をしていただく。
お寺さんのガイドでオプションの「初七日法要」。お寺さんも、ぶっつけ本番です。
人生は、ぶっつけ本番のリハーサルなしなのだ。
いっしょに漢字がならんだ帳面をなぞる。お寺さんは、ほんとうにいい声だ。職業柄とはいえ堂々としています。
うらやましい「舞台ばえ」。
脇役のわたしは、だんだんとクチパクになってしまった。
古びた仏壇の白い父も苦笑いしただろう。
てっきりおこられるかと
今後のスケジュール。よくきくあれだ、四十九日法要。そこまで決めておきましょうと黒の手帳を出すお寺さん。パラパラ……。
死んだらすぐ連絡しなかったので、てっきり苦情がくるかと覚悟していた。直葬とはいえ、お葬式での読経なしは、お寺さんの収入減。
お説教を食らうはずが……。
なんにもなかった。助かった。
四十九日の日程を決めただけ。
そうだ、A葬祭の社長さんより位牌の素をもらっているんだった。
かまぼこ板を、ちょっとぶ厚くしたような、足がついて立っている位牌の素……。
これも、わたしはぜんぜん気がつかず。A葬祭の社長さんに感謝です。
位牌のなまえ
ここは宗派によりシステムいろいろなので、お寺さんに頼ります。
白木の位牌の素に名前を入れてくれたのを仏壇屋さんに発注する。
ふむふむ。それで仏壇の黒い位牌になるのか。
シン・父の名前。戒名代というもの。お金はいくらかわからない。お寺さんに聞いてみるしかない。
お寺さんの答えは、Vのように指を2本立て、これくらいですとおっしゃられた。高いのかやすいのか……そのとおりにしよう。
じつは、きょうのお布施?の値段もわからない。年に一回、いくら入れていたのか?とりあえず、これぐらいと思ってお札を入れた。
お寺さんは急なことにも嫌な顔せず業務を終え帰られました。
これを読んだかたは、親御さんに書いてもらう「エンディングノート」に、月命日や仏事の金額も書いてもらったほうがいいです。
約2ヶ月後、お寺さんはまた来られる。支払いその他、その都度つど聞くしかない。父はメモや家計簿を残していなかった。
そんななかで父が「お寺さん10:00」とカレンダーに書き込んでいたのは……。
死期がわかっていたのかもしれない。
(つづきます)
いつも こころに うるおいを
現金補給もわすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。