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銭湯の鏡広告
「スーパー銭湯やサウナには行くけれど」
「銭湯には行ったことがない」
それなら銭湯の|鏡広告《かがみこうこく》は、ご存じないかと思います。
銭湯にしかない、独特な鏡広告を。
古きを訪ねて新しきを知る
温故知新。まさに銭湯の|鏡広告《かがみこうこく》のことかも。
鏡広告とは、鏡に書かれた広告のこと。
もうすこし詳しく書きますね。
銭湯など温浴施設の浴室には、
大きな湯船と、「おひとりさま用・洗いスペース」があります。
頭上にシャワー・正面に鏡。
鏡の下に、水と湯が出る蛇口(カラン)があります。
そして、座る風呂イス。
最近では左右に銀色の縦長手すりが付いているところも。
お隣との境界線と、つかまって「よっこいしょ」兼用です。
ここまでは、スーパー銭湯などの施設と同じです。
違うところは、銭湯の鏡には広告が付いているのです。
浴室の鏡や、脱衣所の鏡に。
これを鏡広告と、よんでいます。
イメージとして、こんな感じです。
右側に赤く目立つように広告が入っています。
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いろいろ写り込んでしまいました
鏡の広告
むかしから人の集まるところに、
立て看板・お触れ書き…いまでも、街角に、町内会掲示板・各種告知板などが立っています。
町の広告は、テレビより大きな板のような画面に、紙の貼り紙やポスターがペタペタと。
選挙のときに急ごしらえで立ってたりします。
お知らせの紙は期日を過ぎると、貼り替えられて常に新しい情報に。
同じように鏡に書かれた、銭湯の鏡広告でありますが、紙を貼っているわけではないので、ずっと同じ広告のまま。
![](https://assets.st-note.com/img/1667562262530-r7HxSfLeHV.jpg?width=1200)
銭湯の広告の多くは、近隣のお店の宣伝。
地域のランドマークであった銭湯ゆえ、地域の人が利用する、お店の広告が入ります。
鏡広告で多かったのは
そうですね、じぶんの記憶では「美容院」「写真館・カメラ」「銀行」「薬局」などが多かったです。
![](https://assets.st-note.com/img/1667561684683-aGltUUOfck.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1667561748767-9LoEEYvHas.jpg?width=1200)
フイルムを現像に出していた
![](https://assets.st-note.com/img/1667561910998-yCfcnwSgb1.jpg?width=1200)
ドラッグストアに駆逐され
特筆すべきは「|質屋《しちや》」
貴金属や呉服を持っていって、お金に代えるお店です。
けっこうありました。いまは絶滅危惧店ではないでしょうか。
なぜか、カタカナで「ヒチ」です。
(ヒチ、大阪だけかもしれません)
質屋の「シチ」と書いてあっても、たぶん「ヒチ」と発音してたでしょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1667608057413-9RaCcU2bme.jpg?width=1200)
いまでしたら「サラ金」「キャッシング」感覚だと思います。
あと多かったのが「呉服屋」です。
入学・卒業式・七五三など、
昭和40年代ぐらいまで女性の晴れ着は、和装でしたから。
![](https://assets.st-note.com/img/1667574470755-5T2gyzNYMA.jpg?width=1200)
町内に「質屋」と「呉服屋」
とても需要があり広告を出していたのですね。
鏡の端っこの広告でスペースの都合上、屋号と電話番号ぐらいしか書いてない。
あっさりとした広告が多かったです。
![](https://assets.st-note.com/img/1667606845329-LxOdA0WAuY.jpg?width=1200)
すでにお店はない
鏡広告は、ずーっと残ります。
鏡を取り替えないか、銭湯が廃業しない限り。
何十年もたつと、広告も剥げて色褪せてきます。
銭湯の鏡広告を見て実際にお店を探したら廃業してたり、マンションになっていたり。
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ある時代。合併や統廃合があった銀行、
旧店名のままの広告。
大阪では強かった「三和銀行」・「太陽神戸銀行」などです。
現在の名は? 記憶をたどる頭の体操。
いまはなき地方銀行の名前も残ってたりします。
金融機関は多かったのです。(金利も良かったのです……)
さらに訳がわからないのは、むかしあった市電の電停。謎のバス停も。
広告に「○○電停前スグ」
住所より、わかりやすかったのでしょうね。
いまでは地下鉄になり、バス路線も減っているので、鏡広告を見ては懐かしく思っています。
高齢者と若者のSNS
銭湯は、常連さんの井戸端会議や安否確認など、高齢者が孤独にならないような場所でもあります。
歩いて、お風呂を入りに来て、リフレッシュ。
もはや鏡広告は見ないと思います。
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かつては、いい仕事をしていた銭湯の鏡広告。
ネット社会の現代、地域はあまり関係ないですね。遠いところの広告もどんな広告も指1本の時代。
剥げかけた銭湯の鏡広告は町の歴史を映します。
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鏡広告・スポンサー募集の銭湯も
最近の銭湯は、浴室の鏡も広告もリニューアル。
近隣のお店の鏡広告を外す銭湯。
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そしてネットなどで新しい広告主を募集!
ビックリしましたが、よいアイディアですね!
半年契約で銭湯に広告を出すお店や人も出てきました。
契約終了後は鏡をもらえるそうです。
看板屋さんに発注した手書きの鏡広告。
実際に見ましたが、現代風にキャッチコピーがついて、カラフル多少使いです。
カジュアル掲示板といった雰囲気。
【こ注意】
銭湯の脱衣所・浴室には、カメラやスマホの持ち込み・撮影禁止です!
フロントでは撮影可のところもありますが、念のため確認と許可を。
マナーと思いやりを、お忘れなく。
古い銭湯を訪ねて、新しい鏡広告を。
新しいお店や、楽しい情報。
恋人募集の鏡広告もありました。
銭湯のオーナーさんたちも、経営や集客に創意工夫を凝らしています。
番台式からフロント式に。
フロントで写真展や銭湯グッズの販売・イベントなど開催。
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新規開拓、若者よ来たれ!
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ワンコインで楽しめる銭湯。
アナログの鏡広告、銭湯の浴室で増殖中です。
銭湯・温故知新。
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「銭湯エッセイ」の日
いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。
最後までお読みくださり、
ありがとうございます。