大阪・日之出湯さん (生野区の銭湯)
大阪市内に「ひので湯」さんは数軒あります。そう、縁起よい屋号なので。きょうの「ひので湯」さんは生野区の「日之出湯」さんです。
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日之出湯さん
大阪メトロ・小路駅。字のとおりの「ほそいみち」のちいさな銭湯。それが日之出湯さんです。
もより駅は……
●大阪メトロ(Osaka Metro)千日前線・小路駅…徒歩約5分
シンプルに「日の出湯」と書いた縦長看板のみ。夜はこれだけが目印です。銭湯がネオンで彩られるよりずっとまえの「お風呂屋さん」が、ここにはあります。
細いみちのお風呂屋さん
人通りも多く車も多い道路ぞい、守口平野線に日之出湯さんはあります。東大阪市のターミナル・近鉄電車・布施駅にちかい住宅地。
ここは、むかしの街道で道幅はせまく、自転車を停めるスペースもない。日之出湯さんは、外観だけで古いなぁ、とわかる銭湯です。
真ん中に暖簾の入り口。左右対照の壁に樹木。樹木があるところには、ちっちゃな庭とお手洗いが配置されています。
凹凸の「凸」を逆さにしたような、「T」の字のような床面積・造りの銭湯。
これぞ古典。典型的な「クラシック大阪型銭湯」。もはや銭湯の遺跡レベルです。
かわらないシンプルさ
無造作に停め置かれた自転車。
タイルの床と御影石が、下駄箱スペースで寝そべり、日之出湯さんの歴史を語ります。
番台の大将は男湯の脱衣所に降りて常連客と語らう。ずっと大将が番台にいたのはむかしだけ。いまは、女湯の引き戸があくと番台にもどってきます。
「令和の配慮」ノスタルジックな針の体重計が教えてくれた。
常連さんがつどう銭湯。浴室入り口に風呂オケが重なり、水鉢で足を洗う。やはりこの作法。水鉢がある銭湯、ほんとにすくなくなりました。
こじんまりと深い湯船。麦飯石の湯とあります。電気ぶろ・ジェットバス・ブクブク超音波。コンパクトに、ひととおり。
シンプルに入浴。オカマドライヤーを使っているマダムがいる。頭からカポッとかぶる、ヘルメットのような20円のドライヤー。そうそう、この光景。
サウナ早じまい
日之出湯さんの客層は、おわかりですね、100%地元の常連さん。しかも営業終了が午後10時です。
サウナも早じまい・午後5時まで。それで、夜に行くとサウナ室が真っ黒でした。まちの銭湯で常連さんが、サウナを使わないならこれでよいと思います。
ムダがなく、いさぎよし。
マダムのみなさま、晩ごはんまでにお風呂に入ります。服を着て、ほっこりと満足フェイスで。
「鍋を持って、関東炊き (おでん)買いに行こかな」
「商店街のはずれの店、自転車でスグ」
「アジが、しゅんで(しみこんで)ウマイんや」
「1個120円」「そろそろ帰ろか」
「かんとだき」ひさびさに聞いた。むかし大阪では、おでんを「関東炊き」と言っていました。
マダム井戸端会議をダンボの耳で聞くわたし。こんな地元情報を聞くのがおもしろいのです。
鍋を持参で、おでんを買いに。そうでした、お豆腐も鍋持参。コンビニのおでん、彼女たちには眼中にないのです。コンビニすら出現していないのかもしれません。
大日之出
昼間は銭湯だとわからない、壁だけの日之出湯さん。名前は日の出だけれど、夜のほうがステキな銭湯ですね。
日の出もあれば日の入りも。人生のきまったくりかえし。
明けない夜はないと歌ったグループもあった。陽はまた昇ると、歌ったひとは、星のひとになり。
今年は、たくさんの歌い手が旅立ちました。
日之出湯さんの常連マダムのみなさんの陽気な声が、きょうもまた。
まちが暗くなっても。
日の出と日之出湯さんが、あるかぎり。
下駄箱の鍵のメーカーは「大日之出」さん。
縁起いい。 また、あした。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。