ぷっくり文字カンバン
お店のカンバン。むかしは文字を手書きでペイント。それから文字だけ、ぷっくりぷっくら飛びだした。さあ、カンバンの「きり文字」を見てみましょう。
きょうは「家のはなし」の日ですがテーマ変更いたします。
(1620文字)
カンバン・ブルース
ところどころ、はげたり落ちたり。ぷっくりぷっくら。
これは「きり文字」とか「立体文字」「ハコ文字」というそうな。こんな、ぷっくり文字をつくる看板職人さんがいたのですね。
いまの看板は……電気がピカピカ、夜の星よりネオン輝く、まぶしい電飾カンバンになりました。
まちのあかりは24時間。不夜城と誰もが言うけれど。むかしの夜は暗かった。商店街も日暮れとともに営業終了。銭湯とラーメン店は深夜まで、あかるい湯気が上がっていました。
だから、商店街のカンバンは昼間だけ見えたら良かったのです。
大きな板に、スーッとぺたペタン。ペンキ職人さんの太筆が走ります。遠くからよく見えるように黒字のぶっとい文字でハッキリくっきり。
ところが何年も、何十年もたつと、文字が、ボロボロはがれて読めなくなります。
なんて書いてあるのかな?
そのうちカンバンから、ぷっくりと文字が飛びだした。カンバンから、もっこりと。文字だけ壁にくっついた。
とびだす立体文字。どこで、だれが作っていたのかな。
いまは……もうだれも知らない。
ぷっくり。立体文字は木で
ネオンサインが誕生するまえの、お店のカンバン。職人さんが「ぷっくり木型」をつくって塗料でコーティング。
あるていどのサイズと型は決まっていたみたい。お店の名前が外壁にペタン。と、おちついた。
ところが、屋外のカンバンは、日焼け・風雨にさらされます。ぷっくり文字も劣化してきました。
保存状態がよいアーケード商店街
つぎは商店街のてっぺんに、囲い・アーケードがあるところの、ぷっくり文字カンバンです。じょうぶな布や鉄骨でおおわれた商店街を見てみましょう。
ぷっくり文字は、紫外線や風雨から守られているので、こわれず、とてもよく残っています。比較的ハッキリ読めます。
◆サンアレイ平野本町通り商店街 (大阪市平野区)
戦前からの、たてもの。商店街の道幅はせまく、むかしの雰囲気そのままの商店街です。平野区は近代の戦禍もなく「町ぐるみ博物館」として地域での保存活動がさかんです。
◆神路商店街 (大阪市東成区)
個性的な文字。職人さんの技。
賑わっていたころ、商店街から依頼されたのでしょう。勢いがある、お揃いの金文字です。
こちらも布のアーケード。新調されたのか商店街が明るいです。
◆三泉《さんせん》商店街(大阪市大正区)◆
三泉商店街でも、ぷっくり文字カンバンがおおく残っています。電話番号の数字もぷっくり。職人さん、がんばりました。
ところどころ文字の色がちがいます。アクセントになっています。
ふたたび屋外へ
たばこと郵便。平面版は、よく見ましたが、ぷっくり文字のカンバンもあったのですね。かなりの色落ちです。それにしてもレアです。
喫茶・軽食。コカ・コーラの壁に取りつけカンバンは古そうです。
なんだか収拾がつかなくなったので、このへんで。
さいごの、ぷっくり文字は……
「わたしはロボットではありません」
みたいな。
アジがある、ぷっくり文字のカンバン。
いまは、アクリル板やアルミ製も多いので
……経年劣化はすこしだけ。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。