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この家どうするの?(50)葬儀屋さん今昔・26「ぶつだん」


父の火葬の翌日。くしくも、年に一度のお寺さんが来られる日。
計ったようなスケジュール。ちいさな父もビックリしただろう。
(今回は葬儀屋さんおやすみ)
つらくなるかたは、お読みにならないでください。
(1125文字)



お寺さん

スーパーでお花とお供えを買う。
仏壇(ぶつだん)はもとより、家のいろいろなことをしなくてはならない。これからは、ひとり。

寺じまいをして他県に住んでいる「お寺さん」も葬祭屋さんに来てもらうのが常識スジだが……もともと、きょうに来るのでいいかなと思いました。


定刻になっても、お寺さんは来ない。車で来ているのでパーキングを探しているのだろう。
「車は家の前に停めてください」といっても、それはしない。なにかのトラブルに巻き込まれてはいけない配慮だと思う……。
なるほど都会では自転車やミニバイクのほうが使い勝手がいいのだ。


仏壇をととのえる。でも、どうやるのが正しいのか。恥ずかしながらなにも知らない。お寺さんにいくら包んでいたのかも。引き継ぎがすべてアウト。
これから覚えるしかない。
覚えることが、おおすぎる。
ああこれが、ツケというもの。


ほとけと対面

15分遅れてお寺さんが、汗だくで来られました。パーキングがなく、遠いところに車を停めたそう。

お寺さんのいでたちは、定番の黒い袈裟(けさ)とアタッシュケース。これでは喪黒福造ではないか。仏壇のスキマをおうめします。いや、こんなこといってはダメですね。


お寺さんは、急に家の人間が変わってドーンと、なったのだろう。
父は、ちいさくなって仏壇にいる。
お寺さんは、しばらくなにかをさがしている、そうコトバを。
わたしもコトバを失う。ビックリさせてしまって、フォローできなくなった。どうしよう。



笑ウ ぶつだん

「そうですか……お父さんとは、年に一回でしたが……心臓がアカンねんって……」

そこはプロ。仏壇の位牌などの配置をササッと変えながら。
父は仏壇を掃除をしたら、もとどおりにできなかったようだ。
(仏壇の配置、あとで撮っとこう)

「わたしも後期高齢者の仲間入り」お寺さんが先に、くちを開いた。「しんどい」のコトバはなかったが、75歳。どこも高齢化。


「わたしが大阪の寺じまいをして、まず最初にやったことは」


親父の仏壇を処分しました


いきなり何のおはなし?
お坊さんが、そんなあかんこと。
仏壇が古くなっているとか言われるなと思っていたのに。


たましいを抜いて粗大ゴミに出しましたよ


ドーーーン!
やっぱり、笑ウ……

こらえるのに必死でした。
いや父は  ず  ん で いる が。



(つづきます)

毎週金曜日は
「親の持ち家の日」


いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに


さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。


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