大阪・錢屋カフヱーさん
これは字面だけで、ご機嫌さん。カフェーですもの。かといって悩ましいトコロでないクラシックの銭。これはセレブのカフェーかしらん。
(1603文字)
錢屋カフヱーさん
錢屋は銭屋さん? 両替商かな、銀行か。
「銭屋カフェー」場所は上本町、いいところ。台地で電車が通り、はいからな百貨店があるところ。
もより駅は……
●近鉄電車・|上本町《うえほんまち》駅…徒歩約5分
●Osaka Metro(大阪メトロ)・谷町線・千日前線~|谷町《たにまち》九丁目駅…徒歩約10分
たてもの
1970年代・大阪万博のころ、そんなふんいき。メタリックなストライプと立体感。まだ和風も残りつつ。窓はそんなに大きくない。
2階のちっちゃなスチールのベランダ。ベランダが無くなるまえの最後の砦。窓を開ければ、クーラーが要らなかったころ。
そんな時代の……。
おおきな掲示板があります。勉強会やら、お料理教室やら。
1階はカフェ、上階はフリースペースのたてもの。
オープン・ザ・ドア。
おちつけ、おちつけ。ウキウキ、ドキドキ。
コーヒーとプリンを
テーブルにソファーがよりそう。おおきなテーブルには、きっとご馳走がならぶサイズ。
カウンター席もあり、夜はアルコールが楽しめる。さながら紳士淑女の社交場。ふわふわソファーにしずむ夜。
フレンチプレス950円があります。
これはステキです。プリンといただきましょう。
プリンにあう、フレンチプレスのコーヒーは。スタッフさんにたずねます。やわらかい接客がありがたい。おとなの余裕、快適です。
ここでは早口で説明されたり、上からウンチクが降ることもない。下町の庶民のわたしも居心地がよい。
「イチバンブレンド」をすすめられ、そのとおりに。
イチバン、ニバン……。舌をかまずにすみました。コーヒーの名前、ほんとうに言いづらいので。
コーヒーカップに黒いものが
おおきなプリン・フレンチプレスのコーヒーセット、一式が音もなく上品に。
あれ、飛蚊症かしら?黒い点が見える。白いカップの内側に。
ゴマか、コーヒー豆のかけらか?
指でゴシゴシ、取れません。カップの生地に入り込んでます。
ならば、そのまま。
カップをとり替えてもらうまでもない。
デミタスカップ。プリンより、ちいさなカップです。
得した気分のエセ・セレブ。せっかくなので、ゆっくりと。
天の川のオイルと星くず
コーヒーを、いただきましょう。
プリンも待ちくたびれています。
厚めのグラスにプリン。カラメルが宇宙のようにひろがる漆黒。
キメがこまかい、絹ごしのプリンです。なめらか、しなやか、かため。たっぷりのカラメルの意味がわかります。
コーヒーは、宇宙にきらめくスターダスト。オイルに浮かびキラキラと。とても贅沢です。星くずというのは失礼かもしれない。
ラメのようなグリッターのような、シルバーのきらめき。
カップの秘密
じゅうたんのタイルもキラキラと。3杯の宇宙のきらめきを。
かなりの時間がたちました。
夕陽のかげが店内に。
錢屋カフヱーさんに夜が来る。
おいとまの時間です。手書きのおたよりやパンフレットを何枚か、カバンに入れて帰ります。
たたみの我が家につくころは、すっかり冷えたお月さま。
手書きのおたより、パンフレットを読んでみる。
業務用のカップ!それで黒い点がついてたのか……
汚れと思った。
ほっとした。
そして、親しみが。
いつも こころに うるおいを 水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。