神戸・みつまた喫茶店さん
なんと、プリンを３つオーダーすれば「みつまたの燭台」で優雅におでまし。喫茶店という名の紅茶店。ここは神戸。くやしいやら、おもしろいやら。
(3047文字)
みつまた喫茶店さん
……「みつまた」あらヤダ。
こんな喫茶店、大丈夫？
大丈夫でっせ、こうぞ・みつまた。
それは、お札やろ……。
しつれいしました。健全たる紅茶専門店ながら、おもしろすぎて大阪人も脱毛、いや脱帽するお店でございます。ロウソクの燭台のようなプリンのうつわ。
ここは神戸、泣いてどうする。
神戸市中央区元町通1-11-5
三ツ星ビル４階
11:00~22:00
もより駅は……
●JR・元町駅
神戸地下鉄…旧居留地・大丸前駅
各駅・徒歩2~3分
白い狭い、ちいさな雑居ビル。いつの建築なのだろう。とちゅう、扉がないフロア、空きスペース。
いびつな螺旋階段をガタガタと。４階の紅茶店をめざして。
紅茶の沼へようこそ
４階。扉もなく突然、空間があらわれる。
「いらっしゃいませ」蝶ネクタイとベスト姿の男性。みつまた喫茶店のマスターだ。
テーブル席ふたつと、あとはぐるりと壁に沿うカウンター。昼さがりの白いカーテン。
だれもいなかったので、店内ひとりじめ。わたしはカウンターにすわります。
マスターが、ゆっくりとメニューを持ってくる。紅茶のメニューとプリンのリストだった。
メニューだけで30分たのしい
ポットで提供する紅茶と、プリンの説明をしてマスターは退場。と、いっても店の入り口側のキッチンのなかに。
紅茶のおいしい喫茶店。むかしのアイドルの歌を思いだした。ペラっとしているが、本のようなメニューを手にとる。
なんだこれは！ おもしろい
エグみはなく、渋すぎない
「エレガントで甘い」本物の紅茶の味
世界で最も優れた紅茶の淹れ方、神戸式でどうぞ。
マスターいわく、紅茶は冷めると甘さを増す。その変化を味わってもらいたいので、40分ぐらいかけてゆっくりと飲んでくださいと。
アイスよりホットを推奨！
つぎからの、紅茶の種類と解説文。
読んでください、おもしろすぎます。
えんりょなく、エア紅茶を鼻から吹き出してくださいね。
数字はお値段です。
🫖ディンブラ 800
🫖密香紅茶 ガチ上級 1100
🫖ルフナ 800
悪くいえば小学校のときに飼っていたザリガニや亀の水槽の匂い
香り 水槽 ワイルド
🫖金駿眉 なんて読む？ 3200
🫖ウバ 800
🫖生山小種 なんて読む？ 1700
砂糖が入っていないのに
虫歯になりそうなほど。
香り 綿菓子 カカオ 紅茶の母
アールグレイ 取り扱いなし
ラプサンスーチョンを除いたフレーバーティーや全てのブレンドティーも取り扱いしません。
🫖シッキム 900
香り 柑橘 蜂蜜 おすすめ
🫖ラプサンスーチョン
(正山小種) 800
と、まぁ大阪人もビックリのコメント。紅茶愛がすごすきます。これはメニューの一部です。みつまた喫茶店にお越しのさいは、メニューをスミからすみまでお楽しみください。
きっと「映え」のためだけにきた女子は、ポットサービス紅茶を前に困ったかも。
みつまた喫茶店さんのメイン紅茶
オススメは、
◆キームン スタンダード 800
とりあえずこれを飲みましょう
香り 蘭の花 みんなにおすすめ
◆みつまたクイーンズ 1000
春摘みの高級キームン。スタンダードの倍くらい香りが甘くなり、渋みも少なくなり、ゴージャスなテアニン甘味でのす。まさに紅茶の女王。スタンダードと200円の差なので、お茶好きはぜひ飲んでほしい。
香り 蘭や蜜 お茶好きは必飲
わたしは「キームン」スタンダードを注文しました。プリンも３つ。
マスターは紅茶を、いちばんおいしくなるように淹れてくださいます。わたしは、すわっているだけ。
すこし間があいて、ポットがテーブルに置かれました。ポットのフタを開け、裏をわたしの鼻に近づけました……。
香りをティステイング。
お花の香りがふぁっ。
鼻が喜ぶ花の香り。
キームン。みつまた喫茶店のキーマン。
ひとくち。あまくてしあわせ。
ぜんぜん渋くない。
すこし経ったら、またあまみが。
冷めてもエレガントさは、変わらない。これは40分ぐらいは、かかります。
飲む宝石。ルビーのごほうび。
神々しいプリン
プリンを３つ注文すると、50円引き、みつまた燭台にてサーブ。
プリン３つ、のぞむところだ！わたしは、平気なのですが。
諸事情で、ひとつしか食べれないかたもいるだろう。甘いだろうし。
ポットの紅茶と、かたくて濃厚ずっしりプリン、このミッションは完遂できるのか。
なぜカップは北欧調なのか
神戸くやしい うらやましい
食べるのが、もったいない。紅茶にプリン。たしかに、ケーキ、スコーンの英国式もいいけれど、みつまた喫茶店さんの神戸式というのもシンプルにおいしい。
オレンジの砂糖づけ？とともに
みつまたの燭台で出てくるプリン。高い位置にあるので気分も視線も上を向きます。
しかしなぜか紅茶カップは北欧調。ポットは、まっ白。この、よくわからない取りあわせこそ神戸なのかもしれません。
このみつまたの燭台、アルミではないです。スチール、真ちゅう製かしら。どちらにせよ特注品。
どういう構造でしょうか。
むかしのアイスクリームのような容器が、カパッと外れます。これは軽い、アルミ製だと思います。(よい子のみなさんは、まねしないでください。)
たぶん、１時間お店にいました。
紅茶はカップにすこしづつそそぎ、香りをたのしみます。ゆっくりとプリンを口にはこぶ、しあわせ。
この空間や時間。本を読んだり、ぽ～っとしたり。観光都市・神戸とは思えないほど静かです。
食べてみると
葉っぱも甘いしおいしい
みつまた喫茶店さん・まとめ
🫖ビルにエレベータなし。段差や幅が、まちまちの螺旋階段のみ。足に負担が、かかります。手すりもありません。足の不自由なかたは、ご注意ください。車椅子は入れません。
🫖お水・おしぼりは出ません。お薬を飲むかたのみ、自己申告で、お水をいただけます。
🫖コーヒーはありません。ソーダはあります。おひとりさま・ワンドリンク制です。みつまたプリンはシェアOKです。
🫖紅茶にミルク、砂糖はついてません。必要なし。甘さとおいしさを楽しんでください。
🫖オマケ・三ツ星ビル外観です。
細い奥まった階段を４階まで
🫖コーヒーだったら、すぐ南にある「エビアンコーヒー」さんへどうぞ (こっそりオススメ)
神戸のうるわし旧居留地、やっぱり外国人には広大な土地が必要。海風に立つ石の建物。うっとりします。
紅茶とプリンの神戸。
港からの風は、あたらしい。
「コーヒー・喫茶店」の日
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。