大阪・新宮温泉さん(城東区の銭湯)
大阪市城東区。ここ、鴫野エリアは人情あふれる住宅街だ。平和な このまち。かつて大坂冬の陣で戦場になったとは思えないほど。
きょうは銭湯・新宮温泉さんをたずねます。
(1721文字)
新宮温泉(しんぐうおんせん)さん
もより駅は……
●JR鴫野駅・メトロ今里筋線・鴫野駅…徒歩約8分
ちかくに天然温泉の湯ぶねがある銭湯「|華厳《けごん》の湯」さん・「不動の湯」さんがあります。大阪では、めずらしく温泉が出る地域のようです。
新宮温泉さんの外観はミラーガラスのビル型銭湯。名前からして、和歌山県?ナゾは深まるばかりです。
2階建ての浴室
入り口はコンパクトながら、フロント式です。湯上がりに、ゆっくりできそうな銭湯です。
券売機で券を買います。フロントの大将は親切です。あたらしげな外観と反対の庶民的な雰囲気がただよいます。
フロントも脱衣所もポスターや写真がたくさん貼ってあります。ちょっと旅行気分です。
とくに新宮市の熊野三山とか宣伝があるわけでもなく、名産品を置いているわけでもない。
なのに、ひかりかがやく観光地のスーパー銭湯のイメージ。
常連さんは、みなさま元気な高齢者。旅行気分で元気をチャージするのですね。
そして、浴室のところどころに石けん箱がおいてあります。最初は忘れ物かと思いました。無料の石けん?これは、使っていいのかしら?ボディーソープではないところがおもしろい。
(城東区は牛乳石鹸さんのおひざもとなのです)
7メートルからの「うたせ湯」
明るい浴室、陽ざしがまぶしく湯ぶねに反射します。キラキラ温室のような南国ムード。この浴室のつくりは大阪銭湯でよく見る、ある工務店の様式です。開放感があり、その日の天気により天然の照明ぐあいが変化するのです。
新宮温泉さんのウリは、2階の高さから落ちる「打たせ湯」。と、いっても湯温が低い。
「ホース1本分の、さわやか打たせ水」そんなところです。
よくあったまってから、「さわやか打たせ水」へどうぞ。説明板には7mからの高さとあります。
滝のような水音としぶき。視覚的にも、うつくしい。
夜のとばりが下りるころ、湯気抜きから月のごきげんを知る時間の「打たせ水」も趣きがふかいものでしょう。
打たせ湯は他の銭湯にもありますが、新宮温泉さんのは、ピンポイントでグッとくる水圧。最強です。
滝のような音もよく、目と耳に無限のいやし。唯一無二の滝柱?(そんなのはない)
一本だけなので、ゆずりあってください。
2階に露天風呂があり、のんびりつかります。外の空気と、階下におちる滝のような音を聞けば……。
やっぱり、このなまえ「新宮温泉」さん。勝手に妄想と納得しました。
フロントでのんびり
ドリンクは普通の冷蔵庫に入ってます。なにが入っているのかな?
銭湯ではガラス張りの冷蔵庫だけど見えない。写真を見てね。
扉を開けるのドキドキしますよ。
友だちの家に来たみたい。
湯上がりもたのしい。マンガ本やボードゲーム。なかなか出れません。いやしと娯楽、大阪ですから。
もうすぐ七夕。鎮守の神さまは、八劔神社。
お参りしましょう。
八劔神社(やつるぎじんじゃ)とまちなみ
空気が、澄んでいる。樹にかこまれ昼間でも、ほの暗い。ふしぎな神社です。
大坂冬の陣。鴫野・古戦場跡。
小学校の敷地内にあります。
いまは平和でありがたい。
何本も川が流れていた低湿地帯の鴫野。豊臣方も徳川方も堤の上でドロドロになり、いくさををしていたそうです。
流れおちる「打たせ水」のように歴史は流れていきました。
アーケードの日よけもさびしく。
たてものが、かつての活気を語りだす。
たくさんの川と水路があった。船を漕ぐひと。なにかを売るひと。お参りに行くひと。
川が埋め立てられるまでは。
見えるのは、川の船着き場の跡だけ。
朝も昼も影がのびてゆく。
商店街は昭和のままだった。
新宮温泉さんをのこして。
いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに
さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。