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160円のコーヒー・喫茶マル屋さん

値上げなし、喫茶店コーヒー160円!
大阪市西成区の喫茶店。関西では何度かTV放送されました。
今は、どうなっているのでしょうか。
(2288文字)


コーヒーショップ・マル屋さん

実は、3年前に一度、通りかかったのです。
銀座商店街。大阪には銀座を名乗る商店街は他にもあります。
どこも昭和の古い雰囲気ですが、喫茶店と言えば、やっぱりコーヒーショップマル屋さん。


もしかしたら値上げしてるかも。
書いていいのか迷いましたが、リスペクトの気持ちを込めて……。

コーヒーショップ・マル屋さん
大阪市西成区千本北2-1-33


ひゅん。撮影を遮る自転車。
商店街の自転車は、通行禁止ではないのか?
いや、気を取り直しマル屋さんに入るのだ。
今日こそは!


3年前は、気になりつつも入店には至らず。
このたたずまい。勇気が足りなかった。
それから関西ではTVで取り上げられ、いくらか親しみやすい喫茶店になりました。


最寄り駅は
◆南海・西天下茶屋駅にしてんがちゃやえき
一両の車両が、30分に一本。
そんな大阪の「秘境路線」汐見橋線しおみばしせん

実際にマル屋さんに行くには、
◆Osaka Metro(大阪メトロ)か
◆南海電車天下茶屋駅てんがちゃやえきをおすすめします。


セピア色の化石ともなれ

加工せずとも画像はセピア色です。
レンガ色を通り越して化石。
外観だけでも渋い色調です。
だいじょうぶかしら? 
100%勇気、忍たま乱太郎のテーマを脳内に鳴らす。
きしむドアは、わたしの心。
店内にマダムが二人。良かった、と思っていたらすぐに退場……。
アイスコーヒーのグラスが残る。

「窓際、どうぞ」
お髭のマスター、コミカルな俳優さんのようです。
わたし、ひとり。ちょっと怖いです。
「ホットコーヒーください」
そういうのが精一杯でした。


先客のグラスを片付けに来たマスターに、店内撮影の許可をもらうべく話しかけました。おそるおそる。


テレビが6回来たし写真エエよ

良かったぁ。表に放送のお知らせが貼ってあった。
2019年、かなり前のだけれど。
わたしも観た番組も、あったように思います。

「だだし奥の厨房と人は写らんように」
とのことです。それで窓際の席に座るように言われたのですね。
カドの建物、入り口のドアふたつあります。
このあたり、手前の店内は撮影して良いそうです。

業務用クーラーや、鉄柵の衝立て。
カーテンや扇風機にいたるまで、年期が入っています。
厚みの薄いテーブルやソファーは、経年劣化か、計算されたコーディネートなのか。
すべて渋いのです。

灰皿と砂糖入れと唐辛子。
表に年越しそばって書いてた。
肉うどん250円も。

なんかボロボロの緑の紙が……?


コーヒーとメニュー

ほどなく、ホットコーヒーが到着しました。
160円だし、うっすいコーヒーが出てくるやもしれん。
じつは、覚悟していたのだ。


ゆい。
「おいしいがな」思わず大阪弁が出るほど。


よく見ると氷の入ったグラス。氷まで入ってるとは、感動ものだ。
それに、ミルクピッチャー。よくあるプラ容器のではない。
嬉しいので、ミルクを入れることにします。

そしてボロボロの紙をちゃんと見る。
これは、メニューだ!
ほぼ読めない、化石になっている。
これ以上触ると崩れそうです。

「コーヒーショップ マル屋」は読めたので、敬意を表し元に戻しました。

ホットケーキ80円を確認しました。
ショーウィンドウに残り3つ。
最初は、どら焼きかと思いましたよ。
あぁ……わたしは、コーヒー160円で勇気を使い果たしました。



鉄分多めのマル屋さん

せっかくの機会ですので店内を探索。
豆を挽く機械です。右側のものは見たことあります。
左側は手動だそうです。わたしは、さっぱりわかりませんが、コーヒーに詳しい人ならすぐわかると思います。お宝です。


壁に掛けるタイプの扇風機。これもセピア色です。扇風機じたい目にする機会も減りました。
ボタン押してみたくなります。


丸ボタン、珍しい。
「マル屋さんやから、丸や」
失礼しました。


ふたごの石油ストーブ?
ガスストーブかも?
右側のものは焼き網が乗っています。
どこの会社製か見るのを忘れました。


創業は戦前

コーヒーショップ。ガラスに英字。
モダンな書体、かなりの古さです。
いつ頃の開業かしら?

こちらからは聞いていないのですが、マスターのお話。
「そこの店に爆弾落ちて、みんな焼けて亡くなってしもた。
線路沿いに、お地蔵さんあるねんで」


戦争の空襲。1945年より前にマル屋さんは営業していたのでしょう。
一説によると1935年創業。
以前はマスターが短冊に「創業○○年」と書いていたそうです。
わたしは、短冊を見つけられなかった。
マスター、いつまでもお元気で。
ごちそうさまでした。


後で見に行くと、お地蔵さんは、線路沿いにありました。
両手を合わせる。
160円のコーヒーが飲めるなんて。

もしかしたら、もしかしたら。
亡くなった近所の人たちが、いつでも飲みにこれるように、
ずっと160円のまま……
値上げしてないのかも。


普通に過ごせる毎日の暮らしは、ほんとうに有り難い。


カンカンカン…踏切の警告音だ。
30分に一本の電車が走りぬけていった。



どうぞ世界が平和でありますように。



毎週月曜日は
「コーヒー・喫茶店」の日

【2024年7月10日・追記】

喫茶マル屋さんのマスターは
2023年・熱中症のため、お亡くなりになったそうです。


80円のホットケーキ、食べとけばと……。

ご冥福をお祈りします。
ながらくの営業お疲れさまでした。ありがとうございました。



いつも こころに うるおいを。
水分補給も わすれずに。


最後までお読みくださり、
ありがとうございます。

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