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母のマーブルケーキは、昔とちょっと違う気がした。(それとも、昔からこうだった?)

また母のレシピでお菓子を作りたくなりました。
今回は見た目にも楽しい、ココアのマーブルケーキに決めました。
簡単で、一度に沢山できて、お友達に配るのにもぴったり。アーモンドの香りと食感がリッチな、バターケーキです。

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このレシピは、簡単であまり気を遣うポイントのないレシピです。
何度も焼いていますが、これと言って失敗があったことはありませんでした。
バターケーキって、失敗しないケーキの代表格なのかもしれません。

とても素朴なケーキなのですが、焼き立てのサクサクしたのも、翌日のしっとりしたのも美味しくて、ヒョイヒョイつまんでいると、あっという間になくなります。子供の頃は4人家族だったから、「一度に1人何個ずつ」と厳しかったです。笑

タッパーからつまむ。

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母は若い頃、まったく料理をしたことがなく、結婚してから頑張って習得したのだとよく言っていました。一人暮らし経験のある父の方が、最初の頃は料理が上手だったそうです。経験も知識もないので、材料を買い揃え、レシピを解読するのも大変だったとか。
(古くからあるレシピ本は、基礎知識が皆無だと理解できない料理用語が結構出てきますよね…)
十数年も経ったら、母の方が断然料理上手になっていましたが。継続は力なり、ですね。

そんな母だったので、お菓子作りを始めた頃は、本当にできるのか半信半疑だったそうです。近所の方などに教えていただく機会があって、だんだん作れるものが増え、お菓子のレパートリーも増えていきました。

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母が作っていたレシピに凝ったお店のようなものはなく、お手軽で家庭的で、茶色っぽくこんがり焼けたお菓子ばかりでした。どこから取ってきたのかわからないほどボロボロになった、レシピが載っている雑誌や新聞の古い切り抜きを見ながら、何度も作っていた後ろ姿を思い出します。

このマーブルケーキのレシピも、どこかに載っていたものが元なのでしょうが、おそらく多少のアレンジも加わって、もう出典がわかりません。私が高校生くらいの時、レシピの紙がボロボロすぎて朽ち果てる寸前で「作れなくなったら困る」と私が言って、いくつかの定番レシピだけでも、とword文書に保存したものが残っています。

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誰かと一緒に何かをつくった記憶って、強く残るのかもしれませんね。

私がやりたいと言い出して、母に習いながら一緒につくった、沢山のお菓子。その頃は難しかったし、上手くいかないことも何度もありました。
でも、今の私は、すべてのレシピをつくることができてしまうでしょう。そう考えたら、母のエッセンスがちゃんと私にも受け継がれている気がして、嬉しさがこみ上げてきました。

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さて、作っていきます。ほんとに気合いのいらないケーキです。
お菓子作りの作業をしていると、不思議と気持ちが落ち着くんです。作業に集中して、他のことを考えないからでしょうか。瞑想みたいな効果ですね。

柔らかくなったバター。
今回はきび砂糖で。
きび砂糖の色で、茶色っぽくなってます。
卵3個を、ちょっとずつ混ぜていきます。
次は粉。けっこう大量。
アーモンドも加えます。
マーブル模様にするので、5つの生地をぽんぽんと置きます。
残りの生地はココア色。ちょっとココア多すぎたかも。
空いたところに載せて、ならします。
アーモンドとグラニュー糖をまぶすと華やかに。
焼き上がり。アーモンドがこんがり良い焼き色。
断面もマーブルです。
ご覧のとおり、24切れもできました。
タッパーに入り切らずお皿にも。
よそゆきの写真。

焼き立てもサクサクで私は好きなので、カットしたら早速、端っこを1切れいただきます!口に入れると、パリパリのアーモンドスライス、ザラッとしたグラニュー糖が食感のアクセント。ケーキはサクふわで、美味しい。

でも、あれ…?なんだか昔とちょっと違うような。それとも昔からこうだった?
美味しいんだけれど…昔はもっと特別美味しいものだと思っていたのです。。。
ケーキ自体は、焼き上がりの様子も昔と変わらないし、作り方も母と一緒に作った時のまま変わっていません。

思い当たることとしたら…私が大人になったからでしょうか。
苦いもの、辛いもの、お酒…etc. 昔は食べられなかった複雑な味のものを、次第に美味しいと感じるように変化してきた味覚。洋酒の入ったケーキや、ラム酒漬けレーズンのお菓子も、深みを味わえるようになりました。時々は、人気のケーキ屋さんで買ったプロの作る凝ったお菓子も食べるようになりました。
それに比べたら、母のバターケーキは非常に素朴。砂糖の甘さとアーモンドの風味、ココアの香り。味の深みの点では負けてしまうのかもしれません。

他に考えられるとしたら…私1人で作ったからでしょうか。
母に作ってもらったから、母と一緒に作ったから、より美味しいと感じる、そういう効果はきっとあると思います。さらに私の記憶が思い出補正されて、実際よりも美味しい記憶になっていたのかもしれません。

マーブルケーキは美味しかったのですが、「昔と同じ!」と素直に感じられなかったことは、少し寂しくもあり、月日の経過を実感しました。

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ココアのマーブルケーキのレシピ。ご参考までに載せておきます。
よかったらお試しください。

<材料> 天板1枚分
バター       80g
砂糖        80g
卵         M3個
薄力粉       150g
ベーキングパウダー 小さじ1と1/2
ココア       大さじ4
グラニュー糖 or 粉砂糖 大さじ2
スライスアーモンド 120g (フライパンで炒っておく)

作り方
<事前準備>
・バター、卵を室温に戻しておきます。
・薄力粉、ベーキングパウダーを合わせておきます。
・オーブンを170℃に予熱しておきます。

  1. ボウルに柔らかくしたバターを入れ、砂糖を5回に分けて泡立て器でよくすり混ぜる。

  2. とき卵を6回に分けて加え、よく混ぜる。

  3. 合わせておいた粉類を入れて、ヘラでさっくりと混ぜ合わせる。

  4. フライパンで炒っておいたスライスアーモンドの2/3を加える。

  5. クッキングペーパーを敷いた天板に、生地の2/3を5箇所に分けて流し込む。残りの生地にココアを混ぜる。ココア生地を空いたところに流し、ヘラでならす。

  6. 表面に残りのスライスアーモンドとグラニュー糖をかける。

  7. 予熱しておいたオーブンで20〜25分程度焼く。

  8. 焼き上がったらすぐに取り出して、網の上で冷ます。

Schönen Tag noch! 😄