「地域プロジェクトに、なぜ“コンセプト”が必要なのか?」後編 〜熊本リーダーズスクール2022 第1回 開催レポート〜
一般社団法人自然基金(以下、自然基金)は、自然電力グループが開発した再生可能エネルギー発電所の売電収益の約1%を地域に還元するプロジェクト「1% for Community」に取り組んでいます。2022年度は、地域コミュニティを牽引する次世代リーダーの輩出を目指す「熊本リーダーズスクール」を開催。
今回は、6月18日に実施した第1回コンセプトワークのレポート後編です。栃木県内に日光珈琲4店舗を展開し町全体を設計している、有限会社風間総合サービス代表取締役・風間教司さんのプレゼンテーションをご紹介します。
※「熊本リーダーズスクール」第1回コンセプトワークのレポート前編
路地裏カフェエリアの仕掛け人! 「根古屋(ねこや)路地」と名付けたことが物語のはじまり
風間さんは、自身のカフェ開業から地元のまちづくりを牽引するに至るまでのストーリー、そしてその中で大切にしてきたことについて、「まちづくりと小商」をテーマに話しました。
東京の大学を卒業後、地元・栃木県鹿沼市の会社に就職するも半年で退社したという風間さん。その後、バーでのアルバイトをきっかけに、一から店づくりをするおもしろさを知り、1999年に、自宅をリノベーションしてカフェをオープンしました。
「場所が路地裏だったので、当時、周囲からは『こんなところでやったら失敗するぞ』というようなことも言われました。でも僕には、『地元の人が来てくれなくても、隣の宇都宮市からわざわざ探して来てくれるような店を作ろう』という思いがあった。そこで手書きのチラシを作り、宇都宮の店に置かせてもらったんです。そして、名前がなかった路地裏を『根古屋路地』と名付けました」
徐々に客が訪れるようになったものの、カフェ1軒だけでは、それ以上の広がりがないと感じていた風間さん。そんな時、客から開業の相談を受け、物件を紹介したり、一緒に店を改装したりと手伝いをするように。その活動が発展し、開業志望者が出店を体験できる月1回のイベント「ネコヤド大市」をスタートしました。
仲間づくりを目的に始めたイベントが、地域活性化へとつながる
「イベントの出店者が、後々近くに店舗を構えてくれたことでまちが賑やかになり、地域全体の魅力が向上しました。そしてこの取り組みが全国メディアで取り上げられ、エリアが面白いからと、全国からたくさんのお客さんが来てくれるようになったんです。結果的に、仲間づくりのためにやっていたことが、カフェの売り上げアップにつながりました」
遠方から来てくれた観光客の滞在時間をできるだけ長くしようと、風間さんは、観光客向けのゲストハウス開業やレンタサイクルの整備などの事業を展開し、仲間とともにまちづくり会社を設立しました。2022年9月17日には、鹿沼で小商いや新たな暮らしを実現したい人たちが集まる場となる、鹿沼ビルヂングがオープン。「30年後の地域の人たちが、どんな鹿沼に住み続けたいか」を想像しながら投資しているといいます。
「これまでいろんな課題に直面して来ましたが、その都度乗り越えられたのは、1人ではなくチームだったから。受講生の皆さんにも、周囲とのつながりを大事にしながら、まずは一歩を踏み出してほしいと思います」
受講者の方々は、現在取り組んでいる事業の改善を目指す人も、これから新しい事業を始めたい人も、みな真剣な表情で講師陣の話に耳を傾け、積極的に質問をしていました。
最後は、「人を惹きつけ、事業の核となるコンセプトを立てること。そして自分自身が楽しめるコンセプトが、多くの人を巻き込めるポイントだと改めて気づいた」「普段使っていない頭の一部を動かすことが、新しい発見につながると感じた」などの感想が聞かれました。受講者の方々はみな、それぞれの立場における、事業計画のヒントが見つかったようです。
熊本リーダーズスクールは全6回のプログラム。次回は、第2回アクショントーク「今、自分たちがやるべきアクションとは?」のレポートを紹介します。
同スクールは、株式会社インターローカルパートナーズが企画・主催し、一般社団法人合志農業活力基金と自然基金の後援で1年間運営していきます。