「活性地域へ実際に行き、知る、感じる」フィールドワークin三豊④ 〜熊本リーダーズスクール2022第4回レポート〜
一般社団法人自然基金(以下、自然基金)は、自然電力グループが開発した再生可能エネルギーの収益の約1%を地域に還元するプロジェクト「1% for Community」に取り組んでいます。2022年度は、地域コミュニティを牽引する次世代リーダーの輩出を目指す「熊本リーダーズスクール」を開催。
今回は、10月25日と26日の2日間にわたって実施した、第4回三豊フィールドワークのレポート4回目です。2日目に視察に訪れた、臨海ゲストハウス兼ショールーム「積凪(つむなぎ)」、古酒蔵を改修した複合施設「三豊鶴」、建材ショールーム&雑貨屋「DEMI1/2」、関係人口シェアハウス「GATE」、薪火グリルの宿泊施設「ku;bel(クーベル)」をご紹介します。
※「熊本リーダーズスクール」第4回 フィールドワークin三豊 レポート①、レポート②、レポート③
次々と誕生するプロジェクトを視察
事業の目的や内容、座組みのあり方を学ぶ
1.臨海ゲストハウス兼ショールーム「積凪」
瀬戸内海の海辺にある、一棟貸しのゲストハウス「積凪」。暮らしにまつわるさまざまな建材を取り扱う株式会社喜田建材と、創業100年を超える木材加工専門の株式会社モクラスが、2021年2月に建設しました。施設内には、それぞれの会社が手がけた趣の異なる2棟の建物が並び、ゲストハウスとしてだけでなく、泊まれるショールームとしての役割も担っています。
2.古酒蔵を改修した複合施設「三豊鶴」
続いては、1日目に細川貴司さんからプレゼンテーションを聞いた「三豊鶴」へ。約140年の歴史があるものの2005年に廃業してしまった酒蔵を、地域の有志5人が“地域の価値”を醸造するスペースとして復活させた施設です。視察した日は、現代アート×食のイベント「酒造アートレストラン2022」が期間限定で開催されていました。
3.建材ショールーム&雑貨屋「DEMI1/2」
さらに、100年以上、地域の家づくりを支えてきた株式会社喜田建材の建材ショールームとインテリア雑貨店を兼ねた「DEMI1/2」。同社が管理する一棟貸し宿泊施設のチェックインも可能です。地元のオススメ品やお土産のほか、環境にやさしいアイテムやアクセサリーなどの雑貨がずらりと並びます。また、地元の空き家物件の紹介や土地の提案も行なっています。
4.関係人口シェアハウス「GATE」
「観光以上、移住未満」の新しい仕組みとして、地域にコミットしてチャレンジしていきたい人たちに「仕事(役割)」と「住まい」と「コミュニティ」を提供するシェアハウス「GATE」。「UDON HOUSE」代表・原田佳南子さんが立ち上げた事業です。地元企業によるホストカンパニー制度で、求人情報の提供のほか、地域の人脈やコミュニティの紹介も行います。
薪火グリルを囲みながら、
宿泊客と料理人が交流できる場所へ
「焚べる、食べる、しゃべる」をコンセプトにした、日本初の薪火グリル付きホステル「ku;bel」。父母々浜のすぐそばに、2020年4月にオープンしました。三豊出身のオーナーシェフ・浪越弘行さんは、隣接するカフェ「café de flots(カフェドフロ)」のオーナーでもあります。
「18年前、人口が減ってすたれていく三豊に、カフェがあったらおもしろいのではと思い、 周りの反対を押し切ってカフェを開業しました。その後、父母々浜が有名になり、三豊には海の景色を活かした一棟貸しのゲストハウスが続々と誕生しました。僕は料理人なので、食を通じて、宿泊客同士や、宿泊客と料理人など、皆が交流できる場所をつくりたいと、このホステルをオープンしました」と浪越さん。
夕食のコースでは、オーダーメイドの薪木グリルを使用し、自家製の塩で味付けした、唯一無二の料理を提供しています。天井の高い大空間には薪ストーブとロングテーブルがあり、食事を提供しながら、シェフが地域の旬の食材や生産者の方について話をするなど、団欒の時間を過ごすことができます。
また浪越さんは、父母々浜の海水を煮詰めて塩を作ることにも挑戦中です。「まちおこしの活動に参加して、三豊ではかつて塩づくりが盛んだったことを知りました。塩づくりの文化を自分たちの代で絶やしたくない、地域の食材には地域の塩が合うはず、という思いで取り組んでいます」と話してくれました。
2日間にわたって、熱い思いを持ったプレーヤーたちに話を聞いたり、多彩なプロジェクトを視察したりと、充実したプログラムだった三豊フィールドワーク。
参加した方々からは、「『UDON HOUSE』から発生した三豊のいろんなプロジェクトを肌で感じることができ刺激を受けた。今回見たものを活かして、自分自身の事業にもつなげていきたい」「この地域を盛り上げたいという思いを持ち、自分が譲れないものを突き詰めて頑張っているプレーヤーの皆さんに感銘を受けた。それぞれの事業もありながら、皆が一緒に取り組んでいる事業もあるのが素晴らしいと思う」との感想があがりました。
参加者の皆さんにとって、今回のフィールドワークは、何のために、誰と、どのように進めていくのかと、自分自身の事業について具体的にイメージするきっかけになったようです。
熊本リーダーズスクールは全6回のプログラムです。次回は、受講者のプロジェクト最終発表会の様子を紹介します。
同スクールは、株式会社インターローカルパートナーズが企画・主催し、一般社団法人合志農業活力基金と一般社団法人自然基金の後援で1年間運営しています。