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多分、どうでもよかった。


部屋が荒れたのは、好きと思える人間がいなくなってからだ。堕落して、惰性で積み重なるプラスチック容器のひとつも片付けられなかった。
唯一、動けたのは壁にあなたの写真を貼る時くらいだけど、孵化しない卵をあたため続けているような気分だった。もう、四年あたためている。

先日、とうとう部屋にゴキブリが出た。
壁から外れた写真の女性の目の部分で、テープに絡まり這っていた。
どうしよう、この嫌悪感の先にあなたがいる。
表情を変えないあなたが、僕を見ている。

悩んだ末に、写真ごと殺虫剤を噴射したけれど不思議と痛まない心に、すでに吹っ切れていたことに気づいた。
冷えてしまわないように、あたためていたそれは、気付かないうちにどこか遠くへ羽ばたいていたみたいだった。

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