見出し画像

6月11日

家に粉砕したコーヒー豆を常備しているので、お湯を沸かしドリップする食器を洗えばいつでもコーヒーが飲めるのだが、本日このタイミングで外出をしなければ圧縮される気がしたので、いったんカフェへ向かった。
用がなくても一日一回は外に出るというマイルールがある。
外気に触れないでいると、家の気圧により全身が圧縮され、昔のガチャガチャの商品のような圧縮されたミニタオルのような状態になってしまう。
病人でもないのに家にこもっているのは異常事態である。
そんなこんなを唱え、近くのチェーンのカフェへ向かう。

ここのカフェは高校生のころによく通っていた。
部活の帰り道に友達と夜ご飯を食べに行き、食べ終わった直後にお財布の中に100円しかなかったことに気が付き、近くに住んでいる別の友達に電話をかけお金を持ってきてもらったことがあるなじみの店だ。
実家から近いのに、なぜ親に連絡しなかったのかは覚えていない。

アイスコーヒーとサンドイッチを注文。
ちょっと携帯をいじっていたところで、そういや今一番読みたい一軍選手の本を読むためにここに来たんだということを思い出す。
白いバッグから又吉直樹の「月と散文」と町田康の「口訳 古事記」を取り出す。
あ、防風通聖散もお忘れなく。サンドウィッチを食べる前に飲むのです。

ここまでくると、家を出た甲斐があったなーとしみじみする。
人の声が聞きたかったのであえてイヤホンはしない。

すると、テーブルのシュガースティックの束にコバエが機敏な動きでワッサ・ワッサと踊り始めた。
いや、今は家に戻ってきているため踊っているというコミカルな表現を使っているが、実際のところテンションが奈落の底までゴロンと落ちてしまった。
キッショイ!
コバエ、動きも何もかもがマジでキショイ。
本当に無理、無理、無理
ツイッターで目撃してしまったアリの顔よりもキショイ。
160センチ62キロの私が体長0.8cm体重0.02gほどのコバエを、死にそうなほど嫌悪している。

ここにきて家に帰りたいモードに一気にシフトしてしまった。

隣の客、50代くらいの男性と奥さんと思える者。
そして20代前半ぐらいの女性、家族だと思っていたが
三人ともPCを前に顔も併せず、打ち合わせのような雰囲気で会話をしている。
ははーん、ネットワークビジネスで家族役チームを組んでいるんだな。とか

本を読みつつアイスコーヒーをストローで飲んでいたら
チュパ…という音を立ててしまい恥ずかしすぎて頭からアイスコーヒーをぶかっけそうになったりだとか、静止しているのにひっちゃかめっちゃかの感情になり、思わず、退店。

町田康の本は読めなかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?