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地下足袋登山の妙味
2018年以来、地下足袋を履いて登山をするようになりました。
内面的成長のために登山を続けるうちに、和歌山の熊野古道を奈良の吉野へと抜ける修験道のルートに挑戦する機会があり、できるだけ修験の装束に寄せ衣装を整えたのでした。
それ以降、北、南、中央アルプス、戸隠など二、三千メートル級の山においても、もう登山靴じゃ登山したくないよねというくらい、地下足袋は山の足回りの定番になりました。
地下足袋の魅力
地下足袋登山の最大の魅力。それは意識を足のつま先までしっかり行き届かせて、一歩一歩足の置き場を探しながら、丁寧に歩くようになることです。
登山靴に比べたらガードはないに等しいので、木の根や岩を蹴っ飛ばしたら、痛いこと痛いこと。だからこそ、慎重になります。
踏み出す一歩、また一歩と、今の一歩に意識を向けて集中していると、雑念が消え、マインドフルネス状態になります。
登山靴だと、根っこに引っ掛けようが、岩を蹴り飛ばそうが痛くも何ともありません。これは登山道も荒れますし、山に失礼と思いました。
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次に、使い勝手の面でもなかなかです。登山においては、雨が降ったり、渡渉したり、靴を濡らしそうな機会がけっこうあります。
靴に水が入るのを好む人は少ないでしょう。一度浸水すると、半日から下手したら一日中不快です。
だから、ゴアテックスなどの防水しつつ通気性がよく蒸れない高価な素材の靴を買ったり、防水スプレーしたりして、なんとかドライな状態を維持しようとします。
一方、地下足袋は濡れること前提です。単なる綿生地なので、雨が降れば一発で浸水します。ところが、全然気になりません。雨は体温ですぐ温まりますし、通気性が良いので蒸れない。歩いていると、しばらくすると乾いています。
渡渉なんか浅瀬はザブザブ川の中に入って渡ることができるし、暖かい季節はとても気持ちがいいんです。
これって日本らしい考え方だなぁと思います。西洋的な考え方は、快適さを保つために自然との境界にバリアを築き、この場合は水を何とか食い止めようとします。
ところが、地下足袋の思想は、自然の中で雨や川など水があるなら濡れればいいという発想です。そうやって自然を感じ、受け入れた上で、できるだけ心地よく過ごす工夫をします。
縄文の生活様式について、ウチ(家)の外に出るとムラ(村)の内、ムラの外はハラ(原)の内、ハラから出るとヤマ(山)の内というように内と外が入れ子構造になっていると言われます。
内と外を厳密に区別せず、緩衝地帯を設けることで、自然の恵みを得つつ、快適さを高めて、調和を保つ考え方のように思います。
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地下足袋のデメリット
ただし、メリットの裏にはデメリットがあるので、それにも触れておきます。
つま先のガードが弱いのと、サイズや形が合う合わないがあり、指や爪を痛めます。
歩き方も関係しますが、爪が内出血を起こすとけっこう痛みますし、その時は大丈夫でも、あとから爪が生え変わります。
夏は快適という話をしましたが、冬はそれなりに寒いです。とはいえ、滑り止めにモンベルの軽アイゼンをつければ、かなり深い雪でもどんどん歩けてしまいます。案外冷たくないものです。
ただ、雨や雪の日に山小屋などで地下足袋を一度脱いで、翌朝履く時だけはいただけないですね。かなり冷たくて不快です。まぁ、歩き出したら、すぐに忘れますが。
こんな感じで地下足袋での登山にはデメリットもありますが、私的にはメリットの方が断然大きいです。
最後に、思い出しました。地下足袋はとってもお安いんです!靴だとトレッキングシューズでも1〜2万円程するのに比べ、3千円でお釣りがきます。
しかも丈夫。破れてきても、そう簡単には履けなくなりません。まさにヘビーデューティを地で行く感じです。
ということで、地下足袋登山、これからも続けていこうと思っています。
真似する方はあまりいないかもしれませんが、自己責任でお願いしますねw