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桜の間
障子の張り替えをしていただいた。
ほんのりと桜の模様が優しげに匂う。
我が家の隣の庭には古い八重桜の木があって
春にはたわわな花を輝かせていた。
それがとても素敵だったので
この家へ越してくることが私には嬉しかった。
仏間の壁側に面した場所にあったので
この部屋は桜の間のように設えようと工夫を凝らした。
筬欄間の格式に相応しい本襖の襖紙は
桜の花弁が一面に散らされたものを誂えた。
今でもお気に入りの場所。
そんな桜の間だったけれど
数年前、害虫の被害に遭ってしまった桜の木が
伐採されることになってしまった。
寂しかったけれど仕方のないことだった。
それでも襖に舞い踊る桜の花は姿を変える事なく
いつでも鮮やかに目を楽しませてくれる。
そして今回、障子紙にも桜が咲いて
ますます艶やかな仏間になった。
御仏も喜んでくださることだろう。
新年を迎える準幅の慌ただしさが過ぎれば
もうすぐお正月。