特別編:死体掃除屋、「脊」。
目を覚ます度、灰色の現実に悲観する。とは言っても、バトル漫画の主人公が敵に味方を殺され勝つ手段もなく握った拳を地に叩き付けて思わず泣き叫んでしまうようなものではなく、部屋の窓から見える灰色の空を眺めて、「いつまでこの日常が続くんだ。このまま何の生き甲斐もなく呼吸を続けて何の意味がある。早く消えてしまいたい」という軽い希死念慮に抱き締められる程度の無価値なものに過ぎない。
鉄製のベッドに質の低いマットレスを敷いただけの瓦落多から降りると、俺は簡素な机の上に置かれた飲みかけの