パンサー尾形が好きだ。②
昨日のロンハーにて、また尾形が炸裂してしまった。
尾形のパンサーに対するあまりにピュアな思い、彼の中で次第に大きくなっていたモックンの存在、それが虚構のものであったと知った際の空っぽの表情に、ドッキリを超えた壮大なヒューマンドラマの片鱗を見せつけられた。
※以前したためたわたくしの尾形への愛はこちら⇒
いつの間にかシリーズ化されていた「尾形ドッキリシリーズ」にて、今回は菅さんがパンサーに4人目を加入させようとするというシンプルな企画。先だって放送された前編では、新メンバーとして紹介されたモックンことモクタールくんのあまりの高スペック&濃いキャラクターに猛反対の様相を見せるも、「メンバー追加により第7世代に入り直せる」という謎の芸歴リセット説&ギャラ配分を2:2:2:4とし、なぜか尾形が倍の給与を貰えてしまうという甘言にほだされ、しぶしぶモックンの加入を認める尾形。自分のギャラを放棄してまで尾形優位のシェアを採用する向井さんに、「ブレイキングバッド」のジェシーを重ねてしまった。「どうせならグループ名も変えた方がいい!」と息巻く尾形は、【コヨーテ】という明らかにパンサーから弱体化した生物名を提案。かくしてお笑い界という熾烈なサバンナでひっそりと生まれ落ちたカルテット・コヨーテが水面下で始動することとなった。
当初はポジションを奪われる焦りと嫉妬から新メンバーに対する嫌悪感を隠せない尾形であったが、モックンとの新たな掛け合いへの手ごたえ、芸人としての活動への真摯な姿勢に感銘を受け、徐々に新生パンサーへの期待を高め始める。ゴリゴリの体育会で育った尾形にとって、ひたむきに自分の背中を追いかける後輩の姿はあまりに尊く映ってしまう。モックンから向井さんについて問われ、「向井の前が一番緊張する」「(今のパンサーがあるのは)向井のおかげ」と本音をこぼすシーンでは、モニターから観る向井さんの表情も相まって思わずグッと来てしまった。どんな恋人よりも時間を共にし、どんな仲間よりも一蓮托生で、どんな友達よりもライバル。お笑い芸人における相方との関係はいつだってドラマチックだ。
遂にはギャラの4等分も二つ返事で許可し、地上波ロンハーでの加入発表も決定。尾形はこれまでにないモチベーションに満ちた日々を送ってしまう。当初の企画意図とは反し、尾形が予想以上に4人体制に対して乗り気になってしまったため、ドッキリの落としどころを失ったスタッフは、唐突な謝罪ネタバラシという非情な展開を用意する。(自粛の影響により撮影日が取れなくなってしまったため、オチを変更せざるを得なかったのでは、とも思った。)
モックン加入がドッキリだと知らされた尾形は、自身が抱いていたモックンという新たな希望が霧散し、予め幻想であった事実を受け入れられない。偽りの愛を疑うことのできない結婚詐欺被害者のように、モックンのコヨーテに対する思いは自分だけが知っていると断言する。最初から存在していなかったはずのモックンが、コヨーテとして活動し第7世代の筆頭としてブレイクしていたはずのパラレルワールドが、尾形にとっていつしか芸人人生における不可欠なピースとなってしまっていた。(心なしか、菅さん向井さんも少し目が赤くなっていたように見えたが、気のせいかもしれない。)
しかしそんな絶望をも笑いに変え、「いつでも帰ってきて良いからな!!」と叫ぶ尾形の哀愁溢れる姿は、まさに荒野に独り吠えるパンサーのようだ。彼のこの一心不乱な生き様こそが、我々にとって日常を照らす光だ。たとえ尾形にとって一時的にモックンがそうであったとしても、この波を乗り越えた3頭のパンサーは間違いなく4頭のコヨーテより強い。尾形の銀メダルが、お茶の間では一番眩しく輝くのだから。