よちよち君
足腰が弱って
歩幅が狭くなり
床からあまり足をあげず
すり足のように
よちよちと歩くようになった父を
私は心の中で
「よちよち君」と呼んでいた。
歩幅の目安は「身長×0.45」らしいが
身長の180センチほどの父の
その頃の一歩は
5センチもなかったようにも感じた
しかしトイレに行く時だけは
ギリギリな状態の時が多く
必死な顔をして
いつもより力強く
速めに足を運んでいたが
間に合わない時もあって
歩きながら床に垂れ流すことも時々あった
トイレが近くなり
足腰が弱っているのに
夜中に何度もトイレに起きていたのも心配で
そこで試しに
母のリハビリパンツを使ってみるように
父に何度かすすめるうちに
思いのほか素直に
使ってくれるようになった
元気なころは
比較的がっしりした体格だった父も
その頃はだいぶ痩せていたので
介護中の母のMサイズのリハビリパンツも
少しきついくらいで
どうにか、はくことができた
父は頑固なところがあったので
抵抗にあう事を覚悟していたが
驚くほど素直に
リハビリパンツを受け入れてくれて
少し拍子抜けしたが
これには助かった
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