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#600字小説『蛇とマウス』/食べる夜【#シロクマ文芸部】
小牧幸助(シロクマ文芸部・部長)さんの
「食べる夜」から始まる小説・詩歌を書く企画に参加します
※詳細は本文後に記載
#600字小説 、2分程度で読了可能な超短編小説ですので、
ぜひご一読ください。
※多少、性的描写(詳細描写はなし)が含まれます。【閲覧注意】
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『蛇とマウス』
食べる夜
今宵、私は捕食する動物になる
丸呑みしてから、ゆっくりゆっくり消化していく蛇のように
私の中でドロドロに溶かしてみせましょう
目の前には、縮こまって動けなくなったマウスのような貴方
でも、その身震いが恐怖心からだけじゃないことはお見通しよ
ゾクゾクしているんでしょ?
甘美な夜への招待状
受け取ったらもう引き返せない
火照る身体とは裏腹に
まぶたがない蛇のように、冷めた目でじっと見つめる
「さぁ、脱ぎなさい」
ページを捲る音がして、うたた寝から目を覚ました。
寝起きのボーッとした頭では、愛しい貴方が何を手にしているかすぐに理解できなかった。
いつもはサイドテーブルの引き出しへ入れてあるのに、心地よい陽気と満腹に誘われ寝落ちして、開いたままだった。
白いノートを汚したインクの文字たちを思い出す。
「あっ……それ……」
恥ずかしさが体全体を駆け巡り、顔から火が出る感覚に陥った。
一番見られてはいけない人に見られてしまった。
合鍵を渡しておいたことを初めて後悔した。
休日出勤の後真っ直ぐ自宅に帰らずに、うちに寄ってくれたなんて……
普段なら飛び上がるほど喜ぶのに。
「君がこんな願望を持っているとは知らなかったよ」
貴方は唇の右端だけ上げて笑う。
刺すような視線で私の顔から身体へと見下ろす瞳は、蛇のように冷やかで。
私はマウスのように縮こまる。
ネクタイを緩める筋張った手を見て、「あぁ、たまらなく好きだ」と思う。
「さぁ、脱ぎなさい」
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#シロクマ文芸部 /7/20発表・7/23〆切のお題
「食べる夜」から始まる超短編小説(1000字小説)でした。
文字数:800字(空白・改行を除く文字数)
◆小牧幸助(シロクマ文芸部・部長)さんの企画に
参加させていただきました!
詳細は、下の記事をご覧ください。↓
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励み(心の栄養)になります。ぜひぜひ、よろしくお願いします。
想田翠/140字小説・短編小説 @shitatamerusoda
創作したらここにまず投稿するので、時間がある時に覗きにきてください。
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◆「食べる夜」始まりの別作品も、ご一読いただけたら幸いです。↓
800字小説は3分程度で読了可能だと思いますので、ぜひ。
◆前回の「消えた鍵」から始まる超短編小説も、ぜひご一読ください。↓
500字小説は2分程度、1000字小説は4分程度で読了可能だと思います。
◆前々回の「私の日」から始まる超短編小説も、ぜひご一読ください。↓
800字小説は3分程度で、140字小説は30秒程度で読了可能だと思います。
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