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「いちご栽培における脱炭素」と「食の循環」。金沢工業大学の試み
今回は勤め先の金沢工業大学における「いちご栽培における脱炭素」と「食の循環」への試みついて触れてみる。
カーボンニュートラルのいちご
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金沢工業大学白山麓キャンパス(併設校の国際高専の全寮制キャンパスも置かれている)には「いちごファHakusan」などを手掛ける地元・北菱電興との産学連携で設置された研究用イいちご農圃がある。
IoT等を活用した農業イノベーションに取り組んでいるのだが、興味深いのはいちごの栽培自体が温室効果ガスと深く関わっている点だ。
一般的にハウス内の暖房には化石燃料が使用され、また光合成の促進のため化石燃料を燃焼させている。
ではこの白山麓キャンパスの研究用農圃はというと、実は白山麓キャンパスは太陽光発電や風力発電、バイオマス発電などの再生可能エネルギーのエネルギーミックスによる小エリアDC(直流)電力網の実証実験を行っている。
木材チップを燃焼させるバイオマス発電から出た熱はコテージの暖房やいちごハウス内の暖房に利用される。
また光合成に必要な二酸化炭素は、大気中の二酸化炭素を圧縮する装置がハウス内にある。
つまり温室効果ガスを出さない「環境に優しいいちご」を栽培できるようになっている。
ここで栽培されたいちごは金沢工業大学のメインキャンパスである扇が丘キャンパスの学食で小鉢として出されている。
学食から出る食品廃棄物を堆肥化し、食の循環に挑戦】
栽培されたジャガイモが1日限定で学食に登場
金沢工業大学では、学食から出る食品廃棄物をコンポストで堆肥化し、その堆肥を使って大学の畑でジャガイモを栽培する取り組みを実施している。学食の協力を得て、このジャガイモを使用した小鉢メニューが学食において数量限定で提供され、学生たちが味わった。
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持続可能な取り組みのプロセス
約6,000名の学生が通う金沢工業大学では、学食の食品廃棄物が課題となっていた。この課題を解決するため、金沢工業大学の学生団体SDGs Global Youth Innovatorsの学生たちが、コンポストを活用し、「食の循環」を実現した。
食品廃棄物の堆肥化
2024年5月から7月にかけて学食から出る食品廃棄物を回収し、コンポストを用いて堆肥化。約80kgの食品廃棄物から堆肥を作成し、1か月以上熟成させた。
ジャガイモの栽培
9月には大学が所有する畑に熟成させた堆肥を入れ、ジャガイモの植え付けと栽培を始めた。
学食で提供するメニューの考案
11月には収穫したジャガイモを使用した小鉢メニューを考案した。多くの学生が好む複数のメニューを考え、学食と打ち合わせを重ねて完成したのが「ジャガイモの甘辛照り焼き」だった。ジャガイモの皮まで使うメニューにしたところも食品廃棄物を出さない取り組みとして意識した点だ。
学食での提供
1月14日(火)に学食で「ジャガイモの甘辛照り焼き」を数量限定で提供した。
用意した小鉢約40食はすぐに売り切れ、人気メニューとなった。
食べた方には、味の感想や今後食べてみたい小鉢メニューの案、値段設定などを調査した。また、今回のような食料廃棄物を有効活用した取り組みに対する意見なども調査した。
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この取り組みは、食品廃棄物を堆肥化して新たな価値を創出し、堆肥で育てた作物を学食で提供するという大学全体を巻き込む実践的な取り組みとなった。学生たちが主体的に取り組み、持続可能な社会の実現に向けた意識を高める機会となった。