【詩】永久歯
ああ今おしっこしたいなって
体が言っている時に
ああ今おしっこしたいなって
体が言っているその時に
私は頬を強くたたき
歯ブラシでお経を唱えて
もっと苦しめ~と呪いをかけた
しゃかしゃかしゃか
オッオッオッ
もっと苦しめ~
もっと苦しめ~
もっと苦しめ音頭がつづく
縄文から弥生まで
西から東まで
乳歯から永久歯まで
めぐる体をめぐる
舌を伝って這い出るホゾシタ
願ってもないのに年を取るし
そのうち死んでしまうし
体は私の中でいちばん他人だ
晴れの日、砂紋と海、まるい、ありがとう
春と秋、ベランダ、おしっこ、お味噌汁と卵焼き
ある点から、それだけ、そのどれでもない未来永劫の
体を捨てるための
もっと苦しめ~
いいえ
私たち本当は聖なる存在だ