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黒のレモン
自己隔離といっても日本の場合は外国と比べるとsemi-lockdownと書かないといけないくらいの外出自粛だ。
ロックダウン中の友人知人らの本の紹介リレーは見るだけで癒されて、じぶんにも回ってきた。じぶんがやるのも癒された。
SNSでは7冊7日だったけれど、終わってから続きをnoteですることに決めた。毎日は無理かもしれない。でもやってみよう。
1冊目は今日読みたくなったので、それがお昼だったので、 北園克衛『真昼のレモン』(昭森社、1945年)
あまり世界が暗いので/キリコ硝子/のように街をあるく
Lanvin/Balensiaga/Channel/Schiapalelli
綠の室で/いきなり黒いパラソルだか/白いピアノだかもしれない影/にぶつかる
黄いろい曲線にまきこまれながら/ 固い音樂に削られていく/ぼく/そして/あの/ 悲劇的な卵型の空間
(「華麗な夏のボタン」)
***
詩人はファッションに憧れる 華麗なヨーロッパの魔術師たち 黒のレモンを指で触れる 楕円は繰り返し 循環する音の形 フェラ・クティのアフリカを聴く真昼 空は雨を誘うようなブルー
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日の出の時間が早くなって、早朝からすでに仕事をしていてお昼に終わるリズム
在宅勤務は二週間ごとに更新され、また新たにしばらく続くのだった。
*拙著の新刊『人を着るということ Mind That Clothes the Body』(晃洋書房、2020年)の中に、「北園克衛とファッション」という章があります。