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リスニング力を鍛えるには?TED Talk、mindset、仲間を活用しよう【留学を目指す人にも】

こんにちは。早速ですが質問です。
英語の四技能には<聞く・話す・読む・書く>があります。果たして「聞く」活動はどれほど大切なのでしょうか?

個人的な考えですが、リスニング力はとても大切だと思っています。

まず、コミュニケーションにおいて、「人の意見を聞くこと」の大切さは多くの人が指摘しています。
しかもただ耳に入るだけでは不十分。
英語的には「hear」は単に音が耳に入ること、「listen」は注意を払って聞くことと区別されますが、理解するために関心を持ってリスニングすることが大切です。

また、海外に留学を考えている方にお伝えしたいのですが、講義を英語で受ける際、リスニング能力が特に重要になります。

海外では意見を発することが大切と言われます。
私の経験上、海外の大学院(おそらく大学も)では、ディスカッションが主体となる授業は決して少なくありません。

そんな時何に困ってしまうかというと、他の人がすでに発言している場合。学生の発言(質問)と、それに対する先生の回答をしっかりリスニングすることができるか?
先生や他の学生の言っていることが分からないと、自分がそれに続いて発言(質問)することが難しくなります。

これを回避する一つの手段は、自分が誰よりも先に発言してしまうこと。
でももちろん、リスニング力の底上げが行われるに越したことはないですよね。

私は卒業生としてイギリス大学院のボランティア学習アドバイザーとしても活動させていただいていますが、イギリスに留学している大学院生でも英語が苦手という方は少なくない印象です。

日本に暮らしていればなおさら、英語を使う機会は必然的に限られます。
では、日本に住む私たちはどのようにリスニング能力を鍛えれば良いのでしょうか?


関心がある教材を選ぶ

まず、関心がある教材を選びましょう。
当たり前のように感じるかもしれませんが、私はこれが意外と最近までできていませんでした。

大学生だった頃を振り返ると、リスニング練習のために与えられた教材で興味のある・ないに関わらず闇雲に勉強していた覚えがあります。
もちろんそういう勉強方法もアリですが、それこそ今はたくさんの情報に囲まれて過ごす時代。
必要・関心のある情報を自分で主体的に選択するスタンスで良いと思っています。

前回までの記事では、英語を通じて何かを学ぶこと完璧な英語でなくても発信することの大切さの2点についてお話ししました。
特に「英語を使って何か(以下、コンテンツと言い換えます)を学ぶ」ためには、そのコンテンツ自体への興味が大前提だと考えています。

教材の選択はとても大切です。ぜひ関心があるものを選んでみてください。
そして付け加えるなら、特に留学に関心のある人は、できる限り現実に近い、ナチュラルスピードで話されるオーセンティックな教材を選択するといいと思います。

もちろん、自分のレベルとかけ離れすぎていない教材を選ぶことも同時に大切です。

TED Talkの効果的な使い方

今回はTED Talkという教材を紹介します。
英語教育に携わっている方は皆さんご存じだと思うのですが、これはプレゼンテーションや教育的なアニメーションなどをまとめた動画プラットフォームです。

プレゼンター・ナレーターはメッセージを伝えることに焦点を置いているため、ナチュラルスピードの教材です。また、動画の種類が非常に豊富なので、自分の関心のある教材を見つけることができると思います。
そのため、学習者が無料でアクセスできる英語の教材としては非常に有効性が高いです。

しかしその分、以下のデメリットを感じる人もいるかもしれません。

  • 生の英語が使われるため、大半のビデオは英語のスピードが早い

  • プレゼン動画は時間もそれなりに長く、15分以上のものも多い

そのため「自主学習に使用するには難しい……」と感じる方も多いかもしれません。そういう方は、ぜひ以下のポイントをおさえてみてください。

完璧にリスニングしなくても良い

誤解を恐れずに言えば、リスニングをする際に全てを完璧に理解しなくても大丈夫です。

もちろん精聴をすることが目的の場合、頑張って細部まで聞き取ろうとすることは良いと思います。しかしその場合でも、一言一句リスニングする必要が生じるのはごく稀でしょう。
日本語で授業を受けている際でも、雑談を含め、先生の言葉の全てを聞き取り、記憶することは難しいですよね。
表現自体を正確に聞き取ることよりも、意味内容がどれだけ理解できるかが大切だと思います。

そのためスピードの早い英語のリスニング教材を使う際にも、必要以上に気負わなくて大丈夫です。
多少の聞き取れない部分があっても、「必要な情報(コンテンツ)を必要なだけ得るためにリスニングする」くらいの気持ちで良いと思います。

                                                                    (Photo by AbsolutVision on Unsplash)

では、動画の長さについてはどう克服すれば良いでしょうか?
あまり英語のリスニングに慣れていない人は、長いビデオは集中力が持たないですよね。
いくつか解決策を提示します。

一番盛り上がりのある部分のみ視聴する

やり方はこうです。

まず、YouTubeで気になるTED Talkのビデオを検索してみてください。
そしてビデオの再生位置にカーソルを合わせてください。
するとグラフィックが表示され「リプレイ回数が多い部分」が分かると思います。

そこを中心にして、前後の部分を合わせてリスニングの練習をする。
こうすることで、一番盛り上がりのある部分のみに集中することができます。

実はつい先日「日本語でYouTubeを視聴する際、まさにこの方法で楽しんでいます」というお話を伺いました。
ぜひ、英語のリスニングの際にも試してみてください。

冒頭の部分をリスニングしてみてみる

長いリスニングが難しい場合の、もう一つの解決策をお伝えします。

普段テレビを見る時のことを思い出してみてください。
リモコンで電源を入れたら、一番最初に映った番組を必ず最後まで視聴する……そんな方は稀かと思います。
もちろん面白そうだったら続けて視聴するかもしれませんが、あまり興味がわかなければ他のチャンネルに切り替えますよね。

英語のリスニング練習の時もそのイメージでいいと思います。
最初の30秒、1分と、冒頭部分をある程度の時間リスニングしてみる。
「お、これはもっと聞いてみたいな」と思ったらその先をリスニングしてみれば良いでしょう。

私は昔、とても真面目でした(今もですが……)。
そのため「リスニング練習をし始めたら、たとえ興味のない教材でも、全て頑張ってリスニングしなければいけない」というような考え(マインドセット)を持っていたように思います。
それ自体悪いことではないのですが、もし過去の自分に声をかけるなら「もっと柔軟に、楽しく学習に取り組めば良いんだよ」と伝えてあげると思います。

これらのポイントはTED Talkに限らないので、ぜひリスニング練習をする際のヒントにしてみてください。

公式サイトの機能を利用する

TED Talkの話に戻りましょう。公式サイトでは以下のことも可能です。

スピードを変える
字幕(日・英)を表示する
・文字の書き起こしを表示する

これらの機能を使えば、うまく聞き取れない箇所の理解もしやすくなりますね。

リスニングしたり、文字を音読したりして慣れてきたら、今度はShadowingをやってみるのをお勧めします。
このあたりの具体的な練習方法については、機会があればまたご紹介しようと思います。

TED Talkで生きた英語の使われ方を学ぶ

TED Talkの楽しみ方は自由で、専門家のプレゼンテーションを見るのもアリですし、アニメーションで要約されたコンテンツを見るのもアリです。
せっかくなので、どのように英語学習に役に立つのか、実例を一つ挙げてみましょう。

recklesslyという単語について考えてみてください。
受験英語ではよく「向こうみずに」などと訳されますが、実際どのように使うのでしょうか?
一つの面白い例がTed Talkにありました。以下に引用します。

The healthy liver cell divides only when it is stressed; the healthy hair cell divides frequently; and the cancer cell divides even more frequently and recklessly.

TED Talkより

意訳すると「健康な肝細胞はストレスがかかると分裂する。健康な髪の細胞は頻繁に分裂する。がん細胞はさらに頻繁に、歯止めがかからず分裂する」と言ったところでしょうか。
がん細胞の分裂の仕方について述べるときに使われるのですね。
このような使い方は「recklessly = 向こうみずに」と文脈無しで覚えているだけでは思いつかないものです。

生きた英語を学ぶのにTED Talkを役立ててみてください。

仲間を増やしてリスニング学習を楽しもう


ここまで、TED Talkを例に挙げて、リスニング力を鍛える方法についてお話しさせていただきました。
最後に、別の観点で学習のコツをお話ししたいと思います。
それは仲間の大切さです。

リスニングを始め、すべての英語の技能を練習する際、同じ関心の仲間がいると学習は捗ると言われています。
ゲーム感覚で一斉に同じ教材をリスニングしてみて「どんな内容だった?」と話し合っても楽しいですし、ディクテーション(書き取り)をして「何が聞こえた?」と話し合うのも面白いですね。
その中で使えそうな表現を集めて、実際にスピーキング(発信)の際に使ってみる。
同じ志の仲間がいるということは、それだけで学習の上でアドバンテージがあると思います。

もしも英語学習に関心がある人が周りに見つかる場合は、ぜひその環境をフル活用してみてください。
私自身も英語講師として、前向きに英語学習に取り組めるようなコミュニティを創出していきたいと思っています。


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